平方根の長さを作図する2通りの方法
任意の正の有理数 に対して,長さ の線分が与えられれば長さ の線分を定規とコンパスで作図できる。
長さ の線分を作図できるということは,面積 の正方形を作図できるということでもあります!
三平方の定理を繰り返し用いる方法
三平方の定理を繰り返し用いる方法
まずは が正の整数である場合に使える方法です。長さ の線分 が与えられたときに長さ の線分を順番に作図していきます。
まず, を通り と垂直で長さが の線分 を作図する。
すると,三平方の定理により である。
次に, を通り と垂直で長さが の線分 を作図する。
三平方の定理より である。
以下同様に の長さの線分を作図することができる。
この方法は順番に作図していくので,数字が大きくなると大変です。実際に を作図することさえだいぶめんどうです。
有名な構図を用いる方法
有名な構図を用いる方法
次は長さ の線分と長さ の線分が与えられたときに長さ の線分を作図する有名な方法です。 は有理数でなくても構いません。
まず となるように直線上に三点 をこの順番で並べる。
次に を直径とする円 を書く。 を通り と垂直な直線と の交点の一つを とする。このとき である!(→補足)
補足:円の中心を とすると, , である。三角形 に三平方の定理を用いると,
が分かる。
追記: の証明は方べきの定理を使えば一瞬です(読者の方に教えていただきました)。
相加相乗平均の不等式の証明にも使われる有名な構図です。
冒頭の主張の説明
冒頭の主張の説明
以下の二点により冒頭の主張が証明されます:
-
任意の有理数 に対して,長さ の線分が与えられたときに長さ の線分は作図できる( 等分の作図と 倍の作図は簡単にできることから分かる)
-
長さ の線分と長さ の線分が与えられたときに長さ の線分は作図できる(説明済)
作図は数学Aで習います。平方根の作図も教科書範囲内です。