反変ベクトル Aμ の共変微分を考えます。共変ベクトル Bμ を持ってきて,縮合を考えれば,
AμBμ∂xσ∂(AμBμ)=Aμ′Bμ′=∂xσ∂xσ′∂xσ′∂(Aμ′Bμ′)
ここで,
LHS=∂xσ∂AμBμ+Aμ∂xσ∂Bμ=(∂xσ∂Aμ+ΓσαμAα)Bμ+Aμ(∂xσ∂Bμ−BαΓμσα)=(∂xσ∂Aμ+ΓσαμAα)Bμ+Aμ∇σBμ
また,
RHS=∂xσ∂xσ′{(∂xσ′∂Aμ′+Γσ′α′μ′Aα′)Bμ′+Aμ′(∂xσ′∂Bμ′−Bα′Γμ′σ′α′)}=∂xσ∂xσ′{(∂xσ′∂Aμ′+Γσ′α′μ′Aα′)Bμ′+Aμ′∇σ′Bμ′}=∂xσ∂xσ′(∂xσ′∂Aμ′+Γσ′α′μ′Aα′)Bμ′+∂xσ∂xσ′Aμ′∂xμ′∂xμ∂xσ′∂xβ∇βBμ=∂xσ∂xσ′(∂xσ′∂Aμ′+Γσ′α′μ′Aα′)∂xμ′∂xμBμ+Aμ∇σBμ
よって,
(∂xσ∂Aμ+ΓσαμAα)Bμ+Aμ∇σBμ=∂xσ∂xσ′(∂xσ′∂Aμ′+Γσ′α′μ′Aα′)∂xμ′∂xμBμ+Aμ∇σBμ
∴(∂xσ∂Aμ+ΓσαμAα)Bμ=∂xσ∂xσ′(∂xσ′∂Aμ′+Γσ′α′μ′Aα′)∂xμ′∂xμBμ
Bμ は任意にとれるので
(∂xσ∂Aμ+ΓσαμAα)=∂xσ∂xσ′∂xμ′∂xμ(∂xσ′∂Aμ′+Γσ′α′μ′Aα′)
したがって,
∇σAμ:=∂xσ∂Aμ+ΓσαμAα
と定義して,∇σAμ を Aμ の共変微分とよぶことにすれば,これはテンソルです。
さらに,(0,2)テンソル Gμν の共変微分を考えます。これと,Aμ,Bμ との縮合を考えれば,
GμνAμBν=Gμ′ν′Aμ′Bν′
ここで,両辺を xσ で微分することを考えます。
LHS=∂xσ∂(GμνAμBν)=∂xσ∂GμνAμBν+Gμν∂xσ∂AμBν+GμνAμ∂xσ∂Bν=(∂xσ∂Gμν−ΓμσαGαν−ΓνσαGμα)AμBν+Gμν(∂xσ∂Aμ+ΓσαμAα)Bν+GμνAμ(∂xσ∂Bν+ΓσανBα)=(∂xσ∂Gμν−ΓμσαGαν−ΓνσαGμα)AμBν+Gμν∇σAμBν+GμνAμ∇σBν
また,
RHS=∂xσ∂(Gμ′ν′Aμ′Bν′)=∂xσ∂xσ′∂xσ′∂(Gμ′ν′Aμ′Bν′)=∂xσ∂xσ′{(∂xσ′∂Gμ′ν′−Γμ′σ′α′Gα′ν′−Γν′σ′α′Gμ′α′)Aμ′Bν′+Gμ′ν′(∂xσ′∂Aμ′+Γσ′α′μ′Aα′)Bν′+Gμ′ν′Aμ′(∂xσ′∂Bν′+Γσ′α′ν′Bα′)}=∂xσ∂xσ′(∂xσ′∂Gμ′ν′−Γμ′σ′α′Gα′ν′−Γν′σ′α′Gμ′α′)Aμ′Bν′+Gμν∇σAμBν+GμνAμ∇σBν
よって,
(∂xσ∂Gμν−ΓμσαGαν−ΓνσαGμα)AμBν=∂xσ∂xσ′(∂xσ′∂Gμ′ν′−Γμ′σ′α′Gα′ν′−Γν′σ′α′Gμ′α′)Aμ′Bν′
したがって,
∇σGμν:=∂xσ∂Gμν−ΓμσαGαν−ΓνσαGμα
と定義すれば,
∇σGμνAμBν=∂xσ∂xσ′∇σ′Gμ′ν′Aμ′Bν′=∂xσ∂xσ′∂xμ∂xμ′∂xν∂xν′∇σ′Gμ′ν′AμBν
Aμ, Bν は任意にとれるので
∇σGμν=∂xσ∂xσ′∂xμ∂xμ′∂xν∂xν′∇σ′Gμ′ν′
これより,∇σGμν はテンソルです。
他のテンソルの共変微分についても同様にすれば得ることができます。
ちなみに,積の共変微分に関する公式
∇σ(XY)=(∇σX)Y+X(∇σY)
が成立することが知られています。公式の証明は省略します。