三角形の五心の覚えておくべき性質を整理
更新日時 2021/03/07
三角形の五心の定義と重要な性質をまとめました。三角形の五心にはおもしろい性質がたくさんあり,大学入試や数学オリンピックで頻出です。
- 初等幾何的性質(図形的な性質)
- 解析幾何的性質(座標やベクトルに関する性質)
をそれぞれ紹介します。
目次
重心
外心
内心
垂心
傍心
重心
重心の定義
3本の中線(頂点と向かい合う辺の中点を結んだ線)は1点で交わる。この点を重心と呼ぶ。
初等幾何的性質
- 重心は各中線を に内分する。
解析幾何的性質
- 各頂点の平均として表される。
- ベクトルでは,
- 座標平面では,
外心
外心の定義
各辺の垂直二等分線は1点で交わる。この点を外心と呼ぶ。
初等幾何的性質
- 外心は三角形 の外接円の中心
- 円周角と中心角の関係:
解析幾何的性質
- 外接円の半径 は,正弦定理: を使って計算できる。
- 外心の位置ベクトル は各頂点の位置ベクトルを用いて以下のように表される: ちなみにこの公式はベクトルの面積比の公式からすぐに導ける。
内心
内心の定義
各角の2等分線は1点で交わる。この点を内心と呼ぶ。
初等幾何的性質
- から各辺までの距離は等しい
- 内心は三角形 の内接円の中心
解析幾何的性質
- 内接円の半径 は,面積 を用いた関係式: を使って計算できる。→内接円の半径と三角形の面積
- 内心の位置ベクトル は各頂点の位置ベクトルを用いて以下のように表される: この公式も外心の場合と同様に面積比を利用して導ける。
垂心
垂心の定義
各頂点から向かい合う辺におろした垂線は1点で交わる。この点を垂心と呼ぶ。
垂心の存在については,垂心の存在の3通りの証明参照。
初等幾何的性質
- 四角形 は円に内接する四角形である(円周角の定理や正弦定理が使える)
ちなみに2つめの性質は以下のようにして証明できる:
解析幾何的性質
- 垂心の位置ベクトル も外心,内心と同様の手法で各頂点の位置ベクトルを用いて以下のように表される:
傍心
傍心の定義
1つの角の二等分線と残り2つの角の外角の二等分線の交点は1点で交わる。この点を傍心と言う。
- どの角の内角を考えるかによって傍心は3つあります。図では,∠Aの内角の二等分線上にあるものを示しています。
- 傍心は定義が内心と似ているので,多くの場合内心とほぼ同じ手法で扱えます。(→傍心の意味と性質・内心との比較)
- 外心,重心,垂心は座標やベクトルを用いたゴリ押し計算で扱うこともできますが,内心,傍心は角度に関する情報が本質的な役割を果たすので解析的なアプローチはほとんどの場合で通用しません。
私の中でのイメージカラーは重心が黒,外心が緑,内心が赤,垂心が青,傍心が黄色です。
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