楕円,放物線,双曲線の準円
二次曲線に対して,二本の直交する接線が引けるような点の軌跡は円である。これを二次曲線の準円と言う。
楕円の準円が最も有名ですが,放物線,双曲線に関しても同様の定理が成立します。
楕円の準円
楕円の準円
まずは楕円についてです。
楕円: に対して二本の直交する接線が引けるような点の軌跡は円: である。
の場合が東工大で出題されています。
証明は簡単そうでけっこう難しいです。楕円の接線は扱いにくいので, 楕円を 軸,または 軸方向に拡大(縮小)すると円になるという性質を使うことで円の接線の話にします。
から楕円に引いた接線の方程式を とおく。
(なお, 軸と平行な接線が登場する場合,求める軌跡上の は であり 上にあるので,以下では接線の傾きが存在する場合を考える)
まず,接線であるために が満たすべき条件を求める。
図形全体を 軸方向に 倍に拡大すると,
楕円→円:
直線 →直線
となる。よって, が楕円に接する が円に接する
と原点の距離が
よって, から引いた接線の傾きは上記の( についての)二次方程式の解である。 から楕円に引いた二本の接線が直交(つまり傾きの積が )する条件は,解と係数の関係より
すなわち求める軌跡は
放物線の準円
放物線の準円
放物線の場合に二接線が直交するような点の軌跡は,なんと放物線の準線と一致します。(準線については→放物線の準線・焦点と一般化)
計算は楕円の場合よりも楽なので練習がてらやってみてください!
なお,直線は半径無限大の円とみなすことができるので「放物線にもある意味で準円が存在する」言うことができます。
双曲線の準円
双曲線の準円
双曲線の場合も様子は似ていますが,注意すべきことがいくつかあります。計算は楕円の場合よりめんどくさい(拡大,縮小して円にするテクニックが使えない)ので結果のみ記します。
(図の赤い円が準円,軌跡としては漸近線上の四点は除かれる)
双曲線 に引いた二本の接線が直交するような点の軌跡は,
-
のとき,円 から漸近線上の四点を除いたもの
-
のとき,そのような点は存在しない
- 双曲線の漸近線上に点 があるときはそもそも接線が二本引けません。
- のときは漸近線の傾きの絶対値が 以上になります(双曲線がつぶれる)。このとき,二本の直交する接線が引けるような点 は存在しません。
二本の接線が直交する点の軌跡が円になるのは全然自明でなく,非常に面白い性質です。