双曲線

双曲線とは

2点からの距離の差が一定である点の軌跡を双曲線と言う。また,この2点のことを焦点と言う。

双曲線とは

双曲線の基礎知識

焦点がx軸上にある双曲線

x2a2y2b2=1\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=1 は双曲線を表す。この双曲線は,

  1. 二点 (±a2+b2,0)(\pm\sqrt{a^2+b^2},0) からの距離の差が 2a2a で一定である。
  2. (±a,0)(\pm a,0) を通る。
  3. y=±baxy=\pm\dfrac{b}{a}x が漸近線

焦点がx軸上にある双曲線

証明

頑張って計算するのみ。(±c,0)(\pm c,0) からの距離の差が 2a2a のとき,

(xc)2+y2(x+c)2+y2=±2a\sqrt{(x-c)^2+y^2}-\sqrt{(x+c)^2+y^2}=\pm 2a

(xc)2+y2=(x+c)2+y2±2a\sqrt{(x-c)^2+y^2}=\sqrt{(x+c)^2+y^2}\pm 2a

両辺2乗して

2cx=2cx+4a2±4a(x+c)2+y2-2cx=2cx+4a^2\pm 4a\sqrt{(x+c)^2+y^2}

cxaa=±(x+c)2+y2\dfrac{-cx}{a}-a=\pm \sqrt{(x+c)^2+y^2}

両辺2乗すると,

c2x2a2+2cx+a2=x2+2cx+c2+y2\dfrac{c^2x^2}{a^2}+2cx+a^2=x^2+2cx+c^2+y^2

c2a2a2x2y2=c2a2\dfrac{c^2-a^2}{a^2}x^2-y^2=c^2-a^2

よって,c2=a2+b2c^2=a^2+b^2 とすると,上式は

x2a2y2b2=1\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=1 となる。

なお,2は明らかです。3(漸近線)については双曲線の漸近線の簡単な求め方と証明で解説しています。

練習問題1

双曲線 x24y29=1\dfrac{x^2}{4}-\dfrac{y^2}{9}=1 の焦点と漸近線を求めよ。

解答

さきほどの1より焦点は (±4+9,0)(\pm\sqrt{4+9},0) となる。つまり (13,0)(\sqrt{13},0)(13,0)(-\sqrt{13},0)

また,3より漸近線は y=±32xy=\pm\dfrac{3}{2}x

焦点がy軸上にある双曲線

x2a2y2b2=1\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=-1 は双曲線を表す。この双曲線は,

  • 二点 (0,±a2+b2)(0,\pm\sqrt{a^2+b^2}) からの距離の差が 2b2b で一定である。
  • (0,±b)(0,\pm b) を通る。
  • y=±baxy=\pm\dfrac{b}{a}x が漸近線

焦点がy軸上にある双曲線

さきほどは右辺が 11 でしたが,こちらは 1-1 です。

入試対策レベルの知識

平行移動

ここまでは,原点中心の双曲線でしたが,そうでない場合もあります。グラフの平行移動(具体例と公式の証明)を使って考えます。

練習問題2

(x2)216(y+3)2=1\dfrac{(x-2)^2}{16}-(y+3)^2=-1 の焦点と漸近線を求めよ。

解答

x216y2=1\dfrac{x^2}{16}-y^2=-1 という「原点中心の双曲線」を xx 軸方向に 22yy 軸方向に 3-3 平行移動したものである。

この「原点中心の双曲線」の焦点はさきほどの公式より(0,±17)(0,\pm\sqrt{17}) であり,漸近線は y=±14xy=\pm\dfrac{1}{4}x である。

よって,求める焦点は (2,±173)(2,\pm\sqrt{17}-3) となり,漸近線は y+3=±14(x2)y+3=\pm\dfrac{1}{4}(x-2) である。

接線

双曲線の接線

双曲線 x2a2y2b2=1\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=1 上の点 (x0,y0)(x_0,y_0) における接線の方程式は,
x0xa2y0yb2=1\dfrac{x_0x}{a^2}-\dfrac{y_0y}{b^2}=1

双曲線 x2a2y2b2=1\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=-1 上の点 (x0,y0)(x_0,y_0) における接線の方程式は,
x0xa2y0yb2=1\dfrac{x_0x}{a^2}-\dfrac{y_0y}{b^2}=-1

接線の方程式の導出は楕円の場合と同じです。例えば,楕円の接線を求める公式とその証明の「傾きと通る1点から求める方法」を参照ください。

発展

ここから双曲線にまつわる知識を6つ紹介します。いずれも,入試で活躍する可能性は低いですが「もしかしたら役立つかもしれないしおもしろい知識」です。

媒介変数表示

  • 双曲線 x2a2y2b2=1\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=1 は,x=acosθ,y=btanθx=\dfrac{a}{\cos\theta},\:y=b\tan\theta と媒介変数表示できます。1+tan2θ=1cos2θ1+\tan^2\theta=\dfrac{1}{\cos^2\theta} という関係式がもとになっています。

  • 双曲線 x2a2y2b2=1\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=1 は,x=aet+et2,y=betet2x=a\cdot\dfrac{e^t+e^{-t}}{2},\:y=b\cdot\dfrac{e^t-e^{-t}}{2} と媒介変数表示することもできます。詳細は,→楕円・双曲線の媒介変数表示の3通りの方法

45°回転

実は,反比例 y=cxy=\dfrac{c}{x} も双曲線です。2点からの距離の差が一定の軌跡です。

ここまでは xx 軸上あるいは yy 軸上に焦点がある双曲線を紹介しましたが,それらを45°回転したものです。

一次分数関数 y=cx+dax+by=\dfrac{cx+d}{ax+b} も反比例を平行移動したものなので双曲線です。→一次分数関数のグラフと漸近線

準線と離心率

双曲線は「2点からの距離の差が一定」で定義されましたが,「点 FF からの距離と直線 ll からの距離の比が一定」で定義することもできます。

この直線 ll準線と言い,比を離心率と言います。双曲線の離心率は 11 より大きいです。 離心率とは

双曲線 x2a2y2b2=1\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=1 について,準線(の1つ)は x=a2a2+b2x=\dfrac{a^2}{\sqrt{a^2+b^2}},離心率は a2+b2a\dfrac{\sqrt{a^2+b^2}}{a} になります。詳細は,→離心率の意味と関連する計算

極座標表示

極座標で r=l1+εcosθ(l>0,ε>1)r=\dfrac{l}{1+\varepsilon\cos\theta}\:(l>0,\varepsilon>1) と表される曲線は双曲線です。ε\varepsilon はさきほど登場した離心率です。ll は半直弦と呼ばれます。詳細は,→二次曲線(楕円,放物線,双曲線)の極座標表示

円錐曲線

双曲線は「円錐を母線より急な曲線で切ったときにできる曲線」とみなすこともできます。詳細は,→二次曲線の分類(四通りの方法)

準円

双曲線に対して,「その点から双曲線に引いた2本の接線が直交する」ような点の集合は円になります。これを双曲線の準円と言います。→楕円,放物線,双曲線の準円

放物線・楕円・双曲線の中では一番双曲線が好きです。

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