フェルマー数とその性質
以上の整数 を用いて と表される整数をフェルマー数と呼ぶ。
フェルマー数にはいろいろな性質があります。特におもしろい性質を3つ紹介します。
フェルマー数の例
フェルマー数の例
雰囲気をつかむために,フェルマー数を並べてみます。
までは素数ですが,実は は合成数です:
フェルマー数の漸化式
フェルマー数の漸化式
ただし, は から までの積です。→総積の記号Π(パイ)の意味と性質
フェルマー数に現れる がいかにも因数分解してほしそうな形をしているので, を繰り返し用いて因数分解すると,漸化式が導出できます。
フェルマー数の定義より,
より性質1が示された。
このように,指数に整数が乗っていたらまずは因数分解を疑いましょう。→因数分解公式(n乗の差,和)
フェルマー数が互いに素であることの証明
フェルマー数が互いに素であることの証明
フェルマー数どうしは互いに素。
性質1の漸化式を用いれば簡単に証明できます。
背理法で証明する。2つのフェルマー数 が共通因数 を持つと仮定すると,性質1より
も の倍数となり となる。しかし,フェルマー数は全て奇数なので矛盾。
フェルマー数と素数
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性質2と,全てのフェルマー数が素因数を最低1つは含んでいることから,素数が無限にあることが証明されました!
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素数が無限にあることの証明はたくさん発見されています(→素数が無限にあることの4通りの証明)が,フェルマー数を用いたこの方法はポリア(Polya)によって発見されました。
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ちなみに,フェルマー数 から までは素数で は合成数なので,フェルマー数は素数も合成数も含んでいます。しかし,「フェルマー数は無限に多くの素数を含んでいる」のか,「フェルマー数は無限に多くの合成数を含んでいる」のか,いずれも証明されておらず未解決問題のようです。証明できたらご一報ください。
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フェルマー素数は正多角形の作図可能条件にも現れます。→正多角形の作図可能性の条件
二重指数的に増える
二重指数的に増える
フェルマー数はものすごい勢いで大きくなる。
最初に実験したように でもかなり大きな数になっています。
の形の関数を二重指数関数と呼び,指数関数よりも発散のスピードが速い関数として知られています。フェルマー数は二重指数関数です。フェルマー数に似た数列にシルベスターの数列がありますが,こちらも二重指数関数です。→シルベスターの数列とその性質
一般的に,多項式関数より指数関数の方が圧倒的に大きくなる(発散する)スピードが速いのですが,二重指数関数は指数関数よりも発散のスピードが速いです。
ちなみに,二重指数関数は工学的な応用もあります(数値積分の計算スピードを上げる)。
三重指数関数とかも理論的には考えられますが,実際に使われている場面を見たことがありません。