平方完成と加法定理を使うことで比較的簡単に証明できます。
証明
全て左辺に移項して
x
について平方完成すると,
{x+(−1)n(ycosnC+zcosnB)}2+y2sin2nC+z2sin2nB+2(−1)nyzcosnA−2yzcosnCcosnB≥0
となる。あとは二行目と三行目の和が非負であることを示せばよい。
-
n が奇数のとき,
cosnA=−cos(nB+nC)=−cosnBcosnC+sinnBsinnC
となる。
-
n が偶数のとき,
cosnA=cos(nB+nC)=cosnBcosnC−sinnBsinnC
に注意すると,上式の下二行はいずれの場合も
(ysinnC−zsinnB)2
となるのでOK。
等号成立条件は,
ysinnC=zsinnB かつ x+(−1)n(ycosnC+zcosnB)=0
ここで,sinnB=0 のときは二つ目は以下と同値である。
xsinnB=(−1)n+1(ysinnBcosnC+zsinnBcosnB)
これに一つめの条件と加法定理を使うと,
xsinnB=(−1)n+1ysin(nB+nC)=ysinnA
を得る。
なお,sinnA,sinnB,sinnC
のいずれかが
0
のときは等号成立条件が少し複雑になりますが,そのような特殊な場合の等号成立条件も考えたい場合は上記の赤い式まで戻ればよいです。
参考文献
M. S. Klamkin, Asymmetric Triangle Inequalities [1971]
既知の結果を含む,より一般的な定理を見つけるとわくわくします。
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