ヤコビ行列,ヤコビアンの定義と極座標の例
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微分係数の多変数関数バージョンであるヤコビ行列,およびヤコビアンについて解説します。具体例として,二次元・三次元極座標変換のヤコビアンを求めてみます。
ヤコビ行列,ヤコビアンの定義
ヤコビ行列,ヤコビアンの定義
ヤコビ行列の意味
ヤコビ行列の意味
一変数の場合,微分係数は関数の一次近似(の接線の傾き)という意味がありました(一次近似の意味とよく使う近似公式一覧):
多変数の場合,接線の傾きに相当するのがヤコビ行列です:
以下では,ヤコビ行列の計算に慣れるために例を2つ解説します。
例1.二次元極座標
例1.二次元極座標
二次元極座標 から直交座標 への変数変換を考えます。二変数関数2つ組なのでヤコビ行列のサイズは2×2です。
変換式は です。変換式をそれぞれ偏微分するとヤコビ行列が求まります:
ヤコビアンは,
重積分の変数変換の文脈では と表記することもあります。
例2.三次元極座標
例2.三次元極座標
三次元極座標 から直交座標 への変数変換を考えます。三変数関数3つ組なのでヤコビ行列のサイズは3×3です。→三次元極座標についての基本的な知識
変換式は です。変換式をそれぞれ偏微分するとヤコビ行列が求まります:
ヤコビアンは(3×3の行列式を頑張って計算すると) となります。
重積分の変数変換の文脈では と表記することもあります。
三次元極座標のヤコビアンは一回は手計算しておきましょう。