四倍角の公式の証明と考察
四倍角の公式は加法定理から導ける。オイラーの公式(ド・モアブルの定理)からも導ける。
四倍角の公式
四倍角の公式
をそれぞれ
の式で表したものを
倍角の公式と言います。2倍角,3倍角の公式については高校の教科書に載っています。
→三倍角の公式:基礎からおもしろい発展形まで
このページでは,四倍角の公式について考えてみます。
の方は,右辺が のみの式で表されていてキレイです。一方, の方は と が混ざっていて少し残念です。
実は,より一般に は の 次式で表すことができます。 の 倍角の公式をもとにチェビシェフ多項式というものが定義されます。→チェビシェフ多項式
加法定理を用いた四倍角の公式の証明
加法定理を用いた四倍角の公式の証明
それでは本題,四倍角の公式を証明します。三倍角の公式を導いたときと同じ方法で証明できると考えるのが普通ですね。定番の証明方法です。
オイラーの公式を用いた四倍角の公式の証明
オイラーの公式を用いた四倍角の公式の証明
複素指数関数を用いたスマートな証明も紹介します。
→オイラーの公式と複素指数関数
「複素指数関数の指数法則」は加法定理と対応しているので,本質的には加法定理を使うことになるのですが,記述が簡略化され美しいです。
オイラーの公式より,,
また,複素指数関数の指数法則より, なので,
右辺を頑張って展開すると,
実部どうし,虚部どうしを比較することで四倍角の公式を得る。
機械的に計算できますが,こちらの証明の方が少しだけ計算量が多いです。
ちなみに,この証明は 倍角の場合に一般化できます。その途中で得られる式: をド・モアブルの定理と呼びます。
ド・モアブルの定理から 倍角の公式は全て機械的に導けますが, 乗を展開するのがめんどうですし,一般形を簡単な式で表すことはできません。
なお,実用上は四倍角の公式を使う場面はない(少なくとも私は使ったことがありません)ので,三倍角の公式まで覚えておけば充分でしょう。
コサインは持っていてサインは持っていない性質があるってなんか不思議ですね。
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