では,必要条件から,κ の値を決めます。
測地線方程式の節でやった近似と同様のことを考えます。この近似においては,
dτdxj=dtdxj (j=1,2,3)
は c に比べ小さい量なので,無視して考えて良いです。つまり,Tμν に対して,
T00=ρc2
以外はすべて 0 という成分を持つとして構いません。よって,
R00∴R00=κ(T00−21g00T)≈κ(ρc2−21(−1)(−ρc2))=2κρc2(1)
次に曲率テンソルについて考えていきます。次の式に現れる μ は縮約記法を用いているものではなく,単純に同じ添字であることを表します。定義より,
R0μ0μ=∂xμ∂Γ00μ−∂x0∂Γμ0μ+ΓμνμΓ00ν−Γ0νμΓμ0ν
ここで,
⎩⎨⎧Γ00i=−21∂xi∂h00 (i=1,2,3)Γ000=0
より,R0000=0。また,R0μ0μ (μ=1,2,3) を考えます。第二項は x0 で微分していますが,この近似では定常な重力場を考えているから,0となるはずです。
さらに,第三項,第四項は,微小項である gμν の2階微分の2次式であるから,0と見做して構いません。よって,
R0μ0μ=∂xμ∂Γ00μ=−21∂xμ∂xμ∂2h00 (μ=1,2,3)
これらにより,R00 は次のようになります。ただし,次の変数からは通常通り縮約記法を用いていることに注意してください。また,最後の変形では,→測地線方程式における式:
h00=−c22ϕを用います。
R00∴R00=R0ν0ν=−21∂x1∂x1∂2h00−21∂x2∂x2∂2h00−21∂x3∂x3∂2h00=−21∇2h00=−21∇2(−c22ϕ)=c21∇2ϕ(2)
式 (1),(2) により,
c21∇2ϕ∇2ϕ=2κρc2=2κρc4
Newtonの重力場方程式と比較すれば,
κ=c48πG
これにより,Einsteinの重力場方程式は
Rμν−21gμνR=c48πGTμν
でまとめられます(テンソルが (0,2)テンソルか,(2,0)テンソルかに本質的な違いはないことに注意してください)。
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