入試数学コンテスト第2回第5問解答解説

更新日時 2021/10/30
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  • 第5問 [複素数]

第5問 [複素数]

第5問

S={(x1,x2,x3)R3x12+x22+x32=1,x31} S = \{(x_1, x_2, x_3) \in \mathbb{R}^3 \mid x_1^2 + x_2^2 + x_3^2 = 1, x_3 \neq 1\}

とする。

SS 上の点 p=(x1,x2,x3)p = (x_1, x_2, x_3) に対して複素数 f(p)f(p)

f(p)=x1+ix21x3 f(p) = \frac{x_1 + i x_2}{1 - x_3}

で定める(ii は虚数単位)。

また, 複素数 α\alpha に対し, CαC_\alpha を複素数平面における中心 α\alpha, 半径 11 の円とする。

(1) α=a+bi\alpha = a + bia,ba,b は実数)とおく。 p=(x1,x2,x3)p = (x_1, x_2, x_3) に対して f(p)f(p)CαC_\alpha 上にあるための x1,x2,x3x_1, x_2, x_3 の条件を a,ba,b を用いて表せ。

(2) 「f(p)f(p)CαC_\alpha 上の点になるような pp 全体がなす図形 DαD_ \alpha 」, つまり集合 Dα={pSf(p)Cα} D_ \alpha = \{p \in S \mid f(p) \in C_\alpha\}

が, x1x2x3x_1 x_2 x_3 空間で半径 12\dfrac{1}{\sqrt{2}} の円になるような α\alpha を考える。

このような α\alpha 全体は複素数平面において円をなす。この円の中心の実部と虚部、および半径を求めよ。

空間図形の問題です.複素数が登場するものの,内容としては基本的な座標幾何の方法で解けるものです.(1)ではうまく式変形を進められるか,(2)では問題の言っていることを正しく読み取れるかがポイントです.

第5問(1)

α=a+bi\alpha = a + bia,ba,b は実数)とおくと,p=(x1,x2,x3)Sp = (x_1, x_2, x_3) \in S に対して f(p)f(p)CαC_\alpha 上にあるための条件は (x11x3a)2+(x21x3b)2=1\left(\frac{x_1}{1 - x_3} - a\right)^2 + \left(\frac{x_2}{1 - x_3} - b\right)^2 = 1 である.x31x_3 \neq 1 よりこれは

(x1a(1x3))2+(x2b(1x3))2=(1x3)2(x_1 - a(1 - x_3))^2 + (x_2 - b(1 - x_3))^2 = (1 - x_3)^2

と同値である.左辺は展開してx12+x22=1x32x_1^2 + x_2^2 = 1 - x_3^2を使うことで

x122ax1(1x3)+a2(1x3)2+x222bx2(1x3)+b2(1x3)2=x12+x222ax1(1x3)2bx2(1x3)+(a2+b2)(1x3)2=(1x32)2ax1(1x3)2bx2(1x3)+(a2+b2)(1x3)2=(1x3)((1+x3)(2ax1+2bx2)+(a2+b2)(1x3)) \begin{aligned} &x_1^2 - 2ax_1(1 - x_3) + a^2(1 - x_3)^2 \\ &+ x_2^2 - 2bx_2(1 - x_3) + b^2(1 - x_3)^2 \\ &= x_1^2 + x_2^2 - 2ax_1(1 - x_3) -2bx_2(1 - x_3) + (a^2 + b^2)(1 - x_3)^2 \\ &=(1 - x_3^2) - 2ax_1(1 - x_3) -2bx_2(1 - x_3) + (a^2 + b^2)(1 - x_3)^2 \\ &= (1- x_3) \left((1 + x_3) - (2ax_1 + 2bx_2) + (a^2 + b^2)(1 - x_3)\right) \end{aligned}

と変形できる.x31x_3 \neq 1だから,両辺を 1x31 - x_3 で割ることで (1+x3)(2ax1+2bx2)+(a2+b2)(1x3)=1x3 (1 + x_3) - (2ax_1 + 2bx_2) + (a^2 + b^2)(1 - x_3) = 1 - x_3

と同値変形できる.これを整理すると 2ax1+2bx2+(a2+b22)x3=a2+b2 2ax_1 + 2bx_2 + (a^2 + b^2 - 2)x_3 = a^2 + b^2 となる.

ポイントは pSp \in S の条件 x12+x22=1x32x_1^2 + x_2^2 = 1 - x_3^2x31x_3 \neq 1 を使って同値変形をしていく部分です.いろいろな項がうまく噛み合って,出てくる条件式は x1,x2,x3x_1,x_2,x_3 の1次式として表すことができます.

次に(2)です.問題文が複雑なので,

  • DαD_\alphaはどういう図形なのか
  • DαD_\alphaが半径 12\dfrac{1}{\sqrt{2}} の円になるのはいつか

に分けて考えていきます.

まずDαD_\alphaがどういう図形なのか考えてみます.(1)の結果から,pSp \in SDαD_\alpha上にあるための必要十分条件は

2ax1+2bx2+(a2+b22)x3=a2+b2 2ax_1 + 2bx_2 + (a^2 + b^2 - 2)x_3 = a^2 + b^2

です.これは x1x2x3x_1x_2x_3 空間の平面の方程式なので,DαD_\alpha球面 SS と平面の交わりとなります.

DαD_\alpha の半径については,球面と平面が交わってできる円の半径が「球の半径」と「平面と球の中心の距離」を使って計算できることを使えば a,ba,b の式として求めることができます.これにより α\alpha の条件が求まります.

第5問(2)

α=a+bi\alpha = a + bi とおくと,DαD_\alpha は方程式

2ax1+2bx2+(a2+b22)x3=a2+b2 2ax_1 + 2bx_2 + (a^2 + b^2 - 2)x_3 = a^2 + b^2

で表される空間内の平面 TαT_\alpha と,SS の交わりとなる.

SS が単位球面から N=(0,0,1)N = (0, 0, 1) を抜いたものであることと,TαT_\alphaNN を通らないことに注意する.

すると,平面 TαT_\alpha と原点の距離を d0d \geq 0 とおいたとき,下図よりDαD_\alpha の半径は

1d2\sqrt{1 - d^2}

で与えられる.

図1-1

図1-2

よって求める条件は

1d2=12\sqrt{1 - d^2} = \frac{1}{\sqrt{2}}

つまり

d=12d = \frac{1}{\sqrt{2}}

である.さらに点と平面の距離の公式により

d=a2+b24a2+4b2+(a2+b22)2 d = \frac{a^2 + b^2}{\sqrt{4a^2 + 4b^2 + (a^2 + b^2 - 2)^2}}

だから,条件は

a2+b24a2+4b2+(a2+b22)2=12 \frac{a^2 + b^2}{\sqrt{4a^2 + 4b^2 + (a^2 + b^2 - 2)^2}} = \frac{1}{\sqrt{2}}

となる.a2+b2=α\sqrt{a^2 + b^2} = |\alpha| を使って整理すると,

α24α2+(α22)2=122α4=4α2+(α22)22α4=α4+4α4=4α=2 \begin{aligned} & \frac{|\alpha|^2}{\sqrt{{4|\alpha|^2 + (|\alpha|^2 - 2)^2}}} = \frac{1}{\sqrt{2}} \\ & \Leftrightarrow 2|\alpha|^4 = 4|\alpha|^2 + (|\alpha|^2 - 2)^2 \\ & \Leftrightarrow 2|\alpha|^4 = |\alpha|^4 + 4 \\ & \Leftrightarrow |\alpha|^4 = 4 \\ & \Leftrightarrow |\alpha| = \sqrt{2} \end{aligned}

となる.よって求める α\alpha たちは複素数平面において中心 00 ,半径 2\sqrt{2} の円をなす.

実は,この問題の ff によって SS と複素数平面は1対1に対応します.この球面と複素数平面を対応させる考え方をリーマン球面といいます.図形的には,下図のように「単位球面の北極 NN から放った光によって,SS の点とその平面への影を対応させる」ようなものになっています.

図2