三角関数の積の積分と直交性
三角関数の積の積分は,積和公式で和にすることで計算できる。
具体例
具体例
「三角関数の積の積分」で重要なのは定積分ですが,とりあえず不定積分をやってみます。
を求める。
積和公式 により
と計算できる。
三角関数の積和公式については,積和公式の導出と覚え方を参考にしてください。丸覚えしてもよいですが,すぐに導出できるようになっておきましょう。
ちなみに「三角関数の3つ以上の積」も繰り返し積和公式を使えば最終的に三角関数の和に直せるので積分できます。(計算が複雑なので問題として見たことはありませんが)
三角関数の積の定積分
三角関数の積の定積分
三角関数の積の積分の中でも,区間幅 の定積分が非常に重要です。
と が異なる自然数のとき,
(2つめの式のみ が つ,他は と )
積分区間が から となっていますが, から などとしても同じ公式が成り立ちます。(積分区間幅が ならなんでもよい。)
つ別々に公式として覚えるのではなくて 「異なる三角関数の積を一周期にわたって積分すると になる」と覚えるとよいです。
積和公式により
(三角関数の一周期にわたる積分は )
三角関数の直交性
三角関数の直交性
上記の公式は「異なる三角関数は直交する」ことを表しています。
もう少し詳しく説明します。
関数 に対して と定義しましょう。
実はこの「積」はベクトルの内積と同じような性質を持ちます。
例えば が成立します。
そして,この「内積」が になるような2つの関数を「直交する」と定義します。すると,
という式は, と が直交していることを表します。
さて,任意の平面ベクトルは直交する2ベクトル の和の形で表されます。
これのアナロジーから,任意の(性質の良い)関数が の和によって表されないか?と期待できます。
このように,関数は成分の数が無限個あるベクトルとみなせるのです!
この事実は大学で学ぶフーリエ級数展開の基礎となっています。詳しくは フーリエ級数展開の公式と意味 を読んでみてください。
実は関数はベクトルの一種です!
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