じゃんけんであいこになる確率の求め方と値

nn 人でじゃんけんをしたときにあいこになる確率は pn=12n23n1p_n=1-\dfrac{2^n-2}{3^{n-1}}

前半はじゃんけんであいこになる確率 pnp_n の二通りの導出。

後半は2人,3人, \cdots ,10人のときに実際にあいこになる確率の計算。

1.余事象による導出

あいこになる確率よりもあいこにならない確率の方が計算しやすいので余事象を使います。

証明

あいこにならない確率を求めて1から引けばよい。

全員の手の出し方は全部で 3n3^n 通り。あいこにならないのは全員の出した手がちょうど2種類であるとき。どの2種類かで3通り,その各々に対して考えられる場合の数は 2n22^n-2 通りである(→注)。

以上より求める確率は

13(2n2)3n=12n23n11-\dfrac{3(2^n-2)}{3^n}=1-\dfrac{2^n-2}{3^{n-1}}

注:例えば「全員がグーまたはチョキ」という場合の数は 2n2^n 通りですが「全員がグー」または「全員がチョキ」という2通りを除外する必要があります。

2.全射の個数の公式を用いた導出

ややマニアックですが,全射の個数の公式(→全射の個数の証明とベル数)を知っていれば一発です。

証明

3n3^n 通りの出し方のうちあいこになる場合の数は,

  • 全員が同じ手:3通り
  • 全種類が出る: i=13(1)3i3Ciin=332n+3n\displaystyle\sum_{i=1}^3(-1)^{3-i}{}_3\mathrm{C}_ii^n=3-3\cdot 2^n+3^n 通り

よって,求める確率は 3+332n+3n3n=12n23n1\dfrac{3+3-3\cdot 2^n+3^n}{3^n}=1-\dfrac{2^n-2}{3^{n-1}}

あいこの確率の値

実際にあいこになる確率がどれくらいになるのか計算してみました。

2人:33.3%

3人:33.3%

4人:48.1%

5人:63.0%

6人:74.5%

7人:82.7%

8人:88.4%

9人:92.2%

10人:94.8%

このように,人数が増えるとあいこの確率は急激に上昇します。人数が多いときはじゃんけんよりも「グッパで分かれましょー」などをやった方がよいというわけです。

極限

当然ですが,limnpn=limn(12n23n1)=1\displaystyle\lim_{n\to\infty}p_n=\lim_{n\to\infty}(1-\dfrac{2^n-2}{3^{n-1}})=1 が成立します。大人数でじゃんけんするとずっと終わらない,という感覚に合っています。

このように,変数を含む確率の問題では極限を考えることでも検算ができます。この方法で(例えば余事象をとり忘れるなどの)ひどい計算ミスは防ぐことができます。

→高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~のT18も参照してください。

10人以上でじゃんけんをするのは愚かです。