無理関数とそのグラフの書き方
無理関数の意味と,グラフをすばやく描く方法を紹介します。慣れれば のような無理関数のグラフを10秒で描けます。
無理関数とは
無理関数とは
根号を含む関数を無理関数と言います。例えば ,, は全て無理関数です。
数3の教科書では無理関数の中でも という基本的なものが登場します。この記事では のグラフをすばやく描く方法を解説します。
無理関数の定義域,値域
無理関数の定義域,値域
まずは の定義域と値域の確認です。グラフを描くときに使います。
〜定義域〜
根号の中身が非負,つまり が定義域。よって,
- が正のとき定義域は
- が負のとき定義域は
〜値域〜
は非負の実数全体を動くので,
- の値域は
- の値域は
つまり,先頭にマイナスがあるかどうか,および の符号によって四通りの場合が生じます。
のグラフ
のグラフ
定義域と値域をふまえた上で, のグラフを考えてみます( の場合です)。
- のグラフ()
- のグラフ()
- のグラフ()
- のグラフ()
- いずれも原点から出発して,最初は鉛直方向に進みます(微分係数が無限大)。そして徐々に変化がなだらかになっていきます。
- 四つの向きのうちどの向きに行けばよいかは定義域,値域を見るだけで分かります。
- かつ なので,グラフは放物線の一部になります(よく見る という放物線を 回転させたものの半分)。
- の場合は平行移動すればよいだけです。 なので, のグラフを 軸方向に 平行移動させればOKです。 →グラフの平行移動(具体例と公式の証明)
例題
例題
以上をふまえて例題です。実際の書き方(思考過程)を説明します。
のグラフを素早く書け。
STEP1:とりあえず に点を打つ。
STEP2:定義域は ,値域は なので右下に進むことが分かる。
STEP3: から一瞬真下に進んで徐々に変化がなだらかになるようにグラフを描く。
次の例題2で見るように, 軸方向の平行移動があっても同じです。
のグラフを素早く書け。
STEP1:とりあえず に点を打つ。
STEP2:定義域は ,値域は なので左上に進むことが分かる。
STEP3: から一瞬真上に進んで徐々に変化がなだらかになるようにグラフを描く。
無理関数のグラフの素早い書き方
無理関数のグラフの素早い書き方
本記事の結論です。
無理関数 のグラフは から(定義域,値域を見て)適切な向きに,最初は一瞬鉛直な方向に進んで徐々に変化がなだらかになるように書けばよい。
一枚目の図(原点から四本のビームが出ている図),対称性が高くて好きです。