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ライプニッツの不等式の3通りの証明

更新日時 2021/03/07

ライプニッツ(Leibniz)の不等式:

三角形 ABCABC の三辺の長さを a,b,ca,b,c ,外接円の半径を RR とおくと,

a2+b2+c29R2a^2+b^2+c^2\leq 9R^2

今回はライプニッツの不等式を3通りの方法で証明します。

方法1:辺の長さの情報に変換して代数的に証明する

方法2:重心と外心の距離が非負であることを用いる

方法3:角度の情報に変換してイェンゼンの不等式を用いる

幾何不等式の証明テクニックが凝縮されています。

目次
  • 1:辺の長さの情報に変換して証明する

  • 2:重心と外心の距離が非負であることを用いる

  • 3:角度の情報に変換してイェンゼンの不等式を用いる

1:辺の長さの情報に変換して証明する

計算はそこそこ大変ですが機械的な計算で解けます!

方針:幾何不等式の最もオーソドックスな解法です。外接円の半径と三角形の面積の関係ヘロンの公式を用いて不等式を a,b,ca,b,c だけで表してから代数的に証明します。3変数三次の対称な不等式なので展開すれば機械的に証明できます。

証明

S=abc4RS=\dfrac{abc}{4R} 及びヘロンの公式より,示すべき不等式は,

9a2b2c216(a2+b2+c2)s(sa)(sb)(sc)9a^2b^2c^2\geq 16(a^2+b^2+c^2)s(s-a)(s-b)(s-c)

右辺のヘロンの公式の部分を気合いで展開すると(注1)a2,b2,c2a^2,b^2,c^2 だけで表せることが分かり,

A=a2,B=b2,C=c2A=a^2,B=b^2,C=c^2 とおくと以下のようになる:

9ABC(A+B+C)(2AB+2BC+2CAA2B2C2)9ABC \geq (A+B+C)(2AB+2BC+2CA-A^2-B^2-C^2)

ここでもう一度気合いで展開すると

A3+B3+C3+3ABCA2B+AB2+B2C+BC2+C2A+CA2A^3+B^3+C^3+3ABC\geq A^2B+AB^2+B^2C+BC^2+C^2A+CA^2 となりこれはSchurの不等式なので成立。

注1:ヘロンの公式の証明をなんとなく覚えていれば展開した時に a2,b2,c2a^2,b^2,c^2 しか出てこないことが分かるので安心して(この方針で解けるのかなあという不安なしで)展開できます。複雑な式の展開に関しては対称式を素早く正確に展開する3つのコツを参考にしてください。

2:重心と外心の距離が非負であることを用いる

方針:重心 GG と外心 OO の距離を頑張って求めるとご所望の式が登場します。その際三角形 AOMAOM と辺 AMAM の内分点 GG に注目することで機械的に計算できます。→スチュワートの定理の証明とその仲間

証明

外心と重心の距離

BCBC の中点を MM とおくと,

定義より,AO=RAO=R

三平方の定理より,MO2=R2a24MO^2=R^2-\dfrac{a^2}{4} 中線定理より,AM2=2b2+2c2a24AM^2=\dfrac{2b^2+2c^2-a^2}{4}

よってスチュワートの定理または余弦定理を用いて OGOG を求めることができる:(計算の詳細は省略)

OG2=R2a2+b2+c29OG^2=R^2-\dfrac{a^2+b^2+c^2}{9}

よってライプニッツの不等式が成立する。

3:角度の情報に変換してイェンゼンの不等式を用いる

読者の方に提供していただいた方法です,感謝!

方針:外接円の半径と辺の長さに注目すると正弦定理が思いつきます。角度の情報に変換して三角関数に対するイェンゼンの不等式を用いるのも幾何不等式では定番の手法です。

証明

正弦定理より示すべき不等式は以下と同値:

sin2A+sin2B+sin2C94\sin^2A+\sin^2B+\sin^2C\leq \dfrac{9}{4}

さらに,倍角の公式: sin2A=1cos2A2\sin^2 A=\dfrac{1-\cos 2A}{2} などより,以下と同値:

cos2A+cos2B+cos2C32\cos 2A+\cos 2B+\cos 2C\geq -\dfrac{3}{2}

これはKlamkinの不等式を知っていれば一発。

知らない場合はもう少し頑張る。三角形の内角における和積公式cos\cos 積和より,この式は以下と同値:

14cosAcosBcosC32-1-4\cos A\cos B\cos C\geq -\dfrac{3}{2}

整理する:

cosAcosBcosC18\cos A\cos B\cos C\leq \dfrac{1}{8}

鈍角三角形または直角三角形のときは左辺は 00 以下になるので,OK.

また,鋭角三角形のときは,相加相乗平均の不等式と(cos\cos00 から π2\dfrac{\pi}{2} の間で上に凸なので)イェンゼンの不等式を使えば証明できる:

cosAcosBcosC(cosA+cosB+cosC3)3(cos(A+B+C3))3=18\cos A\cos B\cos C\leq (\dfrac{\cos A+\cos B+\cos C}{3})^3\\\leq (\cos(\dfrac{A+B+C}{3}))^3=\dfrac{1}{8}

外心と内心の距離からオイラーの不等式。外心と重心の距離からライプニッツの不等式が導かれます。

Tag:幾何不等式の解法パターンまとめ

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