楕円の接線を求める公式とその証明

更新日時 2021/03/07
楕円の接線を求める公式(原点中心の場合)

楕円 x2a2+y2b2=1\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1 上の点 P(x0,y0)P(x_0,y_0) における接線の方程式は,

x0xa2+y0yb2=1\dfrac{x_0x}{a^2}+\dfrac{y_0y}{b^2}=1

目次
  • 楕円の接線を求める公式について

  • 傾きと通る1点から求める方法

  • 円の結果を用いる方法

  • 中心が原点とは限らない楕円の接線

楕円の接線を求める公式について

  • 楕円の方程式 x2a2+y2b2=1\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1 において x2x0xx^2\to x_0xy2y0yy^2\to y_0y とすれば楕円の接線の方程式になります。覚えやすいです。

  • a=ba=b の場合は円の接線の方程式を求める公式になります。→円の接線の方程式を求める公式の3通りの証明

以下では,楕円の接線の方程式を求める方法(冒頭の公式の証明)を2通り解説します。

傾きと通る1点から求める方法

証明

y0=0y_0=0 のとき公式が正しいことは簡単に確認できる。以下 y00y_0\neq 0 とする。

x2a2+y2b2=1\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1 の両辺を xx で微分すると,

2xa2+2yb2dydx=0\dfrac{2x}{a^2}+\dfrac{2y}{b^2}\dfrac{dy}{dx}=0

よって,dydx=b2xa2y\dfrac{dy}{dx}=-\dfrac{b^2x}{a^2y}

なので,求める接線の傾きは,

b2x0a2y0-\dfrac{b^2x_0}{a^2y_0}

よって,接線の方程式は,

yy0=b2x0a2y0(xx0)y-y_0=-\dfrac{b^2x_0}{a^2y_0}(x-x_0)

x0xa2+y0yb2=x02a2+y02b2\dfrac{x_0x}{a^2}+\dfrac{y_0y}{b^2}=\dfrac{x_0^2}{a^2}+\dfrac{y_0^2}{b^2}

PP が楕円上の点であることから,上式は,x0xa2+y0yb2=1\dfrac{x_0x}{a^2}+\dfrac{y_0y}{b^2}=1

となる。

円の結果を用いる方法

証明

考えている図形を yy 軸方向に ab\dfrac{a}{b} 倍に拡大すると,

楕円: x2a2+y2b2=1\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1 → 円: x2+y2=a2x^2+y^2=a^2

PP(x0,y0)(x_0,y_0)(x0,aby0)(x_0,\dfrac{a}{b}y_0)

変換後の接線の方程式は円の場合の結果より,

x0x+aby0y=a2x_0x+\dfrac{a}{b}y_0y=a^2

これを ba\dfrac{b}{a} 倍に縮小する(もとの世界に戻す)と,

x0x+aby0aby=a2x_0x+\dfrac{a}{b}y_0\cdot\dfrac{a}{b}y=a^2

つまり,x0xa2+y0yb2=1\dfrac{x_0x}{a^2}+\dfrac{y_0y}{b^2}=1

中心が原点とは限らない楕円の接線

中心が原点とは限らない,より一般的な楕円の接線の方程式です。

楕円の接線の方程式(一般形)

楕円 (xA)2a2+(yB)2b2=1\dfrac{(x-A)^2}{a^2}+\dfrac{(y-B)^2}{b^2}=1 上の点 P(x0,y0)P(x_0,y_0) における接線の方程式は,

(xA)(x0A)a2+(yB)(y0B)b2=1\dfrac{(x-A)(x_0-A)}{a^2}+\dfrac{(y-B)(y_0-B)}{b^2}=1

これも,冒頭の公式に(極線の方程式の証明と応用でも用いた)平行移動の議論を適用することで導けます。

なお,接する→重解→判別式が 00 を用いて導出することもできます。