双曲線関数(sinhx, coshx, tanhx)の逆関数

逆双曲線関数

y=sinhxy=\sinh x の逆関数は,y=log(x+x2+1)y=\log(x+\sqrt{x^2+1})

y=coshx(x0)y=\cosh x\:(x\geq 0) の逆関数は,y=log(x+x21)y=\log(x+\sqrt{x^2-1}) (1x)(1\leq x)

y=tanhxy=\tanh x の逆関数は,y=12log1+x1xy=\dfrac{1}{2}\log\dfrac{1+x}{1-x} (1<x<1)(-1< x< 1)

それぞれ arsinh\mathrm{arsinh}arcosh\mathrm{arcosh}artanh\mathrm{artanh} と表記することもあります。

双曲線関数

sinhx\sinh x とは exex2\dfrac{e^{x}-e^{-x}}{2} のことです。

coshx\cosh x とは ex+ex2\dfrac{e^{x}+e^{-x}}{2} のことです。

tanhx\tanh x とは exexex+ex\dfrac{e^{x}-e^{-x}}{e^{x}+e^{-x}} のことです。

これらは,双曲線関数と呼ばれる重要な関数です。

この記事では,双曲線関数の逆関数について考えます。sinhx\sinh xcoshx\cosh x の逆関数の導出については双曲線関数(sinh,cosh,tanh)の意味・性質・楽しい話題まとめの中盤あたりを参照してください。

逆関数の計算

単純に解く

ここでは tanhx\tanh x の逆関数を導出します。 tanhx\tanh x は狭義単調増加なので逆関数を考えることができます。→逆関数の3つの定義と使い分け

導出

y=exexex+exy=\dfrac{e^{x}-e^{-x}}{e^x+e^{-x}}xx について解くのが目標。変形していく:

exy+exy=exexe2x(y1)=y1e2x=1+y1y2x=log1+y1yx=12log1+y1y\begin{aligned} e^xy+e^{-x} y &= e^x-e^{-x}\\ e^{2x} (y-1) &= -y-1\\ e^{2x} &= \dfrac{1+y}{1-y}\\ 2x &= \log\dfrac{1+y}{1-y}\\ x&=\dfrac{1}{2}\log\dfrac{1+y}{1-y} \end{aligned}

よって,y=tanhxy=\tanh x の逆関数は,y=12log1+x1xy=\dfrac{1}{2}\log\dfrac{1+x}{1-x}

なお,tanhx\tanh x の値域は (1,1)(-1,1) なので,tanhx\tanh x の逆関数の定義域は 1<x<1-1 < x < 1 となります。

sinhx\sinh xcoshx\cosh x の逆関数も同様に計算することができます。練習してみましょう。

積分を使って計算する

arsinh x=log(x+x2+1)\mathrm{arsinh} \ x = \log (x+\sqrt{x^2+1}) の右辺を見覚えのある人もいるのではないでしょうか。そう 1x2+1\dfrac{1}{\sqrt{x^2 + 1}} の原始関数ですね。

この性質を踏まえて計算をしてみましょう。

証明

y=arsinh xy = \mathrm{arsinh}\ xsinhy=x\sinh y = x である。辺々を xx で微分すると y(sinhy)=1 y' (\sinh y)' = 1 となる。

(sinhy)=coshy=1+sinh2y=1+x2\begin{aligned} (\sinh y)' &= \cosh y \\ &= \sqrt{1+\sinh^2 y}\\ &= \sqrt{1+x^2} \end{aligned} より y=11+x2 y' = \dfrac{1}{\sqrt{1+x^2}} である。よって y=log(x+x2+1)+C y = \log (x+\sqrt{x^2+1}) + C となる。x=0x = 0 での値を比較することで C=0C = 0 とわかる。

関連する入試問題

2015年後期の東北大学の入試問題です。小問をカットしています。

問題

1<x<1-1 < x < 1 で定義された関数 f(x)f(x) が以下を満たすとき,f(x)f(x) を求めよ:

  • 1-1 より大きく 11 より小さい任意の実数 x,yx,y に対して,f(x)+f(y)=f(x+y1+xy)f(x)+f(y)=f\left(\dfrac{x+y}{1+xy}\right)
  • f(x)f(x)x=0x=0 で微分可能で,f(0)=1f'(0)=1
略解

x=y=0x=y=0 とすると,2f(0)=f(0)2f(0)=f(0) より f(0)=0f(0)=0 が分かる。

さらに,y=xy=-x とすると f(x)=f(x)f(-x)=-f(x) が分かる。

次に,f(x)f'(x) を求めるために,f(x+h)f(x)h\dfrac{f(x+h)-f(x)}{h} について考える(hh は十分 00 に近い実数)。

f(x+h)f(x)h=f(x+h)+f(x)h=1hf(h1x2hx)=f(h1x2hx)f(0)h1x2hx11x2hx\begin{aligned} &\dfrac{f(x+h)-f(x)}{h}\\ &=\dfrac{f(x+h)+f(-x)}{h}\\ &=\dfrac{1}{h}f\left(\dfrac{h}{1-x^2-hx}\right)\\ &=\dfrac{f(\frac{h}{1-x^2-hx})-f(0)}{\frac{h}{1-x^2-hx}}\cdot\dfrac{1}{1-x^2-hx} \end{aligned}

これと f(0)=1f'(0)=1 より,f(x)=11x2f'(x)=\dfrac{1}{1-x^2}

これを積分すると,y=12log1+x1xy=\dfrac{1}{2}\log\dfrac{1+x}{1-x} となる。これは tanhx\tanh x の逆関数!

arsinh,arcosh,artanh\mathrm{arsinh},\mathrm{arcosh},\mathrm{artanh} が正しいです。arcsinh,arccosh,arctanh\mathrm{arcsinh},\mathrm{arccosh},\mathrm{arctanh} ではありません。