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指数法則の直感的な意味と利用例

更新日時 2021/02/24

次の関係式を指数法則という。 am×an=am+nam÷an=amn(am)n=amn(ab)n=anbn(ab)n=anbn \begin{aligned} a^m \times a^n = a^{m+n} \\ a^m \div a^n = a^{m-n} \\ (a^m)^n = a^{mn} \\ (ab)^n = a^n b^n \\ \left(\dfrac{a}{b}\right)^n = \dfrac{a^n}{b^n} \end{aligned}

この記事では,数字の右上に小さく乗っている数「指数」に関する公式「指数法則」について詳しく解説します。

目次
  • 指数法則とは?

  • 指数法則が成立する理由

  • 指数法則を応用した計算例

  • 指数法則による指数の定義の拡張

指数法則とは?

まず,指数とは「掛け算の回数」を表す数です。つまり,00 でない実数 aa と正の整数 mm に対して ama^m は「aamm 回掛け算した数」を表します。例えば,25=2×2×2×2×22^5=2\times 2\times 2\times 2\times 2 です。

そして,指数法則とは ama^m のような指数を含む式を計算するときに使える公式です。

指数法則を理解すれば, 4682×1202×104 \dfrac{4^6}{8^2} \times \dfrac{1}{20^2} \times 10^4 のように指数を含む複雑な計算を素早く行うことができます。

指数法則が成立する理由

m,nm,n を正の整数,a,b0a,b\neq 0 とします。このとき,冒頭で述べた5つの指数法則が成立します。

指数法則が成立する理由を直感的に説明します。

まず,1つめの指数法則 am×an=am+na^m\times a^n=a^{m+n} について考えます。

  • ama^m は「aamm 回掛け算した数」
  • ana^n は「aann 回掛け算した数」
  • am+na^{m+n} は「aam+nm+n 回掛け算した数」

でした。つまり,この指数法則は,mm 回掛け算」と「nn 回掛け算」を掛けると「m+nm+n 回掛け算」になることを表しています。直感的には当たり前ですね。例えば, a5×a3=(a×a×a×a×a)×(a×a×a)=a×a×a×a×a×a×a×a=a8 \begin{aligned} &a^5 \times a^3 \\ &= (a\times a\times a\times a\times a)\times (a\times a\times a) \\ &= a\times a\times a\times a\times a\times a\times a\times a \\ &= a^8\\ \end{aligned} つまり a5×a3=a5+3a^5 \times a^3 = a^{5+3} が成立します。

次に,指数法則の2つめ am÷an=amna^m\div a^n=a^{m-n} について考えます。m>nm> n の場合について考えます。

aamm 回掛け算した数」ama^m を,「aann 回掛け算した数」 ana^n で割り算すると,nn 個の aa は約分されて消えるので,mnm-n 個の aa が残ります。これは amna^{m-n} に他なりません。

例えば, a5÷a3=(a×a×a×a×a)÷(a×a×a)=a×a×a×a×aa×a×a=a×a=a2 \begin{aligned} &a^5 \div a^3 \\ &= (a\times a\times a\times a\times a)\div (a\times a\times a) \\ &= \dfrac{a\times a\times a\times a\times a}{a\times a\times a}\\ &= a \times a \\ &= a^2\\ \end{aligned} つまり,a5÷a3=a53a^5 \div a^3 = a^{5-3} が成立します。

次に,指数法則の3つめ (am)n=amn(a^m)^n = a^{mn} について考えます。 (am)n(a^m)^n は 「aamm 回掛け算した数」が nn 個集まっているので,全部で mnmn 個,つまり amna^{mn} となります。

次に,指数法則の4つめ (ab)n=anbn(ab)^n = a^n b^n について考えます。 (ab)n(ab)^na×ba\times bnn 個集まっており,aabbnn 個ずつの掛け算なので,anbna^n b^n と等しいです。掛け算はどのような順番で計算しても同じ(交換法則)なので成立します。

このように「掛け算の回数」という意味を考えれば指数法則は当然成り立つべき式だ! と感じたことでしょう。

ちなみに,指数法則の5つめ (ab)n=anbn\left(\dfrac{a}{b}\right)^n = \dfrac{a^n}{b^n} は,ab×ab=a×ab×b\dfrac{a}{b}\times\dfrac{a}{b}=\dfrac{a\times a}{b\times b} のように分数の掛け算が「分母同士・分子同士の掛け算」と等しいことからわかります。

指数法則を応用した計算例

指数法則を用いれば,指数を含む複雑な計算を素早く行うことができます。

例1

4682×1202×104 \dfrac{4^6}{8^2} \times \dfrac{1}{20^2} \times 10^4 を簡単にせよ。

直接計算するのは大変です。指数法則を使うために,まずはそれぞれ素因数分解します。 4682×1202×104=(22)6(23)2×1(22×5)2×(2×5)4 \begin{aligned} &\dfrac{4^6}{8^2} \times \dfrac{1}{20^2} \times 10^4 \\ &= \dfrac{(2^2)^{6}}{(2^3)^{2}} \times \dfrac{1}{(2^2 \times 5)^{2}} \times (2 \times 5)^{4} \\ \end{aligned} ここで第1項に (am)n=amn(a^m)^n = a^{mn} ,第2項と第3項に (ab)n=anbn(ab)^n = a^n b^n を適用すると,上式は 21226×124×52×24×54=212÷26÷24×24÷52×54 \begin{aligned} &\dfrac{2^{12}}{2^6} \times \dfrac{1}{2^4\times 5^2} \times 2^4 \times 5^4 \\ &= 2^{12} \div 2^6 \div 2^{4} \times 2^4 \div 5^{2} \times 5^4 \end{aligned} さらに,am×an=am+na^m \times a^n = a^{m+n}am÷an=amna^m \div a^n = a^{m-n} を適用すると 212÷26÷24×24÷52×54=21264+4×542=26×52=1600 \begin{aligned} &2^{12} \div 2^6 \div 2^{4} \times 2^4 \div 5^{2} \times 5^4 \\ &= 2^{12-6-4+4} \times 5^{4-2}\\ &= 2^6 \times 5^2 \\ &= 1600 \end{aligned} となります。

このように, 指数をたくさん含む式を計算するときは,最初に素因数分解をして指数の底をそろえる と見通しが良くなることが多いです(aba^b に対して aa のことを底と言います)。

指数法則による指数の定義の拡張

ここまでは,指数が正の整数の場合について考えてきました。正の整数の指数は,変数を何回掛けるかを表す数でした。

では,指数が 00 や負の整数,一般に実数の場合はどうなるでしょうか? そもそも,202^031.53^{-1.5} はどのような値でしょうか?

実は,このような「ゼロ乗,マイナス乗,分数乗」の定義は,指数法則がもとになっています。指数法則が成り立つように定義するのです。詳しくは,ゼロ乗,マイナス乗,分数乗,無理数乗 で解説しています(ちなみに無理数乗は有理数乗を用いた極限で定義されており,指数法則が直接使われているわけではありません)。

例えば,2=212\sqrt{2}=2^{\frac{1}{2}} というように,ルートは 12\dfrac{1}{2} 乗になります。最後に,分数乗が現れる指数法則の例題を解いてみます。

例2

324÷26÷819212×2 \sqrt[4]{32} \div \sqrt[6]{2} \div \sqrt[12]{8192}\times 2 を簡単にせよ。

さきほどと同じく,まずは素因数分解をします。 32=25,8192=21332=2^5,\:8192=2^{13} に注意すると,

324÷26÷819212×2=(254)÷26÷(21312)×2=254÷216÷21312×2=254161312+1=21=2 \begin{aligned} &\sqrt[4]{32} \div \sqrt[6]{2} \div \sqrt[12]{8192} \times 2\\ &= (\sqrt[4]{2^5}) \div \sqrt[6]{2} \div (\sqrt[12]{2^{13}}) \times 2\\ &= 2^{\frac{5}{4}} \div 2^{\frac{1}{6}} \div 2^{\frac{13}{12}} \times 2\\ &= 2^{\frac{5}{4} - \frac{1}{6} - \frac{13}{12}+1} \\ &= 2^1 \\ &= 2 \end{aligned}

となります。

81928192 という数字に驚いたかもしれませんが,この手の問題は簡単な数に素因数分解できることがとても多いです。素因数分解→指数法則で計算 という流れを理解しておきましょう。

ちなみに,数学が好きな人は 8192=2138192=2^{13} とすぐに反応できたかもしれません。 22 のべき乗や,33 のべき乗は覚えておくとよいでしょう。

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