不定積分の意味・公式・例題
高校数学における不定積分について基礎からわかりやすく解説します。
- 不定積分の意味
- (数学II)簡単な関数の不定積分
- (数学III)いろいろな関数の不定積分
の順に解説します。
不定積分とは
不定積分とは
微分すると になる関数(全体)のことを の不定積分と言う。
の不定積分を と書く。
不定積分 を求めよ。
微分して になる関数を探す。まず, の微分は である。
また, に定数を足したもの なども微分するとすべて になる。よって,不定積分は
( は任意の定数)となる。
紫文字の部分からもわかるように,不定積分を理解するには,微分をしっかり理解しておく必要があります。→導関数の意味といろいろな例
積分定数
例題1で見たように,不定積分の答えは (関数)+(任意の定数)という形になります。定数を微分しても なので微分した結果に影響を与えないからです。
この任意の定数のことを積分定数と言います。例題1の答えは
(ただし は積分定数)と書けます。
積分定数はどんな文字を使ってもOKです。例えば,(ただし は積分定数)と書いてもOKです。
原始関数
微分すると になる関数のことを の原始関数とも言います。例えば, は の原始関数です。→原始関数の定義といろいろな例
ちなみに積分の記号 はインテグラルと読みます。
不定積分の基礎公式
不定積分の基礎公式
以下, は積分定数とします。
より一般に,
つまり, の不定積分は「指数に1を足してその結果を分母にも書く」ことで計算できます。
を計算せよ。
指数3に1を足すと4になる。よって答えは
補足:公式1の証明
公式1の証明は
を微分すると となる。ことからわかります。このように,不定積分の公式の証明は,右辺を微分して左辺になることを確認すればよいだけです。
不定積分の定数倍と和
不定積分の定数倍と和
定数 は積分の前に出せる:
和は分解できる:
不定積分 を計算せよ。
公式2を使って分解すると,
ここで,それぞれの積分に公式1を使うと
となる。
よって答えは
いろいろな関数の不定積分
いろいろな関数の不定積分
ここから数学IIIの内容です。いろいろな関数の不定積分を計算するためには,
- 基本的な関数の積分公式(公式3)
- テクニック(公式4)
を覚える必要があります。
それぞれ右辺を微分して左辺に一致することを確認してみてください。基本的な公式は以上ですが,積分公式一覧では他にもいろいろな公式を紹介しています。
次は,重要な積分テクニックを2つ紹介します。
-
部分積分:
ただし, は の微分, は の積分)()。 -
置換積分:
と置換すると,
それぞれけっこう難しいです。
- 部分積分の詳細は,部分積分の公式と覚え方,例題
- 置換積分の詳細は,置換積分の公式の証明と例題
ここまで理解できれば不定積分の基礎はばっちりです。
微分は機械的な計算でできますが,積分はテクニックを組み合わせるパズル要素があるのでおもしろいです。