指数分布の意味と具体例
指数分布とは, ランダムなイベントの発生間隔を表す分布です。指数分布は「地震が起きる間隔」や「電球の寿命」などを表す分布として使われます。
この記事では, 指数分布の意味 や 指数分布とポアソン分布との関係 などについて解説します。
指数分布の例と重要性
指数分布の確率密度関数
ポアソン分布との関係
指数分布の式の導出
幾何分布との関係
確率密度関数であることの確認
指数分布の期待値の確認
指数分布の例と重要性
指数分布とは,ランダムなイベントの発生間隔を表す分布です。「ランダムなイベント」とは大雑把に言うと「起こる確率が常に一定である」ようなイベントのことです。例えば,
- 地震が起きる間隔
- 電球の寿命
- 人とすれ違うタイミングの間隔
などは(おおよそ)指数分布に従うと言えます。
指数分布の確率密度関数
(平均が である)指数分布の確率密度関数は
となります。
例えば,寿命が「平均 時間の指数分布」に従う電球について,寿命が 時間以下となってしまう確率は,
のように計算できます。(つまり,約 %であることが分かります)
ポアソン分布との関係
ランダムな(いつ起こるか分からない,不定期な)イベントは世の中にたくさんあります。指数分布,ポアソン分布はともに,そのようなイベントに関連した分布です。
(長い時間平均すると)時間 あたり1回起こるような「ランダムなイベント」について,
1:イベントの発生間隔は平均 の指数分布に従う
2:単位時間にイベントが起きる回数は平均 のポアソン分布に従う
発生間隔が長いほど,発生回数は小さくなることに注意してください。
ランダムな現象を 「発生間隔で捉えると指数分布,発生回数で捉えるとポアソン分布」と覚えておきましょう。
2についてはポアソン分布の意味と平均・分散で詳しく解説しています。1については以下で証明します。
指数分布の式の導出
では,なぜ「ランダムなイベントの発生間隔」を表す指数分布が,確率密度関数が
である指数分布で表されるのでしょうか?
少し難しいですが,これを証明してみます。
が十分小さいとき,時刻 から の間にイベントが発生する確率を二通りの方法で求める。
・確率密度関数の定義により
・(時刻 までイベントが起こらない確率)×(それから の間に起こる確率)
=
ただし「発生間隔の平均が であるランダムなイベント」が「時間 の間に起こる確率」は であることを用いた。
よって,
両辺を で微分すると,
この微分方程式を解くと,
確率密度関数であるので となるように定数 を定めると, を得る。
つまり,
※求める確率密度関数が滑らか(微分可能)であることは仮定しました。
幾何分布との関係
指数分布は連続型確率分布です。指数分布の離散バージョンが幾何分布です。
指数分布も幾何分布も「無記憶性」を持ちます。 →幾何分布の具体例と期待値,無記憶性について
確率密度関数であることの確認
指数分布は確率密度関数が比較的単純なので,分布のいろいろな量を求めるよい計算練習になります。そのため,各種試験(アクチュアリー,大学院入試など)に頻出,という意味でも重要です。
例えば,指数分布の確率密度関数:
が確かに確率密度であることを確認します。
よりOK。
指数分布の期待値の確認
指数分布の平均(期待値)が であることを確認します。
証明には部分積分,および を用います。
指数分布の平均の証明
=
=
=
=
ちなみに,指数分布の分散は です。
3日間誰からもメールが来ない寂しい時期もあれば,1日に大量にメールが来る日もあるのが納得できます。