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三角関数の微分公式と問題例

更新日時 2021/02/24
三角関数の微分公式

(sinx)=cosx(cosx)=sinx(tanx)=1cos2x(Arcsin x)=11x2(Arccos x)=11x2(Arctan x)=11+x2 \begin{aligned} (\sin x)' &= \cos x\\ (\cos x)' &= -\sin x\\ (\tan x)' &= \dfrac{1}{\cos^2 x}\\ (\mathrm{Arcsin}~ x)' &= \dfrac{1}{\sqrt{1-x^2}}\\ (\mathrm{Arccos}~ x)' &= -\dfrac{1}{\sqrt{1-x^2}}\\ (\mathrm{Arctan}~ x)' &= \dfrac{1}{1+x^2}\\ \end{aligned}

この記事では,三角関数サイン・コサイン・タンジェントに関する公式の簡単な証明,その公式を使った問題例について解説します。

目次
  • 三角関数の微分公式の証明

  • 公式を使った問題例

三角関数の微分公式の証明

三角関数とは,図形問題をはじめ数学の様々な分野で登場する大事な関数です(三角関数の定義は三角関数の3通りの定義とメリットデメリットを参照してください)。

三角関数の微分(導関数)は,以下の公式で計算できます。

  • (sinx)=cosx(\sin x)' = \cos x
  • (cosx)=sinx(\cos x)' = -\sin x
  • (tanx)=1cos2x(\tan x)' = \dfrac{1}{\cos^2 x}

まずはこれを証明します。

サインに関しては,三角関数の極限における最重要公式→sinx/xについて覚えておくべき2つのこと limh0sinhh=1 \lim_{h\to 0} \dfrac{\sin h}{h} = 1 を利用すれば証明できます。

sinx\sin x の導関数は,定義により, limh0sin(x+h)sinxh \lim_{h\to 0} \dfrac{\sin (x+h)-\sin x}{h} である。 limh0cosh1h=limh0(cosh1)(cosh+1)h(cosh+1)=limh0{sin2hh2×h1+cosh}=12×0=0 \begin{aligned} &\lim_{h\to 0} \dfrac{\cos h - 1}{h}\\ &= \lim_{h\to 0} \dfrac{(\cos h - 1)(\cos h + 1)}{h(\cos h + 1)}\\ &= \lim_{h\to 0}\left\{- \dfrac{\sin^2 h}{h^2} \times \dfrac{h}{1+\cos h}\right\}\\ &= -1^2 \times 0\\ & = 0 \end{aligned} であることを考えると, limh0sin(x+h)sinxh=limh0sinx(cosh1)+cosxsinhh=sinxlimh0cosh1h+cosxlimh0sinhh=sinx0+cosx1=cosx \begin{aligned} &\lim_{h\to 0}\dfrac{\sin (x+h)-\sin x}{h}\\ &= \lim_{h\to 0} \dfrac{\sin x(\cos h - 1) + \cos x \sin h }{h}\\ &= \sin x\cdot \lim_{h\to 0} \dfrac{\cos h - 1}{h}+\cos x\cdot \lim_{h\to 0} \dfrac{\sin h}{h}\\ &= \sin x \cdot 0 + \cos x \cdot 1\\ &= \cos x \end{aligned}

その他の証明方法は→sinxの微分公式の3通りの証明を参照してください。

また,cos\cos についてもほぼ同様に証明できます。詳しくは→cosxの微分公式のいろいろな証明

さらに,tan\tan については商の微分公式を使うと簡単に導出できます。教科書でもこの証明が採用されていることが多いです。→tanxと1/tanxの微分公式のいろいろな証明

(tanx)=(sinxcosx)=(sinx)cosxsinx(cosx)cos2x=cos2x+sin2xcos2x=1cos2x \begin{aligned} (\tan x)' &= \left(\dfrac{\sin x}{\cos x}\right)'\\ &= \dfrac{(\sin x)'\cos x - \sin x (\cos x)'}{\cos^2 x}\\ &= \dfrac{\cos^2 x + \sin^2 x}{\cos^2 x}\\ &= \dfrac{1}{\cos^2 x}\\ \end{aligned}

また,三角関数の逆関数である Arcsin\mathrm{Arcsin} 等も様々な分野に登場します。→逆三角関数の重要な性質まとめ

逆三角関数の微分は以下のようになります:

  • (Arcsin x)=11x2(\mathrm{Arcsin}~ x)' = \dfrac{1}{\sqrt{1-x^2}}
  • (Arccos x)=11x2(\mathrm{Arccos}~ x)' = -\dfrac{1}{\sqrt{1-x^2}}
  • (Arctan x)=11+x2(\mathrm{Arctan}~ x)' = \dfrac{1}{1+x^2}

上の記事に逆三角関数の導関数の求め方が詳しく書いてあるので,ぜひご覧ください。逆関数の微分を求める良い練習になります。

公式を使った問題例

では,公式を使っていろいろな関数の導関数を求めてみましょう。三角関数を含む関数の微分では「合成関数の微分」「積の微分」「商の微分」を使うことが多いです。忘れた方は以下の記事を参照ください。

例1

y=sin3(4x)y = \sin^3 (4x) の導関数を求めよ。

sinx\sin x の微分が cosx\cos x になることと,合成関数の微分法を用います。

y=3sin2(4x)(sin4x)=3sin2(4x)cos(4x)(4x)=12sin2(4x)cos(4x) \begin{aligned} y' &= 3\sin^2 (4x) \cdot (\sin 4x)'\\ &= 3\sin^2 (4x) \cdot \cos (4x) \cdot (4x)'\\ &= 12\sin^2 (4x) \cdot \cos (4x)\\ \end{aligned}

例2

y=x2cosx1+sinxy = x^2 \cos x\sqrt{1 + \sin x} の導関数を(sinx1\sin x\neq -1 を満たす xx の範囲で)求めよ。

この問題に関しては,積の微分法を二回利用してもいいのですが,3つの関数の積の微分なので,ライプニッツの公式を利用すれば簡潔に解けます。→ライプニッツの公式の証明と二項定理

ライプニッツの公式より,f,g,hf,g,hxx の関数としたとき,関数の積 fghfgh の導関数は (fgh)=fgh+fgh+fgh (fgh)' = f'gh + fg'h + fgh' となる。よって, y=(x2)cosx1+sinx+x2(cosx)1+sinx+x2cosx(1+sinx)=2xcosx1+sinxx2sinx1+sinx+x2cosxcosx21+sinx=2xcosx1+sinxx2sinx1+sinx+x2cos2x1+sinx2(1+sinx)=2xcosx1+sinxx2sinx1+sinx+x2(1sinx)(1+sinx)1+sinx2(1+sinx)=2xcosx1+sinxx2sinx1+sinx+x2(1sinx)1+sinx2=1+sinx(2xcosxx2sinx+x2(1sinx)2)=1+sinx(2xcosx32x2sinx+x22) \begin{aligned} y' &= (x^2)' \cos x\sqrt{1 + \sin x}+x^2 (\cos x)'\sqrt{1 + \sin x}\\ &\:\:\:+x^2 \cos x(\sqrt{1 + \sin x})'\\ &= 2x\cos x\sqrt{1 + \sin x} - x^2 \sin x\sqrt{1 + \sin x}\\ &\:\:\:+x^2 \cos x \dfrac{\cos x}{2\sqrt{1+\sin x}}\\ &= 2x\cos x\sqrt{1 + \sin x} - x^2 \sin x\sqrt{1 + \sin x}\\ &\:\:\:+x^2 \cos^2 x \dfrac{\sqrt{1 + \sin x}}{2(1+\sin x)}\\ &= 2x\cos x\sqrt{1 + \sin x} - x^2 \sin x\sqrt{1 + \sin x}\\ &\:\:\:+x^2 (1-\sin x)(1+ \sin x) \cdot \dfrac{\sqrt{1 + \sin x}}{2(1+\sin x)}\\ &= 2x\cos x\sqrt{1 + \sin x} - x^2 \sin x\sqrt{1 + \sin x}\\ &\:\:\:+x^2 (1-\sin x) \cdot \dfrac{\sqrt{1 + \sin x}}{2}\\ &= \sqrt{1 + \sin x}\cdot \left(2x\cos x - x^2 \sin x + \dfrac{x^2(1-\sin x)}{2}\right)\\ &= \sqrt{1 + \sin x}\cdot \left(2x\cos x - \dfrac{3}{2}x^2 \sin x + \dfrac{x^2}{2}\right)\\ \end{aligned}

次は,逆三角関数を含む式の微分です。

例3

y=Arcsin x1+tan2xy = \dfrac{\mathrm{Arcsin}~ x}{1 + \tan^2 x} の導関数を求めよ。

商の微分や,合成関数の微分を利用します。また,三角関数の関係式を利用すると導関数をさらに簡単に表せます。

導関数は,商の微分公式より (Arcsin x)(1+tan2x)Arcsin x(1+tan2x)(1+tan2x)2=11x2(1+tan2x)Arcsin x2tanx(tanx)(1+tan2x)2=11x2(1+tan2x)Arcsin x2tanx(1cos2x)(1+tan2x)2 \begin{aligned} & \dfrac{(\mathrm{Arcsin}~x)'(1+\tan^2 x) - \mathrm{Arcsin}~x(1+\tan^2 x)'}{(1+\tan^2 x)^2}\\ &= \dfrac{\dfrac{1}{\sqrt{1-x^2}}(1+\tan^2 x) - \mathrm{Arcsin}~x\cdot 2 \tan x (\tan x)'}{(1+\tan^2 x)^2}\\ &= \dfrac{\dfrac{1}{\sqrt{1-x^2}}(1+\tan^2 x) - \mathrm{Arcsin}~x\cdot 2 \tan x \left(\dfrac{1}{\cos^2 x}\right)}{(1+\tan^2 x)^2}\\ \end{aligned} ここで,三角関数の公式として, 1+tan2x=1cos2x 1 + \tan^2 x = \dfrac{1}{\cos^2 x} が成立することを使うと,上式は 11x2(1+tan2x)Arcsin x2tanx(1+tan2x)(1+tan2x)2=11x2Arcsin x2tanx1+tan2x=cos2x{11x2Arcsin x2tanx}=cos2x1x2Arcsin x2sinxcosx=cos2x1x2Arcsin xsin(2x) \begin{aligned} & \dfrac{\dfrac{1}{\sqrt{1-x^2}}(1+\tan^2 x) - \mathrm{Arcsin}~x\cdot 2 \tan x (1+\tan^2 x)}{(1+\tan^2 x)^2}\\ &= \dfrac{\dfrac{1}{\sqrt{1-x^2}} - \mathrm{Arcsin}~x\cdot 2 \tan x }{1+\tan^2 x}\\ &= \cos^2 x\left\{\dfrac{1}{\sqrt{1-x^2}} - \mathrm{Arcsin}~x\cdot 2 \tan x\right\}\\ &= \dfrac{\cos^2 x}{\sqrt{1-x^2}} - \mathrm{Arcsin}~x\cdot 2 \sin x \cos x\\ &= \dfrac{\cos^2 x}{\sqrt{1-x^2}} - \mathrm{Arcsin}~x\cdot \sin (2x)\\ \end{aligned}

微分は計算が大変になることはありますが,積分と違って方針で迷うことは少ないです。

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