余弦定理とその証明

余弦定理は三角関数におけるとても重要な公式です。

余弦定理

三角形 ABC\mathrm{ABC} において,

a2=b2+c22bccosAb2=c2+a22cacosBc2=a2+b22abcosC a^2 = b^2 + c^2 - 2bc \cos A\\ b^2 = c^2 + a^2 - 2ca \cos B\\ c^2 = a^2 + b^2 - 2ab \cos C

が成り立つ。

なお,頂点 A\mathrm{A} に対応する角を AA,頂点 B\mathrm{B} に対応する角を BB,頂点 C\mathrm{C} に対応する角を CC としている。

余弦定理

余弦定理を使う例題2問と,4通りの証明を紹介します。

例題

1.辺の長さを求める

余弦定理を使えば「2辺とその間の角」から残りの1辺を求めることができます。

例題1

三角形 ABC\mathrm{ABC} において,b=3,c=4,A=60b=3,c=4,A=60^{\circ} のとき aa を求めよ。 余弦定理の例題

解答

余弦定理より

a2=32+422×3×4×cos60=9+1612=13\begin{aligned} a^2 &= 3^2+4^2-2\times 3\times 4\times\cos 60^{\circ}\\ &= 9+16-12\\ &= 13 \end{aligned}

a=13a=\sqrt{13}

2.角度を求める

冒頭の式を移項した以下の式もよく使います。

余弦定理(角度を求める形)

cosA=b2+c2a22bccosB=c2+a2b22cacosC=a2+b2c22ab \cos A = \dfrac{b^2 + c^2 - a^2}{2bc}\\ \cos B = \dfrac{c^2 + a^2 - b^2}{2ca}\\ \cos C = \dfrac{a^2 + b^2 - c^2}{2ab}

この形の式を使えば,3辺の長さから角の大きさを計算できます。

例題2

三角形 ABC\mathrm{ABC} において a=4,b=3,c=13a=4,b=3,c=\sqrt{13} のとき角 CC の大きさを求めよ。

解答

余弦定理より

cosC=16+9132×4×3=1224=12 \cos C=\dfrac{16+9-13}{2\times 4\times 3}=\dfrac{12}{24}=\dfrac{1}{2}

よって C=60C=60^{\circ}

高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~ のT176では,余弦定理を使う応用問題と2通りの解法を紹介しています。

余弦定理の証明

4通りの証明を紹介します。

垂線を下ろす証明

証明1

A\mathrm{A} から BC\mathrm{BC} に垂線 AH\mathrm{AH} をおろす。B90B\leqq 90^{\circ} の場合を考える。 余弦定理の証明

BH=ccosB\mathrm{BH}=c\cos B

CH=accosB\mathrm{CH}=a-c\cos B

三角形 AHB\mathrm{AHB}AHC\mathrm{AHC} に三平方の定理を使うと,

AH2=AB2BH2=c2(ccosB)2AH2=AC2CH2=b2(accosB)2\begin{aligned} \mathrm{AH}^2 &= \mathrm{AB}^2-\mathrm{BH}^2\\ &= c^2-(c\cos B)^2\\ \mathrm{AH}^2 &= \mathrm{AC}^2-\mathrm{CH}^2\\ &= b^2-(a-c\cos B)^2 \end{aligned}

上の2つの式から

c2(ccosB)2=b2(accosB)2 c^2-(c\cos B)^2=b^2-(a-c\cos B)^2

これを整理すると

a2+c22accosB=b2 a^2+c^2-2ac\cos B=b^2

となり余弦定理を得る。

B>90B> 90^{\circ} の場合も図が少し変わるがほぼ同様。

第一余弦定理を使う証明

実は余弦定理には2種類あります。

以下の証明2と証明3では「第一余弦定理」を使います。

証明2

第一余弦定理:a=bcosC+ccosBa=b\cos C+c\cos B より,

a2=a×a=a(bcosC+ccosB)=b×acosC+c×acosB\begin{aligned} a^2 &= a\times a\\ &= a(b\cos C+c\cos B)\\ &= b\times a\cos C+c\times a\cos B \end{aligned}

第一項に第一余弦定理 b=acosC+ccosAb=a\cos C+c\cos A を使い,
第二項に第一余弦定理 c=acosB+bcosAc=a\cos B+b\cos A を使うと

a2=b(bccosA)+c(cbcosA)=b2+c22bccosA\begin{aligned} a^2 &= b(b-c\cos A)+c(c-b\cos A)\\ &= b^2+c^2-2bc\cos A \end{aligned}

証明3

一般の三角形に対して b2+c22bccosA=a2b^2 + c^2 - 2bc \cos A = a^2 を示す。

第一余弦定理より a=bcosC+ccosBa = b \cos C + c \cos B が成り立つ。この両辺を2乗すると, a2=(bcosC+ccosB)2=b2cos2C+c2cos2B+2bccosBcosC\begin{aligned} a^2 &= (b \cos C + c \cos B)^2\\ &= b^2 \cos^2 C + c^2 \cos^2 B + 2 bc \cos B \cos C \quad \cdots \ast \end{aligned} が得られる。

sin2θ+cos2θ=1\sin^2 \theta + \cos^2 \theta = 1 を用いると, =b2(1sin2C)+c2(1sin2B)+2bccosBcosC=b2+c2+2bccosBcosCb2sin2Cc2sin2B+2bc(sinBsinCsinBsinC)=b2+c2+2bccosBcosC2bcsinBsinCb2sin2Cc2sin2B+2bcsinBsinC=b2+c2(bsinCcsinB)2+2bc(cosBcosCsinBsinC)\begin{aligned} \ast &= b^2 (1 - \sin^2 C) + c^2 (1- \sin^2 B)\\ &\quad\quad + 2 bc \cos B \cos C\\ &= b^2 + c^2 + 2 bc \cos B \cos C\\ &\quad\quad - b^2 \sin^2 C - c^2 \sin^2 B\\ &\quad\quad\quad\quad + 2 bc (\sin B \sin C - \sin B \sin C)\\ &= b^2 + c^2 + 2 bc \cos B \cos C - 2bc \sin B \sin C\\ &\quad\quad - b^2 \sin^2 C - c^2 \sin^2 B + 2bc \sin B \sin C\\ &= b^2 + c^2 - (b \sin C - c \sin B)^2\\ &\quad\quad +2 bc (\cos B \cos C - \sin B \sin C) &\cdots \ast\ast \end{aligned} と変形できる。

三角形 ABC\mathrm{ABC} の面積を SS をおくと, S=12absinC=12acsinB\begin{aligned} S &= \dfrac{1}{2} ab \sin C\\ &= \dfrac{1}{2} ac \sin B \end{aligned} である。こうして bsinC=csinBb \sin C = c \sin B を得る。

また,加法定理を用いることで cosBcosCsinBsinC=cos(B+C) \cos B \cos C - \sin B \sin C = \cos (B+C) となる。A,B,CA,B,C は三角形の内角であったため,A+B+C=πA+B+C = \pi である。ゆえに cos(B+C)=cos(πA)=cosA\cos (B+C) = \cos (\pi -A) = -\cos A である。

上記をまとめると, =b2+c2+2bccos(B+C)=b2+c2+2bccos(πA)=b2+c22bccosA\begin{aligned} \ast \ast &= b^2 + c^2 + 2bc \cos (B+C)\\ &= b^2 + c^2 +2bc \cos (\pi - A)\\ &= b^2+ c^2 - 2bc \cos A \end{aligned}

ベクトルによる証明

証明4

ベクトルを用いて証明することもできます。詳しくはベクトルの内積を用いた余弦定理の証明をどうぞ。

応用問題

入試数学コンテスト第5回第2問

四角形 ABCD\mathrm{ABCD} は円に内接し,AB=22,BC=3,CD=2,DA=1\mathrm{AB} = 2\sqrt{2},\mathrm{BC} = 3,\mathrm{CD} = \sqrt{2} ,\mathrm{DA} = 1 である。このとき次の問いに答えよ。

(1) ABC+CDA\angle \mathrm{ABC} + \angle \mathrm{CDA} を求めよ。なお度数法を用いること。

(2) ABC\angle \mathrm{ABC} を求めよ。なお度数法を用いること。

(3) BD\mathrm{BD} を求めよ。

(4) 辺 AC\mathrm{AC} と辺 BD\mathrm{BD} の交点を H\mathrm{H} とする。AHD\angle \mathrm{AHD} を求めよ。なお度数法を用いること。

入試数学コンテストの過去問です。余弦定理を駆使して解いてみましょう。解答は

入試数学コンテスト第5回第2問解答解説

を参照してください。

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