タンジェントの美しい関係式(tanA+tanB+tanC=tanAtanBtanC)
(i) のとき
(ii) のとき
(iii) のとき
タンジェントの美しい関係式について,証明と応用例を解説します。
証明
証明
(i)と(ii)は加法定理を使うだけで簡単に証明できます。
(i)
分母を払って整理すると目標の式になる。
(ii)
分母を払って整理すると目標の式になる。
なお,(i)については複素指数関数を使ったおもしろい証明もあります。
となり実数である。一方,
の虚部は,
よってカッコの中身は になる。 で割ると,
直角三角形でないもとで,面積公式と余弦定理により
同様の式を についても作って足すと(iii)を得る。
なお,直角三角形のときは,例えば が直角のとき, とみなすと(iii)が成立することは簡単にわかる。
応用例:ヘロンの公式の証明
応用例:ヘロンの公式の証明
図のように三角形 の内心を , から各辺へ下ろした垂線の足をそれぞれ とおく。
同じ点から引いた2本の接線の長さは等しいので,
この式を について解くと
(ただし, とおいた。また,この手法はよく用いられるので, も覚えておくとよい)
よって
同様に ,
ここで, より公式(ii)が使えて,
この式を変形していくと,
ここで,三角形の面積と内接円の半径の関係式を用いて,
となりヘロンの公式を得る。
応用例:オノの不等式
応用例:オノの不等式
鋭角三角形 について,
ヘロンの公式を使って頑張って計算して証明もできそうですが,左辺を見ると余弦定理が使えそうですね。
左辺を余弦定理で変形すると,
となる。これと似たような形になるように意識しながら,右辺をサインの面積公式で変形すると,
よって,目標の不等式は
ここで,(i)を使うと,目標の不等式は
となる。
一方, において は下に凸なので,イェンゼンの不等式より,
となり成立。
対称性を崩さずに計算できると気持ちいい!
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