不定積分の意味・公式・例題

高校数学における不定積分について基礎からわかりやすく解説します。

  1. 不定積分の意味
  2. (数学II)簡単な関数の不定積分
  3. (数学III)いろいろな関数の不定積分

の順に解説します。

不定積分とは

(高校数学における)不定積分

微分すると f(x)f(x) になる関数(全体)のことを f(x)f(x)不定積分と言う。

f(x)f(x) の不定積分を f(x)dx\displaystyle\int f(x)dx と書く。

不定積分とは

例題1

不定積分 2xdx\displaystyle\int 2xdx を求めよ。

解答

微分して 2x2x になる関数を探す。まず,x2x^2 の微分は 2x2x である。

また,x2x^2 に定数を足したもの x2+1,x2+100,x24x^2+1,x^2+100,x^2-4 なども微分するとすべて 2x2x になる。よって,不定積分は

x2+Cx^2+C\:(CC は任意の定数)となる。

紫文字の部分からもわかるように,不定積分を理解するには,微分をしっかり理解しておく必要があります。→導関数の意味といろいろな例

積分定数

例題1で見たように,不定積分の答えは (関数)+(任意の定数)という形になります。定数を微分しても 00 なので微分した結果に影響を与えないからです。

この任意の定数のことを積分定数と言います。例題1の答えは
x2+Cx^2+C\:(ただし CC は積分定数)と書けます。

積分定数はどんな文字を使ってもOKです。例えば,x2+ξx^2+\xi\:(ただし ξ\xi は積分定数)と書いてもOKです。

原始関数

微分すると f(x)f(x) になる関数のことを f(x)f(x) の原始関数とも言います。例えば,x2x^22x2x の原始関数です。→原始関数の定義といろいろな例

ちなみに積分の記号 \displaystyle\int はインテグラルと読みます。

不定積分の基礎公式

以下,CC は積分定数とします。

公式1

xdx=x22+C\displaystyle\int xdx=\dfrac{x^2}{2}+C

x2dx=x33+C\displaystyle\int x^2dx=\dfrac{x^3}{3}+C

より一般に,

xndx=xn+1n+1+C\displaystyle\int x^ndx=\dfrac{x^{n+1}}{n+1}+C

つまり,xnx^n の不定積分は「指数に1を足してその結果を分母にも書く」ことで計算できます。

例題2

x3dx\displaystyle\int x^3dx を計算せよ。

解答

指数3に1を足すと4になる。よって答えは

x3dx=x44+C\displaystyle\int x^3dx=\dfrac{x^4}{4}+C

補足:公式1の証明

公式1の証明は

xn+1n+1\dfrac{x^{n+1}}{n+1} を微分すると (n+1)xnn+1=xn\dfrac{(n+1)x^n}{n+1}=x^n となる。ことからわかります。このように,不定積分の公式の証明は,右辺を微分して左辺になることを確認すればよいだけです。

不定積分の定数倍と和

公式2(不定積分の線形性)

定数 aa は積分の前に出せる:
af(x)dx=af(x)dx\displaystyle\int af(x)dx=a\displaystyle\int f(x)dx

和は分解できる:
{f(x)+g(x)}dx=f(x)dx+g(x)dx\displaystyle\int\{f(x)+g(x)\}dx=\displaystyle\int f(x)dx+\displaystyle\int g(x)dx

例題3

不定積分 (4x2+3x1)dx\displaystyle\int(4x^2+3x-1)dx を計算せよ。

証明

公式2を使って分解すると,

4x2dx+3xdx1dx\displaystyle 4\int x^2dx+3\int xdx-\int 1dx

ここで,それぞれの積分に公式1を使うと

4×x33+3×x22x4\times\dfrac{x^3}{3}+3\times\dfrac{x^2}{2}-x となる。

よって答えは

43x3+32x2x+C\dfrac{4}{3}x^3+\dfrac{3}{2}x^2-x+C

いろいろな関数の不定積分

ここから数学IIIの内容です。いろいろな関数の不定積分を計算するためには,

  • 基本的な関数の積分公式(公式3)
  • テクニック(公式4)

を覚える必要があります。

公式3(初等関数の積分)

xadx=xa+1a+1+C(a1)\displaystyle\int x^adx=\dfrac{x^{a+1}}{a+1}+C\:\:(a\neq -1)

1xdx=logx+C\displaystyle\int\dfrac{1}{x}dx=\log|x|+C

sinxdx=cosx+C\displaystyle\int\sin xdx=-\cos x+C

cosxdx=sinx+C\displaystyle\int\cos xdx=\sin x+C

exdx=ex+C\displaystyle\int e^xdx=e^x+C

axdx=axloga+C\displaystyle\int a^xdx=\dfrac{a^x}{\log a}+C

それぞれ右辺を微分して左辺に一致することを確認してみてください。基本的な公式は以上ですが,積分公式一覧では他にもいろいろな公式を紹介しています。

次は,重要な積分テクニックを2つ紹介します。

公式4(積分のテクニック)
  • 部分積分:
    f(x)g(x)dx=f(x)G(x)f(x)G(x)dx\displaystyle\int f(x)g(x)dx=f(x)G(x)-\displaystyle\int f'(x)G(x)dx ただし,ff'ff の微分,GGgg の積分)(G(x)=g(x)G'(x)=g(x))。

  • 置換積分:
    x=g(t)x=g(t) と置換すると,f(x)dx=f(g(t))dxdtdt\displaystyle\int f(x)dx=\displaystyle\int f(g(t))\dfrac{dx}{dt}dt

それぞれけっこう難しいです。

ここまで理解できれば不定積分の基礎はばっちりです。

微分は機械的な計算でできますが,積分はテクニックを組み合わせるパズル要素があるのでおもしろいです。