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三角形の面積のベクトル・成分を用いた公式

更新日時 2021/03/02

OAundefined=aundefined=(a1a2), OBundefined=bundefined=(b1b2)\overrightarrow{OA} = \overrightarrow{a} = \begin{pmatrix} a_1\\ a_2 \end{pmatrix}, ~ \overrightarrow{OB} = \overrightarrow{b} = \begin{pmatrix} b_1\\ b_2 \end{pmatrix} としたとき,三角形 OABOAB の面積 SS は以下のように表せる。

S=12aundefined2bundefined2(aundefinedbundefined)2(1)S = \dfrac{1}{2}\sqrt{\|\overrightarrow{a}\|^2\|\overrightarrow{b}\|^2 - \left(\overrightarrow{a} \cdot \overrightarrow{b}\right)^2}\tag{1} S=12a1b2a2b1(2)S = \dfrac{1}{2}| a_1b_2 - a_2b_1| \tag{2}

三角形OAB

ベクトルや座標平面上に表された三角形の面積を表す公式について,証明とその利用例を解説します。

目次
  • 三角形の面積の公式の確認

  • 三角形の面積のベクトル表示

  • 三角形の面積の成分表示

  • 問題例

  • 平行四辺形も同様の公式で求められる

三角形の面積の公式の確認

三角形OAB_2

三角形 OABOAB において,AOB=θ\angle AOB = \theta とすると,三角形 OABOAB の面積 SS は, S=12aundefinedbundefinedsinθ S = \dfrac{1}{2}\|\overrightarrow{a}\|\|\overrightarrow{b}\|\sin\theta で表されます。この公式については以下の記事で解説しています。→sinを用いた三角形の面積公式

冒頭の公式 (1)(1) (2)(2) の証明には,この公式を使います。

三角形の面積のベクトル表示

では早速式 (1)(1) から証明してみます。

内積の定義 aundefinedbundefined=aundefinedbundefinedcosθ\overrightarrow{a}\cdot\overrightarrow{b} = \|\overrightarrow{a}\|\|\overrightarrow{b}\| \cos \theta により, cosθ=aundefinedbundefinedaundefinedbundefined \cos \theta = \dfrac{\overrightarrow{a}\cdot\overrightarrow{b}}{\|\overrightarrow{a}\|\|\overrightarrow{b}\|} sinθ>0\sin \theta > 0 より, sinθ=1cos2θ=1(aundefinedbundefinedaundefinedbundefined)2 \begin{aligned} \sin \theta &= \sqrt{1-\cos^2 \theta}\\ &= \sqrt{1-\left(\dfrac{\overrightarrow{a}\cdot\overrightarrow{b}}{\|\overrightarrow{a}\|\|\overrightarrow{b}\|}\right)^2} \end{aligned} よって,三角形の面積は S=12aundefinedbundefinedsinθ=12aundefinedbundefined1(aundefinedbundefinedaundefinedbundefined)2=12aundefined2bundefined2(aundefinedbundefined)2 \begin{aligned} S &= \dfrac{1}{2}\|\overrightarrow{a}\|\|\overrightarrow{b}\|\sin\theta\\ &= \dfrac{1}{2}\|\overrightarrow{a}\|\|\overrightarrow{b}\|\sqrt{1-\left(\dfrac{\overrightarrow{a}\cdot\overrightarrow{b}}{\|\overrightarrow{a}\|\|\overrightarrow{b}\|}\right)^2}\\ &= \dfrac{1}{2}\sqrt{\|\overrightarrow{a}\|^2\|\overrightarrow{b}\|^2 - \left(\overrightarrow{a} \cdot \overrightarrow{b}\right)^2} \end{aligned}

やや複雑な形をしていますが,使える機会が多いので正確に覚えておきましょう。

三角形の面積の成分表示

(2)(2) は,「サラスの公式」とも呼ばれる公式です。サラスの公式には,平面上の三角形の面積の公式だけではなく,空間上の四面体の体積を求める公式もあります。→サラスの公式

上記の記事には式 (1)(1) を利用した証明が書かれています。ここでは別の証明方法を紹介したいと思います。

サラスの公式証明

BB から 辺 OAOA に向かって垂線をを引き,その垂線の足を HH とする。

  • a10a_1 \neq 0 のとき

直線 OAOA の方程式は y=a2a1xy = \dfrac{a_2}{a_1}x で表される。この直線と BB との距離 dd は,点と直線の距離の公式より, d=a2a1b1b2a22a12+1=a2b1a1b2a12+a22 d = \dfrac{\left|\dfrac{a_2}{a_1}b_1 - b_2\right|}{\sqrt{\dfrac{a_2^2}{a_1^2} + 1}} = \dfrac{|a_2b_1 - a_1b_2|}{\sqrt{a_1^2 + a_2^2}} OAOA の長さは a12+a22\sqrt{a_1^2 + a_2^2} であるから, S=12a12+a22a2b1a1b2a12+a22=12a2b1a1b2=12a1b2a2b1 \begin{aligned} S &= \dfrac{1}{2} \sqrt{a_1^2 + a_2^2} \cdot \dfrac{|a_2b_1 - a_1b_2|}{\sqrt{a_1^2 + a_2^2}}\\ &= \dfrac{1}{2}|a_2b_1 - a_1b_2|\\ &= \dfrac{1}{2}|a_1b_2 - a_2b_1|\\ \end{aligned}

  • a1=0a_1 = 0 のとき

直線 OAOA の方程式は x=0x = 0 で表される。この直線と BB との距離は b1|b_1| であり,OA=a2OA = |a_2| であるから, S=12a2b1 S = \dfrac{1}{2}|a_2b_1|

どちらの場合も式 (2)(2) で尽くされる。

証明では点と直線の距離の公式を利用しました(→点と直線の距離公式の3通りの証明)。ちゃんと証明しようとすると場合分けが必要であることに注意しましょう。

問題例

公式を利用できる簡単な問題を解いてみます。

例1

ABundefined=4, ACundefined=3, ABundefinedACundefined=8\|\overrightarrow{AB}\| = 4, ~\|\overrightarrow{AC}\| = 3, ~\overrightarrow{AB}\cdot \overrightarrow{AC} = 8 を満たす三角形 ABCABC の面積を求めよ。

公式 (1)(1) を利用するだけです。求めたい三角形の面積を SS とすると, S=12423282=1214464=1245=25 \begin{aligned} S &= \dfrac{1}{2}\sqrt{4^2 \cdot 3^2 - 8^2}\\ &= \dfrac{1}{2} \sqrt{144-64}\\ &= \dfrac{1}{2} \cdot 4\sqrt{5}\\ &= 2\sqrt{5} \end{aligned} と求めることができます。

例2

座標平面上に A(0,0),B(2,1),C(5,4)A(0,0), B(2,-1), C(5,4) があるとき,三角形 ABCABC の面積を求めよ。

点が座標で表されているので,公式 (2)(2) を利用するのが良さそうです。求めたい三角形の面積を SS とすると, S=1224(1)5=128+5=132 \begin{aligned} S &= \dfrac{1}{2}|2\cdot 4 - (-1)\cdot 5|\\ &= \dfrac{1}{2}|8 + 5|\\ &= \dfrac{13}{2} \end{aligned} と求めることができます。

例3

座標平面上に A(2,4),B(4,3),C(1,0)A(2,4), B(4,-3), C(-1,0) があるとき,三角形 ABCABC の面積を求めよ。

この問題には2通りのやり方を紹介します。

まず,公式 (1)(1) を利用する方法です。 ABundefined=(27), ACundefined=(34) \overrightarrow{AB} = \left( \begin{array}{c} 2\\ -7 \end{array} \right), ~\overrightarrow{AC} = \left( \begin{array}{c} -3\\ -4 \end{array}\right) ですから,これを使って計算します。 ABundefined2=22+(7)2=53ACundefined2=(3)2+(4)2=25ABundefinedACundefined=6+28=22 \begin{aligned} \|\overrightarrow{AB}\|^2 &= 2^2 + (-7)^2 = 53\\ \|\overrightarrow{AC}\|^2 &= (-3)^2 + (-4)^2 = 25\\ \overrightarrow{AB}\cdot\overrightarrow{AC} &= -6 + 28 = 22 \end{aligned} により, 求めたい三角形の面積を SS とすると, S=125325222=121325484=12841=292 \begin{aligned} S &= \dfrac{1}{2}\sqrt{53 \cdot 25 - 22^2}\\ &= \dfrac{1}{2} \sqrt{1325-484}\\ &= \dfrac{1}{2} \cdot \sqrt{841}\\ &= \dfrac{29}{2} \end{aligned} と求めることができます。

次に,公式 (2)(2) を利用するやり方です。原点に一致する点がないので,公式を利用することができないと思うかもしれません。

しかし,三点を同じ方向同じ距離だけ平行移動しても三角形の面積は変わりません。そこで,どれか一点が原点に重なるように平行移動することを考えましょう。

今回は CC(0,0)(0,0) に一致させる,つまり xx 方向に +1+1 平行移動することを考えます。このとき AAA(3,4)A'(3,4)BBB(5,3)B'(5,-3) に移動します。求めたい三角形の面積は,三角形 OABOA'B' に一致するので, S=123(3)54=292 \begin{aligned} S &= \dfrac{1}{2}|3\cdot(-3) - 5\cdot 4|\\ &= \dfrac{29}{2} \end{aligned} と求めることができます。

平行四辺形も同様の公式で求められる

合同な三角形を二つ繋げると平行四辺形になるので,上記の公式から 12\dfrac{1}{2} を取った式で平行四辺形の面積を求めることができます。

OAundefined=aundefined=(a1a2), OBundefined=bundefined=(b1b2)\overrightarrow{OA} = \overrightarrow{a} = \begin{pmatrix} a_1\\ a_2 \end{pmatrix}, ~ \overrightarrow{OB} = \overrightarrow{b} = \begin{pmatrix} b_1\\ b_2 \end{pmatrix} としたとき,平行四辺形 OACBOACB の面積 SS' は以下のように表せます。

S=aundefined2bundefined2(aundefinedbundefined)2(3) S' = \sqrt{\|\overrightarrow{a}\|^2\|\overrightarrow{b}\|^2 - \left(\overrightarrow{a} \cdot \overrightarrow{b}\right)^2} \tag{3} S=a1b2a2b1(4)S' = | a_1b_2 - a_2b_1| \tag{4}

平行四辺形の面積 これも知っていると計算が楽になることが多いので,合わせて覚えておきましょう。

少し複雑な公式に見えますが,何回か使っていればすぐに覚えられると思います。

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