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正多角形の作図可能性の条件

更新日時 2021/03/07

nn 角形が定規とコンパスで作図可能     \iff

n=2Np1pkn=2^Np_1\cdots p_k となる 00 以上の整数 NN と互いに異なるフェルマー素数 p1,,pkp_1,\cdots,p_k が存在する。

目次
  • 定理の主張について

  • 正多角形が作図可能である必要十分条件

  • 正十七角形の作図

  • 冒頭の定理の導出

定理の主張について

フェルマー素数とは,00 以上の整数 kk を用いて 22k+12^{2^k}+1 と表すことができる素数です。→フェルマー数とその性質

例えば,220+1=32^{2^0}+1=3221+1=52^{2^1}+1=5222+1=172^{2^{2}}+1=17 などはフェルマー素数です。

正三角形の作図は中学数学で習います。正五角形の作図も高校数学で理解できます。→正五角形の対角線の長さと作図方法

なんと正十七角形も作図できるのです!

正多角形が作図可能である必要十分条件

nn 角形が作図可能

    \iff 長さ1の線分が与えられたときに長さ cos2πn\cos\dfrac{2\pi}{n} の線分が作図可能

    \iff

cos2πn\cos\dfrac{2\pi}{n} が整数の四則演算とルートで表現できる

説明

一つ目の \Rightarrow について。正 nn 角形が作図できるとき,長さの比が 1:cos2πn1:\cos\dfrac{2\pi}{n} である2本の線分が作図できることから分かる。

sakuzu

一つ目の \Leftarrow について。長さ 11 の線分 OAOA が与えられたときに長さ cos2πn\cos\dfrac{2\pi}{n} の線分 OBOB が作図できるとき,BB を通り OAOA と垂直な直線と中心が OO で半径が OAOA である円の交点の1つ CC が作図できる。 ACAC は正 nn 角形の1辺である。よって,正 nn 角形が作図できる。

二つ目の \Rightarrow について。やや難しいので割愛。

二つ目の \Leftarrow について。(整数の四則演算とルートで表現できる任意の数 ll に対して)長さ1の線分が与えられたとき,長さ ll の線分は作図可能。→平方根の長さを作図する2通りの方法

正十七角形の作図

任意のフェルマー素数 pp に対して cos2πp\cos\dfrac{2\pi}{p} は整数の四則演算とルートで表現できることが知られています。証明はかなり難しいです。例えば高木貞治の「初等整数論講義」という本に載っています。

この結果とさきほどの必要十分条件より正 pp 角形は作図可能ということです。

ちなみに,

cos2π17=116(1+17+217172)+1417+317417+1721217172 \begin{aligned} \cos\dfrac{2\pi}{17}&=\dfrac{1}{16}\left(-1+\sqrt{17}+2\sqrt{\dfrac{17-\sqrt{17}}{2}}\right)\\ &+\dfrac{1}{4}\sqrt{\dfrac{17+3\sqrt{17}}{4}-\sqrt{\dfrac{17+\sqrt{17}}{2}}-\dfrac{1}{2}\sqrt{\dfrac{17-\sqrt{17}}{2}}} \end{aligned}

です。

冒頭の定理の導出

(以上の事実は認めてしまった上で)冒頭の定理の \Leftarrow を導出します。以下の2つの事実を証明すればOKです。

  1. nn 角形が作図可能なら正 2n2n 角形も作図可能。

  2. 互いに素な数 p1,p2p_1,p_2 に対して正 p1p_1 角形と正 p2p_2 角形が作図可能なら正 p1p2p_1p_2 角形も作図可能。

導出

1について。 cos2πn\cos\dfrac{2\pi}{n} が整数の四則演算とルートで表現できるなら,半角の公式から cos2π2n\cos\dfrac{2\pi}{2n} も整数の四則演算とルートで表現できる。

2について。 p1p_1p2p_2 は互いに素なので p1A+p2B=1p_1A+p_2B=1 ,つまり 1p1p2=Bp1+Ap2\dfrac{1}{p_1p_2}=\dfrac{B}{p_1}+\dfrac{A}{p_2} を満たす整数 A,BA,B が存在する。→一次不定方程式ax+by=cの整数解

よって,加法定理より

cos2πp1p2=cos2πBp1cos2πAp2sin2πBp1sin2πAp2\cos\dfrac{2\pi}{p_1p_2}=\cos\dfrac{2\pi B}{p_1}\cos\dfrac{2\pi A}{p_2}-\sin\dfrac{2\pi B}{p_1}\sin\dfrac{2\pi A}{p_2}

である。

よって,cos2πp1\cos\dfrac{2\pi}{p_1}cos2πp2\cos\dfrac{2\pi}{p_2} が整数の四則演算とルートで表現できるなら,cos2πp1p2\cos\dfrac{2\pi}{p_1p_2} も整数の四則演算とルートで表現できる。

cos2π17\cos\dfrac{2\pi}{17} はかなりインパクトありますね。

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