一般相対性理論のその後〜宇宙論〜
Friedmann方程式を解く
Friedmann方程式を解く
宇宙項の存在を知らなかったFriedmannは,宇宙項が入る前の重力場方程式,つまり のまま,Friedmann方程式をときました(Friedmann方程式については→宇宙項・宇宙定数の節「Friedmann方程式の導出」をみてください)。 以下にその方法を示します。式: に をかけて, で微分して, 他方,式: に をかけて, 式 の差をとれば, よって, とおけます。これより, を式 に代入すれば, したがって, これより, の時間変化は一般に0ではなく,宇宙は膨張したり,収縮したりすることがありうるということになります。
Hubbleによる「宇宙膨張」の発見
Hubbleによる「宇宙膨張」の発見
FriedmannがFriedmann方程式についての論文を出した頃,Hubbleは継続的に遠方の星雲をみ続け,遠くにあるものほど,強い赤方偏移(赤方偏移では振動数が小さくなることを強くなるといいます)があることを発見しました。 つまり,光のDoppler効果の節で学んだように,遠い星ほど速く遠ざかっているということです。これは,宇宙が膨張していると考えることで説明がつきます。 つまり,Hubbleは,「どうやら宇宙は膨張しているらしい」という実験結果を得たのです。
Friedmannの理論的証拠と,Hubbleの実験的証拠により,Einsteinは「宇宙は静的であり,膨張も収縮もしない」という仮定を 諦めました。宇宙項を導入したことを生涯の「最大の過ち」として悔いた,とも言われています。このようなことから,宇宙項は,Einsteinの重力場方程式から長い間姿を消しました。
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宇宙項のその後のお話
宇宙項のその後のお話
ここからは現代的な物理学のお話です。筆者もちゃんとは説明できないので,興味を持った方は是非,より深く物理学を学んでいただきたいと思います。
宇宙が膨張していることはわかりましたが,ではその膨張のしかたはどのようになっているのでしょうか? 結論からいうと,実は宇宙は「加速膨張」しているらしいということがわかってきました。 これは2000年ごろの超新星爆発の観測結果により計算されたものです。
しかし,宇宙が加速膨張をしているとなると,どんなエネルギーがそんなことをさせているのかが問題になってきます。何かわからないが,なんらかのエネルギーが宇宙を加速させているのです。 このことを調整するために, Einsteinの重力場方程式には再び宇宙項が加えられました。このエネルギーのことを天文学者はダークエネルギーなどとよぶようです。宇宙項は ダークエネルギーを説明するための項として,再び地位を与えられました。
ちなみに,現在の宇宙にあるエネルギーを,ダークエネルギーとその他のエネルギーに分けると, 程度になるらしいです。宇宙にはまだまだ不思議なことが満ち溢れているようです。
おわりに
おわりに