特殊相対論において,
mdτ2d2xμ=Fμ
が成立します。よって一般相対論においても,ある点において局所慣性系を考え,対象となる物体に力がかかっていないなら,等価原理より
dτ2d2xμ=0
が成立します。ここで,xμ は局所慣性系の座標です。
dτ2d2xμ=dτd(τxμ)=∂xν∂(dτdxμ)dτdxμ
であるから,これを一般座標系 uμ に置き換えれば,
∇ν(dτduμ)dτduν=(∂uν∂(dτduμ)+Γνσμdτduσ)dτduν=dτd(dτduμ)+Γνσμdτduσdτduν
∴dτ2d2uμ+Γνσμdτduνdτduσ=0(1)
式 (1) を,一般座標系における測地線方程式と呼びます。
局所慣性系では重力が消えるように座標系をとっていましたが,一般座標系では重力があったはずです。つまり,
dτ2d2uμ=−Γνσμdτduνdτduσ
とすれば,右辺,つまり Γνσμ に重力の情報が含まれているはずです。これは計量テンソルにより作られるので,
gμν には重力の情報が入っていることになるます。
計量テンソルというのは,線素を決める要素でもありました。言い換えれば計量テンソルは空間の長さを決めるものであると言えます。ということは,
重力は空間を曲げている,と考えることができるわけです。
測地線方程式は運動方程式を元にしているから,Newtonの運動方程式と比べてみることができるはずです。
以下のような設定で議論します(Newtonの運動方程式は条件の1,2番目が成立していれば使うことができます。ただ,議論を簡潔にするために,他の条件を加えて設定している,ということにすぎません)。
- 条件1:非相対論的極限:γ=1
- 条件2:弱重力場:gμν と ημν は近い
- 条件3:定常な重力場 : ∂x0∂gμν=0
- 条件4:十分遠方では重力はない:r→∞ では, ϕ→0, gμν→ημν
2より,
gμν=ημν+hμν (∣hμν∣≪1)
とおくことができます。これを用いて,Γνσμ を計算していきます。
Γ00μ=21(∂x0∂gν0+∂x0∂gν0−∂xν∂g00)=21gμν(−∂xν∂g00)
ここで最後の変形には,条件3を使っています。
∂xν∂g00=∂xν∂h00
であり,これは微小項です。よって,
Γ00μ≈21ημν(−∂xν∂h00)
μ=1,2,3 のとき,これを μ=i として,
Γ00i=21ηiν(−∂xν∂h00)=21(−∂xi∂h00)
μ=0 のとき,
Γ000=21∂x0∂h00=21∂x0∂g00=0
ここで,測地線方程式において,μ=1 とすると,
dτ2d2x1+Γνσ1dτdxνdτdxσ=dτ2d2x1+Γ001dτdx0dτdx0+2Γ0σ1dτdx0dτdxσ+Γjk1dτdxjdτdxk=0
ただし,j,k は1,2,3を動きます。同様にすれば i=1,2,3 に対し,
dτ2d2xi+Γ00idτdx0dτdx0+2Γ0σidτdx0dτdxσ+Γjkidτdxjdτdxk=0(2)
ここで,→一般相対性理論における固有時における式:
du0dτ=c1−gμνduμduνにより,
dτ=cdx0−gμνdx0dxμdx0dxν=dt⋅c1−gμνdtdxμdtdxν=cdt⎩⎨⎧1+ημνdtdxμdtdxνhμνdtdxμdtdxν⎭⎬⎫21−ημνdtdxμdtdxν≈cdt⎩⎨⎧1+2ημνdtdxμdtdxνhμνdtdxμdtdxν⎭⎬⎫−ημνdtdxμdtdxν≈cdt−ημνdtdxμdtdxν=γ1dt=dt=c1dx0
最終行の始めの等式については,→一般相対性理論における固有時の「速度による伸び縮み」の節より,式:
dτ=1−c2∥v∥2dt=γ1dtを利用しました。
これにより,
dτdx0=c, dτdxj=dtdxj
また,式 (2) の第3,4項は速度 dτdxσ=dtdxj を含んでおり,これは c に比べ十分小さいので,
落とすことができます。よって,式 (2) は
dt2d2xi+c2Γ00i=0∴dt2d2xi=2c2∂xi∂h00
この式とNewtonの運動方程式 dt2d2x=−∇ϕ,つまり,
dt2d2xi=−∂xi∂ϕ
とを比べて,
−2c2∂xi∂h00=∂xi∂ϕ
これを積分すれば,C を積分定数として,
h00=−c22ϕ+C
遠方で ϕ→0, h00→0 より,C=0。よって
h00=−c22ϕ
であり,g00=η00+h00 より,
g00=−1−c22ϕ
が成立します。この節の前半部分でも述べましたが,計量テンソルは重力に直接関係することがこの式からもわかります。
←前の記事 後の記事→