検算の重要性と具体的なテクニック5つ
検算とは,計算して出した答えが正しいかどうかを確かめることです。
数学の試験では,「解き方は分かっていたのに計算ミスで失点した」ということがよくあります。そこで重要になるのが検算です。
この記事では,数学の試験ですぐに使える検算のテクニックを5つ紹介します。
- 別の方法で解く
- 具体的な値を代入する
- 逆の計算をする
- 答えの大きさや符号を予想する
- 答えの形に違和感がないか確認する
すべての問題で丁寧に計算をやり直す必要はありません。問題に応じて適切な検算を使えば,短時間で計算ミスを発見できます。
検算が重要な理由
検算が重要な理由
数学では,途中でたった1箇所計算ミスをしただけで,最終的な答えが不正解になります。
特に求値問題では,
- 符号を1つ間違えた
- 数字を書き写し間違えた
- 分数の計算を間違えた
- 場合の数を1つ数え忘れた
といった小さなミスが,そのまま失点につながります。
しかも,計算ミスをしやすい問題は難問とは限りません。本来なら正解できた問題を落とすことは,試験では非常にもったいない失点です。
そこで役立つのが検算です。
検算というと「最初から計算過程を見直す」ことを思い浮かべるかもしれません。しかし,同じ計算をもう一度たどるだけでは,同じミスを見逃してしまうこともあります。
そこでおすすめなのが,最初とは違う視点から答えをチェックすることです。
以下,具体的な方法を見ていきます。
1.別の方法で解く
1.別の方法で解く
非常に強力な検算方法が,同じ問題を別の方法で解くことです。
異なる方法で計算して同じ答えになれば,答えの信頼度はかなり高くなります。
例えば, を計算するとき, と前から計算する方法と, と後ろから計算する方法があります。両方で になれば,単純な計算ミスをしている可能性は低いと考えられます。
高校数学でも,次のような検算ができます。
- 二次方程式を因数分解で解いたら,解の公式でも確認する
- 確率を余事象で求めたら,直接数える方法でも考えてみる
- 図形問題を座標で解いたら,幾何的な方法でも考えてみる
- 積分を普通に計算したら,置換積分など別の方法でも計算してみる
ただし,本番中に毎回2通りで完全に解くのは時間がかかります。
別解がすぐ思いつく問題だけ使うのがおすすめです。
このサイトでも,同じ問題に対する複数の解法や検算に使える公式を紹介しています。
2.具体的な値を代入する
2.具体的な値を代入する
文字を含む式では,簡単な数を代入するだけで間違いを発見できることがあります。
例えば, という展開結果を確認したいとします。 を代入すると, であり,右辺も となります。
これだけで恒等式が正しいと証明できるわけではありませんが,展開ミスをしていないかを短時間でチェックする方法として有効です。
ほかにも,次のように使えます。
- 方程式では,求めた解をもとの式に代入する
- 数列の一般項では を代入する
- 行列の 乗では を確認する
- を含む確率では,小さい で実際に数えて確認する
- 極限を含む式では, のときの振る舞いに違和感がないかを見る
例えば, 人でじゃんけんをしたときにあいこになる確率 を考えます。 とすると, となり,実際の2人じゃんけんと一致します。 また, では となります。人数が非常に多ければ,全員が同じ手または2種類だけの手になる可能性は小さくなるので,この結果にも違和感はありません。 → じゃんけんであいこになる確率の求め方と値
なお,1つの値を代入して一致しただけでは証明にはなりません。 あくまで,明らかな計算ミスを発見するための検算です。
3.逆の計算をする
3.逆の計算をする
計算には「逆向きの操作」があります。
そこで,答えから逆に計算して元に戻るか確認するのも非常に有効です。
例えば, と計算したなら, になるか確認します。
ほかにも,
- かけ算 → 割り算で確認
- 素因数分解 → すべて掛けて元の数になるか確認
- 展開 → 因数分解して元に戻るか確認
- 方程式 → 解を代入して元の式を満たすか確認
- 不定積分 → 微分して被積分関数に戻るか確認
などがあります。
特に積分では有効です。
例えば, と計算したなら, になっているかを確認できます。
定積分でも,数値を代入する前に原始関数を微分して確認すると,符号ミスや係数の間違いを発見しやすくなります。
「逆の操作で元に戻るか?」は,最も使いやすい検算の1つです。
4.答えの大きさ・符号を予想する
4.答えの大きさ・符号を予想する
正確な答えをもう一度計算しなくても,答えがだいたいどのくらいになるはずかを考えるだけでミスを発見できます。
例えば,図形の問題では非常に有効です。
1辺が の正三角形の面積は です。 ここで なので,面積は約 です。
これは,「同じ辺の長さをもつ正方形の面積 の半分より少し小さい」という図から受ける感覚とも一致します。
逆に, のような答えが出たら,正方形よりはるかに大きな面積になってしまうので,計算ミスを疑うべきです。
このように,
- 長さは正の値になっているか
- 面積・体積は正の値になっているか
- 確率は 0 以上 1 以下か
- は 以上 以下か
- 求めた値が図から見て大きすぎたり小さすぎたりしないか
を確認するだけでも,多くのミスを発見できます。
正確な再計算ではなく,ざっくりした予想と比較するのがポイントです。
5.答えの形に違和感がないか確認する
5.答えの形に違和感がないか確認する
最後は少し経験が必要ですが,非常に役立つ方法です。
「この問題で,こんな答えが出るのは不自然ではないか?」と考えます。
例えば,入試問題を解いている途中で突然, のような,簡単には因数分解できそうにない三次方程式を解かなければならなくなったとします。
もちろんそれが正しい場合もありますが,高校数学の入試問題で,それまで素直に計算できていたのに突然扱いにくい方程式が現れたなら,直前までの計算を疑う価値があります。 → 方程式の有理数解
同じように,
- 答えだけ急に非常に複雑になった
- 対称な問題なのに答えが対称になっていない
- 整数になりそうな設定なのに中途半端な分数になった
- のような特殊な場合に不自然な式になる
- 図から明らかな性質と答えが矛盾している
といった場合は,計算ミスの可能性を疑いましょう。
ただし,「答えがきれいだから正しい」「汚いから間違い」と決めつけてはいけません。
あくまで違和感をきっかけに,再確認する場所を見つけるための方法です。
試験中はどの検算を使えばよい?
試験中はどの検算を使えばよい?
検算に時間をかけすぎて,ほかの問題を解く時間がなくなっては本末転倒です。
そこで,問題を解き終わった直後に数秒〜数十秒でできる検算を優先するのがおすすめです。
例えば,
- 方程式 → 求めた解を代入する
- 積分 → 微分して確認する
- 展開 → 簡単な数を代入する
- 確率 → を確認する
- 図形 → 長さ・角度・面積の大きさを見る
- 一般項 → を代入する
といった具合です。
それでも自信がない問題や,配点の大きい問題については,別解で確認したり,途中式を丁寧に見直したりするとよいでしょう。
「全部を最初から見直す」のではなく,問題ごとに最も簡単な検算を選ぶことが大切です。
まとめ
まとめ
検算の代表的な方法は次の5つです。
- 別の方法で解く
- 具体的な値を代入する
- 逆の計算をする
- 答えの大きさや符号を予想する
- 答えの形に違和感がないか確認する
検算は,単に計算をもう一度やり直すことではありません。
答えを別の方向からチェックする習慣をつけることで,短時間でも計算ミスを発見しやすくなります。
普段の問題演習から,「この問題はどうやって検算できるだろう?」と考えてみてください。本番でも自然に検算できるようになります。
検算以外の勉強のコツについては,試験の点数を上げるための具体的な方法8つで紹介しています。
数学の試験は,答えを出したら終わりではありません。代入・逆算・概算など,問題に合った方法で素早く検算することで,もったいない計算ミスを減らせます。