複素数分野:練習問題一覧|入試数学コンテスト過去問集

この記事では,入試数学コンテストで出題された問題のうち,複素数分野のものをまとめています。

易しめの問題から超難問まで,幅広い難易度の問題が揃っています。全ての問題に解答解説がついているので,日々の学習・演習に役立ててください。

複素数分野の問題を解くコツ

  • 複素数の問題を解く際,幾何的な視点代数的な視点をそれぞれ意識するとよいです。

  • 複素数平面を使うと,図形の問題を計算で解けます。例:シムソンの定理とその2通りの証明 の2つめの証明。

  • 複素数の問題は 数式の処理力を見るのに良い題材 です。例えば複素数 zz に対して z2z^2z2|z|^2 は意味が異なります。こうした複素数特有のポイントをきちんと処理する必要があります。ほかにも 1の3乗根,ω\omega の問題 など,方程式に関する問題もあります。

  • 複素数分野では,大学数学を背景とする問題もときどき登場します。一次分数変換(メビウス変換)と円円対応 は実際に大学の授業や試験で扱われますが,その内容は高校生でもある程度理解できるもので,入試にも出題されます。

  • このように,複素数の問題は,いくつもの顔を持ちます。問題を解くときに手が止まってしまったときは,もう1つの視点を思い出してみるのも有効です。

第2回第5問

問題

S={(x1,x2,x3)R3x12+x22+x32=1,x31} S = \{(x_1, x_2, x_3) \in \mathbb{R}^3 \mid x_1^2 + x_2^2 + x_3^2 = 1, x_3 \neq 1\}

とする。

SS 上の点 p=(x1,x2,x3)p = (x_1, x_2, x_3) に対して複素数 f(p)f(p)

f(p)=x1+ix21x3 f(p) = \frac{x_1 + i x_2}{1 - x_3}

で定める(ii は虚数単位)。

また, 複素数 α\alpha に対し, CαC_\alpha を複素数平面における中心 α\alpha, 半径 11 の円とする。

(1) α=a+bi\alpha = a + bia,ba,b は実数)とおく。 p=(x1,x2,x3)p = (x_1, x_2, x_3) に対して f(p)f(p)CαC_\alpha 上にあるための x1,x2,x3x_1, x_2, x_3 の条件を a,ba,b を用いて表せ。

(2) 「f(p)f(p)CαC_\alpha 上の点になるような pp 全体がなす図形 DαD_ \alpha 」, つまり集合 Dα={pSf(p)Cα} D_ \alpha = \{p \in S \mid f(p) \in C_\alpha\}

が, x1x2x3x_1 x_2 x_3 空間で半径 12\dfrac{1}{\sqrt{2}} の円になるような α\alpha を考える。

このような α\alpha 全体は複素数平面において円をなす。この円の中心の実部と虚部、および半径を求めよ。

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第3回第6問

問題

ω1=a+bi\omega_1 = a + biω2=c+di\omega_2 = c + di を複素数とする( a,b,c,da, b, c, d は実数,ii は虚数単位).

このとき

「全ての実数 x,yx, y に対して

m(x2+y2)xω1+yω22M(x2+y2) m(x^2 + y^2) \leq |x \omega_1 + y \omega_2|^2 \leq M(x^2 + y^2)

が成り立つような実数 m,Mm, M」 を考え,そのような mm の最大値を m0m_0MM の最小値を M0M_0 とする.(m0m_0M0M_0 が必ず存在することは認めてよい.)

(1) c=1c = 1d=0d = 0 つまり ω2=1\omega_2 = 1 のとき,m0m_0M0M_0aabb を用いて表せ.

(2) m0m_0M0M_0aabbccdd を用いて表せ.

(3) m0>0m_0 > 0 となるための条件を aabbccdd を用いて表せ.

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第4回第4問

問題

複素数平面において,

z3+z+3=4 |z-\sqrt{3}|+|z+\sqrt{3}|=4

を満たす複素数 zz 全体を CC とする。

(1) α\alphaCC 上を動くとき,α\alpha の軌跡によって囲まれる部分の面積を求めよ。

(2) α\alphaCC 上を動くとき,αα\alpha |\alpha| の軌跡によって囲まれる部分の面積を求めよ。

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第6回第4問

問題

O\mathrm{O} を複素数平面の原点とし,z2=2|z-2| = \sqrt{2} を満たす複素数平面上の図形を CC とする。CC 上に点 Pn(zn)\mathrm{P}_n (z_n) を以下のように定める。

  • z1=1+iz_1 = 1+i
  • OPnPn+1=90\angle \mathrm{O} \mathrm{P}_n \mathrm{P}_{n+1} = 90^{\circ} を満たす。

(1) z2z_2 を求めよ。

(2) n2n \geqq 2 とする。直線 OPn\mathrm{OP}_nCC の交点のうち Pn\mathrm{P}_n ではない点を Qn\mathrm{Q}_n とおく。線分の長さの積 OPnOQn\mathrm{OP}_n \cdot \mathrm{OQ}_n を求めよ。

(3) zn+1z_{n+1}znz_{n} を用いて表せ。なお,解答する際は znz_nzz と入力をすること。

(4) znz_{n} の実部と虚部をそれぞれ xnx_{n}yny_{n} とする。このとき limnxn\displaystyle \lim_{n \to \infty} x_nlimnyn\displaystyle \lim_{n \to \infty} y_n を求めよ。

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