平均値の定理とその応用例題2パターン
区間 で連続, で微分可能な関数 に対して,
を満たす が と の間に存在する。
定理自体は比較的理解しやすいのですが,実際に入試問題などに応用するのが難しい定理です。そこで,この記事では平均値の定理の頻出応用例を2パターン解説します。
平均値の定理について
応用1(不等式の証明)
応用2(漸化式と極限)
平均値の定理について
- 前提条件が一見複雑ですが,要するに 考えている区間 で微分可能な関数ならOK。端っこは微分不可能でも連続ならOKという条件です。
-
平均値の定理は図形的な意味を考えると分かりやすいです。
「 と を結ぶ直線の傾き」=「 における接線の傾き」
となる が存在するという定理です。 -
上記の図による説明でほとんどの人が納得できると思いますが,厳密な証明はけっこう大変なので省略します(最大値の原理→ロルの定理→平均値の定理という順番で証明していく→ロルの定理,平均値の定理とその証明)。
応用1(不等式の証明)
平均値の定理を使って不等式の証明を行う問題は超頻出です。
という形の式を含む不等式証明の問題では平均値の定理を疑いましょう。
2001年名古屋大学理系第1問です。露骨に平均値の定理を使う問題です。
を自然対数の底とする。 のとき以下の不等式を証明せよ:
解答
とおくと,証明すべき不等式は,
となる。ここで平均値の定理より,
(左辺) となる が と の間に存在する。
実際,合成関数の微分公式を用いて の導関数を計算すると であるので,証明すべき不等式は,
となる。
ここで について考えると, より では は単調増加。よって, より ,つまり を得る。
応用2(漸化式と極限)
型の漸化式で表される数列の極限を求める問題にも平均値の定理は活躍します。このタイプの問題の基本的な考え方は漸化式で表される数列の極限で詳しく解説しています。
平均値の定理を使うことで所望の不等式:
を示しにいきます。
2005年東京大学理系第3問です。
とする。
(1) ならば を示せ。
(2) を より大きい正の数とし,数列 を で定める。このとき を証明せよ。
(1)は単なる計算問題です。省略します。
解答
に注意する。平均値の定理より,( のもとで)
となる が と の間に存在する。
よって,(1)と合わせると「 」のもとで
この不等式が得てしまえばあとは簡単。
・ のとき,数列 の各項は全て なのでOK。
・ のとき,数列 の各項は「 」を満たす(数学的帰納法で簡単に証明できる)ので,上記の不等式を繰り返し適用できる:
ここで とすると,右辺 なので を得る。
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