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反転にまつわる軌跡の有名問題

更新日時 2021/03/07

受験生なら一度はやっておきたい軌跡の有名問題を解説します。実は,反転という幾何学の手法を背景とする問題です。

軌跡の問題を通じて→反転幾何の基礎で解説した性質1−1から1−4を証明します。

目次
  • 問題

  • 準備

  • (1)原点を通る直線

  • (2)原点を通らない直線

  • (3)原点を通る円

  • (4)原点を通らない円

問題

QQ が以下の(1)~(4)のような図形上をそれぞれ動く。点 PP は半直線 OQOQ 上の点で,OPOQ=1OP\cdot OQ=1 を満たす。このとき,PP が動く軌跡の方程式を求めよ。

(1)原点を通る直線 ax+by=0ax+by=0 から原点を除いたもの

(2)原点を通らない直線 ax+by+c=0ax+by+c=0

(3)原点を通る円 (xa)2+(yb)2=a2+b2(x-a)^2+(y-b)^2=a^2+b^2 から原点を除いたもの

(4)原点を通らない円 (xa)2+(yb)2=r2(x-a)^2+(y-b)^2=r^2

軌跡の問題としては特に(2),(3)が頻出です。

準備

まずは,軌跡を求める点 PP(X,Y)(X,Y) とおいて,動く点 QQ の座標を X,YX,Y で表現します。

PP の座標を (X,Y)(X,Y) とおく。 QQ は半直線 OPOP 上にあるので,QQ の座標は (kX,kY)(kX,kY) と書ける。 OQOP=1OQ\cdot OP=1 より kX2+Y2X2+Y2=1k\sqrt{X^2+Y^2}\cdot\sqrt{X^2+Y^2}=1

よって,k=1X2+Y2k=\dfrac{1}{X^2+Y^2} となり,Q(XX2+Y2,YX2+Y2)Q(\dfrac{X}{X^2+Y^2},\dfrac{Y}{X^2+Y^2})

(1)原点を通る直線

答えは図形的に明らかですが,一応やっておきます。

(1の解答)

QQax+by=0ax+by=0(x,y)(0,0)(x,y)\neq (0,0) )を動くとき,aXX2+Y2+bYX2+Y2=0\dfrac{aX}{X^2+Y^2}+\dfrac{bY}{X^2+Y^2}=0

よって,aX+bY=0aX+bY=0 となり, PP はもとの直線と同じ直線上を動く。

注:厳密には原点を除いた直線全体を動くことをいう必要がありますが,図を書けば明らかなので省略します。(2)以降も同じです。

(2)原点を通らない直線

(2の解答)

QQax+by+c=0ax+by+c=0 を動くとき,aXX2+Y2+bYX2+Y2+c=0\dfrac{aX}{X^2+Y^2}+\dfrac{bY}{X^2+Y^2}+c=0

c0c\neq 0 に注意してこれを変形していく:

aX+bY+cX2+cY2=0aX+bY+cX^2+cY^2=0

(X+a2c)2+(Y+b2c)2=a2+b24c2(X+\dfrac{a}{2c})^2+(Y+\dfrac{b}{2c})^2=\dfrac{a^2+b^2}{4c^2}

つまり, PP は原点を通る円周上を動く。(ただし原点は除く)

注:(2)は三角形の相似を用いて証明することもできます。

(3)原点を通る円

反転を2回すると元に戻ることと,(2)の結果からも分かりますが,一応。

(3の解答)

QQ(xa)2+(yb)2=a2+b2(x-a)^2+(y-b)^2=a^2+b^2 上を動くとき,(XX2+Y2a)2+(YX2+Y2b)2=a2+b2(\dfrac{X}{X^2+Y^2}-a)^2+(\dfrac{Y}{X^2+Y^2}-b)^2=a^2+b^2

これを変形していく:

X2+Y2(X2+Y2)22aX+2bYX2+Y2=0\dfrac{X^2+Y^2}{(X^2+Y^2)^2}-\dfrac{2aX+2bY}{X^2+Y^2}=0

2aX+2bY1=02aX+2bY-1=0

つまり, PP は原点を通らない直線上を動く。

(4)原点を通らない円

4の証明

QQ(xa)2+(yb)2=r2(x-a)^2+(y-b)^2=r^2 上を動くとき,(XX2+Y2a)2+(YX2+Y2b)2=r2(\dfrac{X}{X^2+Y^2}-a)^2+(\dfrac{Y}{X^2+Y^2}-b)^2=r^2

これを変形していく。見やすくするために c=r2a2b2(c0)c=r^2-a^2-b^2\:(c\neq 0) とおくと,

X2+Y2(X2+Y2)22aX+2bYX2+Y2=c\dfrac{X^2+Y^2}{(X^2+Y^2)^2}-\dfrac{2aX+2bY}{X^2+Y^2}=c

X2+Y2+2aXc+2bYc=1cX^2+Y^2+\dfrac{2aX}{c}+\dfrac{2bY}{c}=\dfrac{1}{c}

(X+ac)2+(Y+bc)2=1c+a2+b2c2=r2c2(X+\dfrac{a}{c})^2+(Y+\dfrac{b}{c})^2=\dfrac{1}{c}+\dfrac{a^2+b^2}{c^2}=\dfrac{r^2}{c^2}

つまり, PP は原点を通らない円周上を動く。

以上により,反転の重要な性質 「円や直線は反転で円や直線にうつる」が証明されました!

反転変換は今年のJMO本選で活躍したおかげで,一部マニアの間では話題になりましたね。

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