二乗・累乗の特徴と対数との関係
二乗・累乗・べき乗に関連した用語をわかりやすく解説します。
底と指数
底と指数
数学では や のように,「右上に小さい数字がついたようなもの」が登場します。
このように, という数は「えーのえっくすじょう」と読みます。 を底といい, を指数もしくはべき数(冪数)といいます。
- 例えば, は「2の3じょう」と読みます。底は で指数は です。
- 例えば, は「 の じょう」と読みます。底は で指数は です。
の意味は, や の値によって変わります。詳しくは ゼロ乗(0乗),マイナス乗,分数乗,無理数乗を読んでください。この記事では,関連する用語について説明します。
累乗とべき乗
累乗とべき乗
のことを累乗,もしくはべき乗(冪乗)といいます。
累乗とべき乗という用語は,ほとんど同じ意味です。ただし,
- が自然数であることを強調するために累乗と言うことがあります。
- が自然数であると限らないことを強調するためにべき乗と言うことがあります。
なぜこのような使い分けをするのか,それは漢字の意味の違いが理由と考えられます。
「累」は「重ねる」という意味を持ちます。一方で「冪」は「覆う」という意味を持ちます。こうした漢字のニュアンスから,累乗は 回掛けるイメージができます。一般の実数で「回」は考えられません。たとえば 回を考えることはできませんね。 を累乗と呼ぶのはいまいちな気がしますね。
二乗(自乗)・立方
二乗(自乗)・立方
べき乗のなかでも のもの,すなわち を自乗もしくは二乗といいます。平方ということもあります。
のもの,すなわち を立方ということがあります。
この2つは完全に同じ意味です。
二乗は 乗の に が入ったものです。単に2乗の数字の部分を漢字にしただけとも言えます。読み方は「にじょう」「じじょう」どちらも正しいです。
[発展]その他のべき乗
[発展]その他のべき乗
虚数乗(複素数乗)
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のように,虚数乗を考えることもできます。このときにも指数法則は成り立ちます(より厳密には,指数法則が成り立つように複素数乗を定めているとも言えます)。
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オイラーの公式という公式: もあります。
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虚数単位の虚数単位乗,すなわち の 乗を計算するとおもしろいことが起きます。オイラーの公式で計算してみましょう。 なんと虚数単位の虚数単位乗は実数になります。不思議ですね。より詳しくは複素数の対数関数とiのi乗の主値が実数であることを読んでみてください。
行列乗
行列という「数を並べたもの」が指数にくる「行列乗」も考えられます。詳しくは行列の指数関数の計算方法を読んでみてください。
対数の底・真数
対数の底・真数
対数は「何乗したらこの数になるのか」を表す数です。 を正の実数とします。
という式が成り立つとき, と定めます。
このとき を底, を真数といいます。
は正の実数でした。 のグラフを思い出してみると,常に でした。よって, ならば, は常に正になります。このため対数の真数部分は正である必要があります。
対数の基本的な性質とその証明も参照してください。
指数法則と対数の性質
指数法則と対数の性質
[発展的な補足] 0の0乗について
[発展的な補足] 0の0乗について
みなさんは は何だと思いますか?
実は,2通りの解釈ができてしまいます。
- と考える。
- と考える。
1の場合, は常に ですから,当然 の極限でも です。
2の場合, は常に ですから,当然 の極限でも です。
2通りの解釈ができてしまうので, は考えない(定義しない)ことが多いです。
私は「累乗」よりも「べき乗」という用語を使うことが多いです。