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球の慣性モーメントの2通りの求め方

更新日時 2021/03/07

質量が MM ,半径が RR の球の(中心を通る軸まわりの)慣性モーメントは I=25MR2I=\dfrac{2}{5}MR^2

大学物理(力学)の基本的な公式です。2通りの方法で導出します。

目次
  • 必要な前提知識

  • 1.対称性を用いる方法

  • 2.円板の慣性モーメントを使う方法

必要な前提知識

(3次元の連続体に対する)慣性モーメントの定義:

I=Vr2dm=Vhor2dVI=\displaystyle\int_V r^2 dm=\displaystyle\int_V ho r^2 dV

ただし,dmdm は微小部分の質量,rr は回転軸までの距離,hoho は密度,dVdV は微小部分の体積を表します。積分は体積積分(三重積分)です。

極座標変換のヤコビアンが r2sinθr^2\sin\theta であること(方法1のみ) →三次元極座標についての基本的な知識 →ヤコビ行列,ヤコビアンの定義と極座標の例

質量が MM ,半径が aa の円板の(中心を通る軸まわりの)慣性モーメントが I=12Ma2I=\dfrac{1}{2}Ma^2 であること(方法2のみ)

1.対称性を用いる方法

「同じ値のものを足して計算しやすいものをつくる」というテクニックを使います。→対称性を用いた定積分の難しい問題の解法

証明

球の中心が原点,回転軸を zz 軸とする座標で考えると,慣性モーメントの定義より

I=x2+y2+z2R2ho(x2+y2)dxdydzI=\displaystyle\int_{x^2+y^2+z^2\leq R^2} ho(x^2+y^2)dxdydz

積分の対称性より,

I=x2+y2+z2R2ho(y2+z2)dxdydzI=\displaystyle\int_{x^2+y^2+z^2\leq R^2} ho(y^2+z^2)dxdydz

I=x2+y2+z2R2ho(z2+x2)dxdydzI=\displaystyle\int_{x^2+y^2+z^2\leq R^2} ho(z^2+x^2)dxdydz

も成立する。これらを加えると,

3I=x2+y2+z2R22ho(x2+y2+z2)dxdydz3I=\displaystyle\int_{x^2+y^2+z^2\leq R^2} 2ho(x^2+y^2+z^2)dxdydz

ここで,直交座標から極座標へ変数変換すると,ヤコビアンは r2sinθr^2\sin\theta なので

3I=02πdϕ0πsinθdθ0R2hor2r2dr=2π22R5ho53I=\displaystyle\int_{0}^{2\pi}d\phi\int_0^{\pi}\sin\theta d\theta\int_0^{R}2ho r^2\cdot r^2 dr\\ =2\pi\cdot 2\cdot \dfrac{2R^5ho}{5}

よって,I=8π15hoR5I=\dfrac{8\pi}{15}ho R^5

ここで,ho=M43πR3ho=\dfrac{M}{\frac{4}{3}\pi R^3} より,

I=25MR2I=\dfrac{2}{5}MR^2

2.円板の慣性モーメントを使う方法

円板の慣性モーメントが 12Ma2\dfrac{1}{2}Ma^2 であることは認めます。

証明

球の中心が原点,回転軸を zz 軸とする座標で考える。 zz 座標が zz から z+dzz+dz の間にある部分は薄い円板とみなせる。

その半径は,R2z2\sqrt{R^2-z^2} ,質量は hoSdz=hoπ(R2z2)dzho Sdz=ho \pi (R^2-z^2)dz

SS は円板の底面積,dzdz は厚み)

よって,この薄い円板部分による慣性モーメントへの寄与は

12hoπ(R2z2)(R2z2)2dz\dfrac{1}{2}ho\pi (R^2-z^2)(\sqrt{R^2-z^2})^2dz

したがって,

I=RR12hoπ(R2z2)2dz=hoπ0R(R42R2z2+z4)dz=hoπ(R52R53+R55)=8π15hoR5I=\displaystyle\int_{-R}^{R}\dfrac{1}{2}ho\pi (R^2-z^2)^2dz\\ =ho\pi \displaystyle\int_0^{R}(R^4-2R^2z^2+z^4)dz\\ =ho\pi \left(R^5-\dfrac{2R^5}{3}+\dfrac{R^5}{5}\right)\\ =\dfrac{8\pi}{15}ho R^5

これと,ho=M43πR3ho=\dfrac{M}{\frac{4}{3}\pi R^3} より,

I=25MR2I=\dfrac{2}{5}MR^2

僕は1つめの方法がかなり好きです。

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