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点と直線の距離公式の3通りの証明

更新日時 2021/03/07
点と直線の距離公式

A(x0,y0)A(x_0,y_0) と直線 l:ax+by+c=0l:ax+by+c=0 の距離 dd は,

d=ax0+by0+ca2+b2d=\dfrac{|ax_0+by_0+c|}{\sqrt{a^2+b^2}}

点と直線の距離公式

非常に有名でよく使う公式です。このページでは点と直線の距離公式の3通りの証明を解説します。

  • 証明1:ベクトルを用いる方法(有名,自然な発想)
  • 証明2:三角形の面積を用いる方法(エレガント,中学生でも理解できる)
  • 証明3: dd を点 AA の関数と見る方法(珍しい発想,やや難しい)
目次
  • ベクトルを用いた距離公式の証明

  • 三角形の面積を用いた距離公式の証明

  • おまけにもう1つ距離公式の証明

ベクトルを用いた距離公式の証明

以下では AA から ll に下ろした垂線の足を HH とします。最初は愚直な方法で,AHAH の長さを直接求めに行く方法です。 HH の座標を求めなくても法線ベクトルを用いれば簡単に計算できます。

ll の法線ベクトルが (a,b)(a,b) であることは簡単に分かるので前提知識として使います。→法線ベクトルの求め方と応用

証明

点と直線の距離公式の証明

HH の座標を (X,Y)(X,Y) とする。 AHundefined\overrightarrow{AH}ll の法線ベクトルと平行なので実数 tt を用いて,

(Xx0,Yy0)=t(a,b)(X-x_0, Y-y_0)=t(a, b)

と表せる。あとは,HHll 上にある条件: aX+bY=caX+bY=-c を用いて tt を求めればOK。

上式の両辺に対して (a,b)(a,b) との内積を取ると,

a(Xx0)+b(Yy0)=ta×a+tb×ba(X-x_0)+b(Y-y_0)=ta\times a+tb\times b

である。これと aX+bY=caX+bY=-c より,

cax0by0=t(a2+b2)-c-ax_0-by_0=t(a^2+b^2)

となる。

a2+b20a^2+b^2\neq 0 なので,t=ax0+by0+ca2+b2t=-\dfrac{ax_0+by_0+c}{a^2+b^2}

よって,AHAH の長さ,すなわち t(a,b)t(a,b) の長さは,

d=ta2+b2=ax0+by0+ca2+b2d=|t|\sqrt{a^2+b^2}=\dfrac{|ax_0+by_0+c|}{\sqrt{a^2+b^2}}

となり点と直線の距離公式が証明された。

三角形の面積を用いた距離公式の証明

個人的に好きな証明方法です。

三角形の面積を二通りの方法で表します。

証明

a=0a=0 のとき,直線 lly=cby=-\dfrac{c}{b} となるので求める距離は y0+cb|y_0+\dfrac{c}{b}| となり距離公式は正しい。 b=0b=0 のときも同様。よって,以下 a,ba,\:b ともに 00 でない場合を考える。

点と直線の距離公式の証明2

ll 上に点 P,QP,Q を「 PPAAxx 座標が等しく,QQAAyy 座標が等しくなる」ようにとる。

PA=p,QA=qPA=p,\:QA=q とおくと,PQ=p2+q2PQ=\sqrt{p^2+q^2} である。

三角形の面積を二通りの方法で表すことにより,

12pq=12dp2+q2\dfrac{1}{2}pq=\dfrac{1}{2}d\sqrt{p^2+q^2}

つまり,d=pqp2+q2d=\dfrac{pq}{\sqrt{p^2+q^2}} を得る。

直線の方程式を利用して PPyy 座標を求めることにより,p=cax0by0=1bax0+by0+cp=\left|\dfrac{-c-ax_0}{b}-y_0\right|=\dfrac{1}{|b|}|ax_0+by_0+c|

同様に,

q=cby0ax0=1aax0+by0+cq=\left|\dfrac{-c-by_0}{a}-x_0\right|=\dfrac{1}{|a|}|ax_0+by_0+c|

となるので,これらを上式に代入して整理すると

d=ax0+by0+ca2+b2d=\dfrac{|ax_0+by_0+c|}{\sqrt{a^2+b^2}}

が得られ,点と直線の距離公式が証明された。

おまけにもう1つ距離公式の証明

ddx0x_0y0y_0 の関数とみなし,関数を決定していくという方法です。

証明

ll を固定したとき,AA の場所によって dd が決まるので,ddx0x_0y0y_0 の関数とみなせる。

まず ax+by+c0ax+by+c\geq 0 の領域に AA がある場合を考える。

点と直線の距離公式の証明3

AAxx 軸方向に変化させたときの dd の変化量は x0x_0 の変化量に比例するので ddx0x_0 の一次関数。同様に y0y_0 の一次関数でもある。

よって,d=αx0+βy0+γd=\alpha x_0+\beta y_0+\gamma と書ける。

x0x_0a2+b2\sqrt{a^2+b^2} ずらすと ddaa ずれるので,

α=aa2+b2\alpha=\dfrac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}

同様に,

β=ba2+b2\beta=\dfrac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}

また「 ax0+by0+c=0ax_0+by_0+c=0 のとき d=0d=0 」という状況を,

d=αx0+βy0+γ=ax0+by0a2+b2+γd=\alpha x_0+\beta y_0+\gamma\\ =\dfrac{ax_0+by_0}{\sqrt{a^2+b^2}}+\gamma

に代入すると,

γ=ca2+b2\gamma=\dfrac{c}{\sqrt{a^2+b^2}}

よって,d=ax0+by0+ca2+b2d=\dfrac{ax_0+by_0+c}{\sqrt{a^2+b^2}}

また,ax+by+c0ax+by+c\leq 0 の領域に AA がある場合も同様に,

d=ax0+by0+ca2+b2d=-\dfrac{ax_0+by_0+c}{\sqrt{a^2+b^2}}

となるので点と直線の距離公式が証明された。

このように点と直線の距離公式の証明1つでもいろいろな方法が考えられます。座標の問題に対する様々なアプローチの勉強になります。

Tag:有名な定理を複数の方法で証明

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