3通りの方法で導出します。
指数関数のマクローリン展開を使う方法
sinhx=2ex−e−x,coshx=2ex+e−x なので,指数関数 ex のマクローリン展開から計算できます。
導出1
ex=1+x+2!x2+3!x3+4!x4+⋯
および
e−x=1−x+2!x2−3!x3+4!x4−⋯
という2つの式について,
-
引き算して 2 で割ると,
sinhx=x+3!x3+5!x5+⋯
-
足し算して 2 で割ると,
coshx=1+2!x2+4!x4+⋯
高階微分を計算する方法
導出2
(sinhx)′=coshx(coshx)′=sinhx
より,n 階微分は coshx と sinhx を交互に繰り返す。そして x=0 での値は 1 と 0 を繰り返す。
-
f(x)=sinhx に対して,f(0),f′(0),f′′(0),… は 0,1,0,1,0,... となるので
sinhx=x+3!x3+5!x5+⋯
-
f(x)=coshx に対して,f(0),f′(0),f′′(0),… は 1,0,1,0,1,... となるので
coshx=1+2!x2+4!x4+⋯
三角関数の場合は (cosx)′=−sinx となりマイナスがつきますが,双曲線関数の場合は符号の変化が無いのでシンプルです。
sin と sinh の関係を使う方法
補題1
- sinix=isinhx
- cosix=coshx
これは定理というよりも「複素三角関数の定義」ですが,オイラーの公式に基づいた導出を紹介しておきます。
補題1の導出
eix=cosx+isinx
の x に ix と −ix を代入して
- e−x=cos(ix)+isin(ix)
- ex=cos(−ix)+isin(−ix)=cos(ix)−isin(ix)
この2式を引き算して 2i で割ると sinix=isinhx
この2式を足し算して 2 で割ると cosix=coshx
補題1を使って sinh と cosh のマクローリン展開を導出します。
導出3
sinhxcoshx=i1sinix=i1{(ix)−3!(ix)3+5!(ix)5−⋯}=x+3!x3+5!x5+⋯=cosix=1−2!(ix)2+4!(ix)4−⋯=1+2!x2+4!x4+⋯