sup(上限)とinfの意味,maxとの違い
要素が実数である集合 に対して
: の最大値,maximum(英語),マックス(読み方の例)
: の最小値,minimum,ミン
: の上限,supremum,スープ
: の下限,infimum,インフ
大学の解析のしょっぱなで学ぶ の意味について解説します。
は の反対側, は の反対側なので,ここでは についてのみ解説します。
maxとsupの定義
具体例
supはmaxの一般化
supは常に存在する
maxとsupの定義
まずは集合の最大値 の定義です。
・任意の に対して かつ
( はどの要素よりも小さくはない→ は の上界)
・
次に集合の上限 の定義です。
・任意の に対して かつ
( は の上界)
・ より小さい任意の実数 に対して, なる が存在する
(少しでも小さくすると上界でなくなる)
日本語で言うと「上界の最小値」です。
具体例
閉集合 に対して, ,
の最大値も上限も です。
開集合 に対して, は存在しない,
最大値は存在しませんが,上限は存在します。
と の定義に照らし合わせて確認してみてください!
supはmaxの一般化
ここからは の有用性をなんとなく実感してもらうために, の性質を2つ解説します。
の嬉しさ1: が存在するなら
は を拡張した概念になっているというわけです!
ほぼ自明ですが一応証明しておきます。
のとき, の定義より,
1.任意の に対して
2.
を証明したいのだが, の条件の一つめは1そのものであり成立。二つ目は とすれば,2より成立。
supは常に存在する
の嬉しさ2: が空でなく,上に有界なら は常に存在する。
は存在するとは限りませんが, は(空でない場合は)常に存在するので,統一的に議論することができます。 の存在証明は解析学の教科書を参照して下さい(例えば高木貞治の解析概論)。
supが存在する条件として「 が空でない」が必要でした。ご指摘いただいた読者の方,ありがとうございます!