部分積分の公式と覚え方,例題

更新日時 2022/04/30

2つの関数の積の積分を変形する部分積分の公式を紹介します。

目次
  • 部分積分の公式

  • 部分積分の公式の証明

  • 部分積分の公式の使い方

  • 片方の微分が簡単になるとき

  • logx\log x を含むとき

  • 三角関数と指数関数の積のとき

  • 公式についての注意とまとめ

部分積分の公式

部分積分の公式

不定積分: f(x)g(x)dx=f(x)g(x)f(x)g(x)dx\int f(x)g'(x)dx=f(x)g(x)-\int f'(x)g(x)dx

定積分: abf(x)g(x)dx=[f(x)g(x)]ababf(x)g(x)dx\int_a^b f(x)g'(x)dx=\left[f(x)g(x)\right]_a^b-\int_a^b f'(x)g(x)dx

難しい積分に立ち向かうための基本的なツールのひとつです。

部分積分の公式の証明

不定積分,定積分のどちらの証明も,一見難しそうに見えますが,実は積の微分公式(詳しくは 積の微分公式とその証明の味わい をご覧ください)を移項した式 f(x)g(x)=(f(x)g(x))f(x)g(x)f(x)g'(x)=(f(x)g(x))' - f'(x)g(x) を積分するだけで証明できます。これをとっかかりにして覚えてしまいましょう。

不定積分

証明

積の微分公式より

(f(x)g(x))=f(x)g(x)+f(x)g(x) (f(x)g(x))' = f'(x) g(x) + f(x) g'(x)

両辺を xx で積分すると

(f(x)g(x))dx=f(x)g(x)dx+f(x)g(x)dx\displaystyle\int (f(x)g(x))' dx \\= \displaystyle\int f'(x) g(x) dx + \int f(x) g'(x) dx

積分の定義より,左辺は,f(x)g(x)+Cf(x)g(x)+CCC は積分定数)である。

これを移項すると,不定積分の場合の部分積分の公式を得る。

f(x)g(x)dx=f(x)g(x)f(x)g(x)dx \int f(x) g'(x) dx = f(x)g(x) - \int f'(x) g(x) dx

定積分

証明

不定積分の場合と同様に,積の微分法則を用いて

(f(x)g(x))=f(x)g(x)+f(x)g(x) (f(x)g(x))' = f'(x) g(x) + f(x) g'(x)

両辺を x=ax=a から x=bx=b まで積分して

ab(f(x)g(x))dx=abf(x)g(x)dx+abf(x)g(x)dx\displaystyle\int_a^b (f(x)g(x))' dx \\ = \displaystyle\int_{a}^{b} f'(x) g(x) dx + \displaystyle\int_{a}^{b} f(x) g'(x) dx

積分の定義より,左辺は [f(x)g(x)]ab\left[f(x)g(x) \right]_{a}^{b}

移項すると,定積分の場合の部分積分の公式を得る。

abf(x)g(x)dx=[f(x)g(x)]ababf(x)g(x)dx \int_a^b f(x)g'(x)dx=\left[f(x)g(x)\right]_a^b-\int_a^b f'(x)g(x)dx

部分積分の公式の使い方

ポイントは掛け算を分解

部分積分の公式は,2つの関数の掛け算の積分を変形するための等式です。うまく使うことで複雑な積分を計算できることがあります。部分積分が有効な形にはいくつかパターンがありますが,とくに片方の関数の微分が簡単な形になるときlog\logを含む積分などに効果を発揮します。

具体的には,以下の3つのようなパターンで使うことが多いです。

部分積分を使うタイミング
  1. 片方の関数の微分が簡単な形になるとき
  2. logx\log x (対数) を含むとき
  3. 三角関数と指数関数の積のとき

この3パターンについて,部分積分の使い方を以下で確認してみます。

片方の微分が簡単になるとき

等式

f(x)g(x)dx=f(x)g(x)f(x)g(x)dx\int f(x)g'(x)dx=f(x)g(x)-\int f'(x)g(x)dx

をみると,f(x)f(x) の微分 f(x)f'(x) が簡単な関数になるとき右辺の積分が計算できそうです。

三角関数と多項式の積のとき

例題(多項式と三角関数の積)

不定積分 (x+2)sinxdx\displaystyle\int (x+2) \sin x dx を求めよ。

多項式 x+2x+2 は微分すると簡単な関数 11 になります。一方,sinx\sin{x}cosx\cos{x} は,何度積分を繰り返しても,±sinx\pm \sin{x}±cosx\pm \cos{x} のどれかにしかなりません。ですので,f(x)=x+2,g(x)=sinxf(x)=x+2, g'(x)=\sin x として部分積分すると効果的です。

解答

f(x)=x+2,g(x)=cosxf(x)=x+2, g(x)=-\cos x とおいて部分積分の公式を使うと,

(x+2)sinxdx=(x+2)(cosx)dx=(x+2)(cosx)(x+2)(cosx)dx=(x+2)cosx+cosxdx=(x+2)cosx+sinx+C \begin{aligned} & \int (x+2) \sin x dx \\ &= \int (x+2) (-\cos x)' dx \\ &= (x+2)(-\cos x) - \int (x+2)'(-\cos x)dx \\ &= -(x+2)\cos x + \int \cos x dx \\ &=-(x+2)\cos x + \sin x + C \end{aligned} となる。

指数関数と多項式の積のとき

次の例も同様です。

例題(多項式と指数関数の積)

不定積分 4x2e2xdx\displaystyle\int 4x^2 e^{2x} dx を求めよ。

exe^x も,何回積分しても形を変えず exe^x のままです(詳しくは 対数(log)の定義・計算方法・便利な公式まとめ をご覧ください)。したがって,この場合も同様に,多項式 4x24x^2 の側を微分します。ただし2回部分積分をする必要があります。

解答

f(x)=4x2,g(x)=12e2xf(x)=4x^2, g(x)=\dfrac{1}{2}e^{2x} とおいて部分積分の公式を使うと,

4x2e2xdx=4x212e2x8x12e2xdx=2x2e2x4xe2xdx \begin{aligned} & \int 4x^2 e^{2x} dx \\ &= 4x^2 \dfrac{1}{2}e^{2x} - \int 8x \dfrac{1}{2}e^{2x} dx\\ &= 2x^2 e^{2x} - \int 4xe^{2x} dx \end{aligned}

となる。第2項の積分を計算するために f(x)=4x,g(x)=12e2xf(x)=4x, g(x)=\dfrac{1}{2}e^{2x} とおいて再び部分積分の公式を使うと,上式は

2x2e2x(4x12e2x412e2xdx)=2x2e2x2xe2x+e2x+C=(2x22x+1)e2x+C \begin{aligned} & 2x^2 e^{2x} - \left( 4x \dfrac{1}{2}e^{2x} - \int 4 \dfrac{1}{2}e^{2x} dx\right) \\ &= 2x^2 e^{2x} - 2x e^{2x} + e^{2x} + C \\ &= (2x^2 - 2x + 1) e^{2x} + C \end{aligned}

となる。

このように複数回部分積分をするときに便利な方法として,瞬間部分積分があります。

logx\log x を含むとき

logx\log x の微分は 1x\dfrac{1}{x} なので,多項式と logx\log x が混ざっている場合は logx\log x の方を微分するとうまくいきます。

例題

不定積分 (4x+1)logxdx\displaystyle\int (4x + 1) \log x dx を求めよ。

解答

f(x)=logx,g(x)=2x2+xf(x)=\log x, g(x)=2x^2+x とおいて部分積分すると,

(4x+1)logxdx=(2x2+x)logx(2x2+x)1xdx=(2x2+x)logx(2x+1)dx=(2x2+x)logxx2x+C \begin{aligned} & \int (4x + 1) \log x dx \\ &= (2x^2+x) \log x - \int (2x^2+x) \dfrac{1}{x} dx\\ &= (2x^2+x) \log x - \int (2x+1) dx \\ &= (2x^2+x) \log x - x^2 -x +C \end{aligned} となる。

例題と同様にすれば,対数関数 logx\log x の積分もわかります。

演習問題

不定積分 logxdx\displaystyle\int \log x dx を求めよ。

(解答は log xの積分計算の2通りの方法と発展形 を参照。)

三角関数と指数関数の積のとき

被積分関数が三角関数と指数関数の積のときは,基本的にはどちらを微分された関数と見ても部分積分を実行できます。ただし,以下の2つを注意してください。

  • 同じ形の部分積分が出てくることを目指す
  • 同じ側の関数を微分されたものとみなし続ける

実際に例題を解いてみましょう。

例題

exsinxdx\displaystyle\int e^x \sin{x} dx を求めよ。

解答

I=exsinxdxI = \displaystyle\int e^x \sin{x} dx とおく。

I=exsinxdx=(ex)sinxdx=exsinxex(sinx)dx=exsinxexcosxdx=exsinx(ex)cosxdx=exsinx{excosxex(cosx)dx}=exsinxexcosxexsinxdx=exsinxexcosxII = \displaystyle\int e^x \sin{x} dx \\ = \displaystyle\int (e^x)' \sin{x} dx \\ = e^x \sin{x} - \displaystyle\int e^x (\sin{x})' dx \\ = e^x \sin{x} - \displaystyle\int e^x \cos{x} dx \\ = e^x \sin{x} - \displaystyle\int (e^x)' \cos{x} dx \\ = e^x \sin{x} - \left\{e^x \cos{x} - \displaystyle\int e^x (\cos{x})' dx\right\} \\ = e^x \sin{x} - e^x \cos{x} - \displaystyle\int e^x \sin{x} dx \\ = e^x \sin{x} - e^x \cos{x} - I

したがって,

I=12ex(sinxcosx)+C I = \dfrac{1}{2} e^x (\sin{x} - \cos{x}) + C

ただし,CC は積分定数である。

公式についての注意とまとめ

  • 「2つの関数の積の微分」は積の微分公式を使えば計算できます。一方,「2つの関数の積の積分」は部分積分を使っても必ず計算できるとは限りません。 部分積分の公式はあくまで積分を変形する式であって,その結果が簡単な積分になるかどうかは別の問題です。

  • この記事では部分積分によって簡単な形に変形できる典型的なパターンを紹介しましたが,他にもいろいろな使い方があります。→三角関数と指数関数の積の積分瞬間部分積分のやり方と例題2問

  • 実際に計算するときには瞬間部分積分のやり方を覚えておくのがおすすめです。とくに難関大志望の受験生や,積分をよく扱う理系大学生などは覚えておいて損はないです。

個人的には,超関数の微分の定義を示唆している式であるという点で好きです。

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