関数の連続性と一様連続性
が成立するとき,関数 が で連続という。
また,定義域(考えている区間内)の任意の点 で関数 が連続のとき, を連続関数と呼ぶ。
まず,関数の連続性と一様連続性についての大雑把なイメージを解説します。後半では, を用いた厳密な定義を与えます。
関数の連続性のイメージ
関数の一様連続性のイメージ
連続と一様連続の厳密な定義
関数の連続性のイメージ
いきなり厳密な定義を書くと難しいので,まずはイメージから。
関数が連続であるとは,直感的には 「関数がつながっている,ちぎれていない」という意味です。
- は連続関数です。
- は原点で折れ曲がっているので微分不可能ですが,連続関数です。
- は連続関数です。
- も連続関数です。
なお,いたるところで不連続というヤバい関数もあります。→ディリクレ関数の定義と有名な3つの性質
ここまで理解できれば高校範囲では十分です。以下は大学内容です。
関数の一様連続性のイメージ
連続関数はつながっている関数なので扱いやすい嬉しい関数ですが,さらに 「一様連続関数」と呼ばれるもっと嬉しい関数のクラスがあります。
「つながっている」を言い換える
でつながっていることは「 が に十分近づくと も に近づく」と言い換えることもできます。
一様連続とは
連続であり,さらに 「十分」の程度が に依らないでおさえられるとき,一様連続と言います。
定義から分かるように,一様連続関数は連続関数ですが連続関数が一様連続関数とは限りません。
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は一様連続関数です。
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は原点で折れ曲がっているので微分不可能ですが,一様連続関数です。
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は が十分大きい時に猛烈に変化する(「十分」の程度がどこまでも厳しくなる)ので一様連続関数ではありません。
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は の近くで「十分」の程度がどこまでも厳しくなるので一様連続関数ではありません。
「連続関数では一般に成り立たず,一様連続関数だと成り立つ」ような嬉しい定理がいくつもあるので,一様連続という概念が重要になるのです。
連続と一様連続の厳密な定義
連続関数の厳密な定義は冒頭の定義を を使って書けばよいだけです。( を用いた極限の定義ははさみうちの原理の証明を参照してください。)
以下, は区間 上で定義された実数値関数とします。
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関数 が で連続とは:
任意の正の実数 に対して,ある が存在して,任意の に対して なら が成立することを表す。 -
関数 が区間 で連続とは:
すべての で が連続であることを表す。
一様連続の方が少し難しいです。
関数 が区間 で一様連続とは:
任意の正の実数 に対して,ある が存在して,
任意の実数 に対して, なら が成立することを表す。
非常に似ているので混乱しやすいです,じっくり考えてみてください。
「連続」の場合には場所 に応じて適切な を持ってくればよいのですが,
「一様連続」の場合には場所によらない共通の を持ってこないといけないので一様連続の方が強い定義になっているわけです。
を用いた定義に従って例で紹介した関数たちが連続,あるいは一様連続であることを証明するのがよい練習問題になります。
「連続」は局所的な概念,「一様連続」は大域的な概念です。