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  2. 累乗根の定義と具体例

累乗根の定義と具体例

更新日時 2021/02/28

aa に対して,nn 乗して aa になるような数aann 乗根という。

特定の nn を意識しない場合はまとめて累乗根とも言います。

目次
  • 正の実数の範囲での累乗根

  • 複素数の範囲での累乗根

正の実数の範囲での累乗根

正の実数 aa11 以上の整数 nn に対し,nn 乗して aa になるような正の実数ちょうどひとつあり,それを an\sqrt[n]{a} あるいは a1na^{\frac{1}{n}} と書きます。n=2n = 2 の時は正の平方根 a\sqrt{a} のことです。

ちょうどひとつあることの証明

関数 f(x)=xnf(x) = x^nx>0x > 0 の範囲で狭義単調増加である。よって xn=ax^n = a となるような x>0x > 0 は高々ひとつである。また十分大きい c>0c > 0 に対して 0<a<f(c)=cn0 < a < f(c) = c^n だから,中間値の定理より 00cc の間に xn=ax^n = a を満たす xx が少なくともひとつ存在する。よってxn=ax^n = a を満たす x>0x > 0 はちょうどひとつ存在する。

  • 25=5\sqrt{25} = 5
  • 643=4\sqrt[3]{64} = 4
  • 10248=224\sqrt[8]{1024} = 2 \sqrt[4]{2}

このように正の実数に対しては,その nn 乗根が正の実数の範囲にちょうどひとつ存在します。しかし範囲を広げて考えると,累乗根は複数存在する場合があります。例えば,2,2\sqrt{2}, - \sqrt{2} は両方とも 22 の2乗根です。

以下では複素数の範囲で累乗根について考えます。

複素数の範囲での累乗根

複素数の範囲では累乗根は一般に複数個存在します。例えば 22 の2乗根は 2,2\sqrt{2}, - \sqrt{2} であり,11 の3乗根は 11 自身の他に ω=1+3i2,ω2=13i2\omega = \dfrac{-1 + \sqrt{3}i}{2}, \omega^2 = \dfrac{-1 - \sqrt{3}i}{2} があります。

より詳しく,以下の定理が成立します。

定理

00 でない複素数 aa11 以上の整数 nn に対し,

  • aann 乗根は複素数の範囲でちょうど nn 個存在する。
  • それら nn 個は,複素数の極形式で以下のように表せる: r1/nei(θ+2π)/n,r1/nei(θ+4π)/n,,r1/nei(θ+2nπ)/n r^{1/n} e^{i(\theta + 2 \pi )/n}, r^{1/n} e^{i(\theta + 4 \pi )/n}, \dots , r^{1/n} e^{i(\theta + 2n \pi )/n} ただし,r=a,θ=argar = |a|, \theta = \arg{a} である。

定理の中の r1/nr^{1/n} は正の実数の場合における r>0r > 0nn 乗根のことです。また ei(θ+2kπ)/ne^{i(\theta + 2k \pi )/n} は,オイラーの公式により cos((θ+2kπ)/n)+isin((θ+2kπ)/n)\cos((\theta + 2k \pi )/n) + i \sin((\theta + 2k \pi )/n) と同じです。

  • 2525 の2乗根は 5,55, -5 の2個
  • 6464 の3乗根は ω=1+3i2\omega = \dfrac{-1 + \sqrt{3}i}{2} として 4,4ω,4ω24, 4\omega, 4\omega^2 の3個
  • 3-3 の2乗根は 3i,3i\sqrt{3}i, -\sqrt{3}i の2個
証明

前半(nn 乗根が nn 個存在すること)の証明
aann 乗根とは方程式 xna=0x^n - a = 0 の解のことである。代数学の基本定理より,この方程式は複素数の範囲で(重複度を含めて)nn 個の解を持つ。また f(x)=xnaf(x) = x^n - a とおくと,f(x)=nxn1f'(x) = nx^{n-1} であり,a0a \neq 0 より f(x)=0f(x) = 0f(x)=0f'(x) = 0 は共通解を持たない。よって因数定理の重解バージョンより f(x)=0f(x) = 0 は重解を持たないから,その解はちょうど nn 個である。

後半(nn 乗根の表し方の確認)

(r1/nei(θ+2kπ)/n)n=rei(θ+2kπ)=reiθ=a \begin{aligned} &\left( r^{1/n} e^{i(\theta + 2k \pi )/n} \right)^n \\ &= r e^{i(\theta + 2k \pi )} \\ &=r e^{i \theta} \\ &=a \end{aligned}

より r1/nei(θ+2kπ)/nr^{1/n} e^{i(\theta + 2k \pi )/n}aann 乗根である(2つ目の等号で kk が整数であることを使った)。

  • 特に aa が正の実数のとき,ζ=e2πi/n=cos(2π/n)+isin(2π/n)\zeta = e^{2 \pi i/n} = \cos(2 \pi /n) + i \sin(2 \pi /n)11 の原始 nn 乗根のひとつとして,複素数の範囲の aann 乗根は a1/n,a1/nζ,,a1/nζn1 a^{1/n}, a^{1/n} \zeta, \dots , a^{1/n} \zeta^{n-1}nn 個です。

  • 複素数の積を扱う時は極形式を考えて「絶対値は積,偏角は和」になることを使うと見通しがよくなることが多いです。→複素数平面における回転と極形式

正の実数でなくても an\sqrt[n]{a} という記法を使うことはあります(3=3i\sqrt{-3} = \sqrt{3}i とか)。

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