余弦定理とその証明

更新日時 2022/07/26

余弦定理は三角関数の分野において極めて重要な公式です。

余弦定理

三角形 ABC\mathrm{ABC} に対して,

a2=b2+c22bccosAb2=c2+a22cacosBc2=a2+b22abcosC a^2 = b^2 + c^2 - 2bc \cos A\\ b^2 = c^2 + a^2 - 2ca \cos B\\ c^2 = a^2 + b^2 - 2ab \cos C

すなわち

cosA=b2+c2a22bccosB=c2+a2b22cacosC=a2+b2c22ab \cos A = \dfrac{b^2 + c^2 - a^2}{2bc}\\ \cos B = \dfrac{c^2 + a^2 - b^2}{2ca}\\ \cos C = \dfrac{a^2 + b^2 - c^2}{2ab}

が成立する。

この余弦定理は第一余弦定理と区別するために,第二余弦定理ということがあります。第一余弦定理については

第一余弦定理とその3通りの証明

を参照してください。

目次
  • 余弦定理の意味

  • 余弦定理の証明

  • 例題

  • 関連記事

余弦定理の意味

中学3年生のときに三平方の定理を習いましたね。そのとき一緒に次のような事実を習ったかもしれません。

定理

三角形 ABC\mathrm{ABC} に対して a2+b2>c2(Cが鋭角のとき)a2+b2=c2(Cが直角のとき)a2+b2<c2(Cが鈍角のとき)\begin{aligned} &a^2 + b^2 > c^2 \quad &(\angle \mathrm{C} \text{が鋭角のとき})\\ &a^2 + b^2 = c^2 &(\angle \mathrm{C} \text{が直角のとき})\\ &a^2 + b^2 < c^2 &(\angle \mathrm{C} \text{が鈍角のとき})\\ \end{aligned} である。

定理に出てきた不等式から,一般の三角形の場合,a2+b2a^2+b^2c2c^2 の間には「差」があるとわかります。これを埋めるのが余弦定理です。

余弦定理によって3辺の長さから三角形の角度を計算できます。見方を変えると,2辺とその間の角から,残りの1辺の求め方を述べているものが余弦定理です。

余弦定理の証明

第二余弦定理の証明は,第一余弦定理を用いた方法が一般的です。

証明

A,B,C\angle \mathrm{A},\angle \mathrm{B},\angle \mathrm{C} の角の大きさを順に A,B,CA,B,C とおく。

一般の三角形に対して b2+c22bccosA=a2b^2 + c^2 - 2bc \cos A = a^2 を示せばよい。(他の辺と角に対しては,頂点を ABCA\mathrm{A} \rightarrow \mathrm{B} \rightarrow \mathrm{C} \rightarrow \mathrm{A} と入れ替えれば良い。)

第一余弦定理より a=bcosC+ccosBa = b \cos C + c \cos B が成り立つ。この両辺を2乗すると, a2=(bcosC+ccosB)2=b2cos2C+c2cos2B+2bccosBcosC\begin{aligned} a^2 &= (b \cos C + c \cos B)^2\\ &= b^2 \cos^2 C + c^2 \cos^2 B + 2 bc \cos B \cos C \quad \cdots \ast \end{aligned} が得られる。

一般の角 θ\theta に対して sin2θ+cos2θ=1\sin^2 \theta + \cos^2 \theta = 1 であった。これを用いることで, =b2(1sin2C)+c2(1sin2B)+2bccosBcosC=b2+c2+2bccosBcosCb2sin2Cc2sin2B+2bc(sinBsinCsinBsinC)=b2+c2+2bccosBcosC2bcsinBsinCb2sin2Cc2sin2B+2bcsinBsinC=b2+c2+2bc(cosBcosCsinBsinC)(bsinCcsinB)2\begin{aligned} \ast &= b^2 (1 - \sin^2 C) + c^2 (1- \sin^2 B) + 2 bc \cos B \cos C\\ &= b^2 + c^2 + 2 bc \cos B \cos C - b^2 \sin^2 C - c^2 \sin^2 B + 2 bc (\sin B \sin C - \sin B \sin C)\\ &= b^2 + c^2 + 2 bc \cos B \cos C - 2bc \sin B \sin C - b^2 \sin^2 C - c^2 \sin^2 B + 2bc \sin B \sin C\\ &= b^2 + c^2 + 2 bc (cos B \cos C - \sin B \sin C) - (b \sin C - c \sin B)^2 \quad \cdots \ast\ast \end{aligned} と変形できる。

三角形 ABC\mathrm{ABC} の面積を SS をおく。このとき S=12absinC=12acsinB\begin{aligned} S &= \dfrac{1}{2} ab \sin C\\ &= \dfrac{1}{2} ac \sin B \end{aligned} である。こうして bsinC=csinBb \sin C = c \sin B を得る。

また,加法定理を用いることで cosBcosCsinBsinC=cos(B+C) cos B \cos C - \sin B \sin C = \cos (B+C) となる。A,B,CA,B,C は三角形の内角であったため,A+B+C+=πA+B+C+ = \pi である。ゆえに cos(B+C)=cos(πA)=cosA\cos (B+C) = \cos (\pi -A) = -\cos A である。

上記をまとめることで =b2+c2+2bccos(B+C)=b2+c2+2bccos(πA)=b2+c22bccosA\begin{aligned} \ast \ast &= b^2 + c^2 + 2bc \cos (B+C)\\ &= b^2 + c^2 +2bc \cos (\pi - A)\\ &= b^2+ c^2 - 2bc \cos A \end{aligned} すなわち a2=b2+c22bccosA a^2 = b^2 + c^2 - 2bc \cos A となる。

この他にも ベクトルの内積を用いた余弦定理の証明 があります。

例題

入試数学コンテスト第5回第2問

四角形 ABCD\mathrm{ABCD} は円に内接し,AB=22,BC=3,CD=2,DA=1\mathrm{AB} = 2\sqrt{2},\mathrm{BC} = 3,\mathrm{CD} = \sqrt{2} ,\mathrm{DA} = 1 である。このとき次の問いに答えよ。

(1) ABC+CDA\angle \mathrm{ABC} + \angle \mathrm{CDA} を求めよ。なお度数法を用いること。

(2) ABC\angle \mathrm{ABC} を求めよ。なお度数法を用いること。

(3) BD\mathrm{BD} を求めよ。

(4) 辺 AC\mathrm{AC} と辺 BD\mathrm{BD} の交点を H\mathrm{H} とする。AHD\angle \mathrm{AHD} を求めよ。なお度数法を用いること。

入試数学コンテストの過去問です。余弦定理を駆使して解いてみましょう。解答は

入試数学コンテスト第5回第2問解答解説

を参照してください。

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