コンデンサーを含む交流回路

更新日時 2021/09/16

交流とコンデンサーについて解説し,公式を導出します。

コンデンサーを流れる電流の位相は電圧の位相より π/2\pi/2 だけ遅れます。 インピーダンスはコンデンサーの実効的な抵抗を表す良い量になっていて,インピーダンスは周波数に反比例します。 また,コンデンサーでは電力が全く消費されません

コンデンサーを流れる電流

I(t)=I0cos(ωtπ2) \begin{aligned} I(t) = I_0 \cos\left( \omega t - \frac{\pi}{2} \right) \end{aligned}

コンデンサーのインピーダンス

Z=1ωC \begin{aligned} Z = \frac{1}{\omega C} \end{aligned}

コンデンサーの消費電力

Pˉ=0 \begin{aligned} \bar{P} = 0 \end{aligned}

目次
  • コンデンサーを流れる電流の位相のずれを表す公式

  • インピーダンス

  • 消費電力

コンデンサーを流れる電流の位相のずれを表す公式

電圧の瞬時値が V(t)=V0cosωt \begin{aligned} V(t) = V_0 \cos \omega t \end{aligned} のような正弦波の形で与えられる交流電源を考えます。 この電源に容量 CC のコンデンサーをつなぎ,流れる電流を I(t)I(t) とします。 このときコンデンサーにたまっている電荷 Q(t)Q(t)Q(t)Q(0)=0tI(t)dt \begin{aligned} Q(t) - Q(0) = \int_0^t I(t') \:\text{d}{t'} \end{aligned} を満たします。 ここで Q(0)Q(0) は時刻 t=0t=0 でコンデンサーに残っていた電荷を表します。 簡単のため Q(0)=0Q(0)=0 の場合を考えることにしましょう。 コンデンサーの電圧式に注意しつつキルヒホッフ則を用いると 0=V(t)Q(t)C \begin{aligned} 0 = V(t) - \frac{Q(t)}{C} \end{aligned} が成り立ちます。 この式を tt について微分すると I(t)=CdV(t)dt=ωCV0sinωt \begin{aligned} I(t) &= C\frac{\text{d}V(t)}{\text{d}t} \\ &= -\omega CV_0 \sin\omega t \end{aligned} となります。 式を整理すると,以下のように書けます。 I(t)=ωCV0cos(ωtπ2) \begin{aligned} I(t) = \omega C V_0 \cos\left( \omega t - \frac{\pi}{2} \right) \end{aligned} 結局,回路を流れる電流は I0=(ωC)V0I_0 = (\omega C)V_0 として以下のようになることが分かりました。

コンデンサーを流れる電流

I(t)=I0cos(ωtπ2) \begin{aligned} I(t) = I_0 \cos\left( \omega t - \frac{\pi}{2} \right) \end{aligned}

更にこの式を見ると,電流の位相は電圧の位相より π/2\pi/2 だけ遅れることが分かります

このような現象は直流を考えているだけでは起きなかったものです。 位相のずれによって引き起こされる交流回路の面白い性質が,以降(と後の記事)で次々と登場します。

インピーダンス

仮に,コンデンサーの"瞬間的な抵抗"を考えてみましょう。 それは,電流の位相が遅れているため V(t)I(t)=V0I0cotωt \begin{aligned} \frac{V(t)}{I(t)} = -\frac{V_0}{I_0} \: \cot \omega t \end{aligned} のように時間依存してしまいます。 これは取り扱いが不便そうです。

そこで,交流の実効値(実効電流,実効電圧)・インピーダンスの記事で登場したインピーダンスを使ってみることにしましょう。 インピーダンスは以下の式で定義されていたのでした。 Z=V0I0 \begin{aligned} Z = \frac{V_0}{I_0} \end{aligned} 今回用いていた式を代入すると,以下のようになります。

コンデンサーのインピーダンス

Z=1ωC \begin{aligned} Z = \frac{1}{\omega C} \end{aligned}

これは,インピーダンスの定義から実効的な抵抗を表している上に,時間依存しない定数なので,とても便利な量になっています。

インピーダンスが周波数 ω\omega に反比例していることにも注意しましょう。 このような性質が交流回路を面白くします。

消費電力

コイルを含む交流回路で確認したように,抵抗には電力が消費されるという重要な性質がありました。 その消費電力は次の通りでした。 Pˉ=V0I02 \begin{aligned} \bar{P} &= \frac{V_0I_0}{2} \end{aligned}

では,上記のコンデンサーではどうでしょうか。 コンデンサーでは電流の位相が遅れるので V(t)=V0cosωt,I(t)=I0cos(ωtπ2) \begin{aligned} V(t) = V_0 \cos \omega t, \quad I(t) = I_0 \cos \left( \omega t - \frac{\pi}{2} \right) \end{aligned} となっているのでした。 消費電力の時間平均を計算してみると,次のようになります。 つまり電流の位相が π/2\pi/2 だけ遅れるせいで,コンデンサーでは全く電力が消費されないのです!

コンデンサーの消費電力

Pˉ=0 \begin{aligned} \bar{P} = 0 \end{aligned}

なお,このように電力消費が無い場合のインピーダンスは,リアクタンスとも呼ばれます。

コンデンサーにもコイルと同様,電流が流れにくいにも関わらず電力が消費されないという,不思議な特性がありました。 これらを組み合わせるとどんな回路が構成できるでしょうか?

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