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コーシーの関数方程式の解法と応用

更新日時 2021/03/07

関数方程式とはコーシーの関数方程式について解説。

目次
  • 関数方程式とは

  • コーシーの関数方程式

  • コーシーの関数方程式の解法

  • コーシーの関数方程式の応用

  • 関数方程式の解き方のコツまとめ

関数方程式とは

数学オリンピックでは,未知関数の満たす性質が方程式で表され,その方程式を満たす関数を求める問題が多く出題されています。そのような問題を関数方程式と言います。

関数方程式の例:

f(x+y)=f(x)f(y)f(x+y)=f(x)f(y) を満たす連続関数 f(x)f(x) を求めよ。

答え: f(x)=Cx,(Cf(x)=C^x,\:(C は定数)

関数方程式の問題はほとんど大学入試では出題されないので,慣れないうちは非常に難しく感じます。しかし関数方程式は解法のパターンがいくつかあり,知っていると周りと差をつけることができます。このページでは, 関数方程式の最も基本的な例であるコーシーの関数方程式を扱います。

コーシーの関数方程式

コーシー(cauchy)の関数方程式:

f(x+y)=f(x)+f(y)f(x+y)=f(x)+f(y)

さて,この関数方程式を満たす関数を求めたいわけですが,この式が線形性を表しているということに気づけば線形関数 f(x)=axf(x)=ax が答えっぽいと予想できます。そして実際 f(x+y)=a(x+y)=ax+ay=f(x)+f(y)f(x+y)=a(x+y)=ax+ay=f(x)+f(y) と確認することができます。

しかし,関数方程式を満たす 全ての関数を求めなければいけないので,コーシーの関数方程式を満たす他の関数がないことを示さなければいけません。(十分条件だけじゃだめで必要条件も求めないといけない)

ちなみに,関数方程式の問題では,

1:関数方程式の解を予想する

2:実際に代入して予想が正しいことを示す

3:他に解がないことを保証する

という流れで解く場合も多いので,関数方程式の解を予想するというのは重要です。残念ながらコーシーの関数方程式は直線以外の解がないことを保証するのが難しいので別の方法で解くことになりますが, 関数方程式を見たら答えを予測する癖をつけておきましょう。

コーシーの関数方程式の解法

1:まずは xx が整数のときに f(x)f(x) の値がどうなるか調べる

関数方程式の多くの問題ではまず x,yx,y にうまく値を代入して整数の場合にどうなるか考えます。

x=y=0x=y=0 を代入して,f(0)=f(0)+f(0)f(0)=f(0)+f(0) よって,f(0)=0f(0)=0

y=xy=-x を代入して,0=f(0)=f(x)+f(x)0=f(0)=f(x)+f(-x) よって f(x)f(x) は奇関数。

次に,nn が自然数のとき,関数方程式を繰り返し使って,

f(n)=f(1)+f(n1)=f(1)+f(1)+f(n2)==nf(1)f(n)=f(1)+f(n-1)\\=f(1)+f(1)+f(n-2)=\cdots=nf(1)

奇関数であることに注意すると,負の整数に対しても同様に,

f(n)=f(n)=nf(1)f(-n)=-f(n)=-nf(1)

つまり,nn が任意の整数のときに以下が成立する:

f(n)=nf(1)f(n)=nf(1)

2:次に,xx が有理数のときを考える

整数→有理数の順に考えるのは関数方程式の問題の定石の1つです。

1と同様な考え方により,任意の実数 xx と自然数 mm に対して f(xm)=mf(x)f(xm)=mf(x) が分かります。これを利用します。

mm が自然数,nn が整数のとき,

f(n)=f(nm×m)=mf(nm)f(n)=f(\dfrac{n}{m}\times m)=mf(\dfrac{n}{m})

より,

f(nm)=f(n)m=nmf(1)f(\dfrac{n}{m})=\dfrac{f(n)}{m}=\dfrac{n}{m}f(1)

つまり,xx が任意の有理数のときに以下が成立する:

f(x)=xf(1)f(x)=xf(1)

3:仕上げ

連続関数の場合は有理数のみ考えればよい(有理数の稠密性)から, 連続関数に限定すればコーシーの関数方程式の解は f(x)=axf(x)=ax のみ。

ここでは連続関数に限定して考えましたが,多くの問題では関数の連続性は仮定されています(or導くことができます)。

コーシーの関数方程式の応用

以下の3つの関数方程式はどれもコーシーの関数方程式を応用して解くことができます。(連続性を仮定しています)

f(x+y)=f(x)f(y)f(x+y)=f(x)f(y)(値域は正)

g(x)=logf(x)g(x)=\log f(x) とおけば g(x+y)=g(x)+g(y)g(x+y)=g(x)+g(y) となるので,g(x)=axg(x)=ax

つまり,f(x)=eax=Cxf(x)=e^{ax}=C^x

CC は任意の正の実数)

ちなみにこの関数方程式は指数法則 Cx+y=CxCyC^{x+y}=C^xC^y を表しています。

f(xy)=f(x)+f(y)f(xy)=f(x)+f(y)(定義域は正)

g(x)=f(ax)g(x)=f(a^x) とおけば g(x+y)=f(ax+y)=f(ax)+f(ay)=g(x)+g(y)g(x+y)=f(a^{x+y})=f(a^x)+f(a^y)=g(x)+g(y) となるので,コーシーの関数方程式から g(x)=bxg(x)=bx

つまり,f(x)=g(logax)=blogax=Clogxf(x)=g(\log_a x)=b\log_a x=C\log x

CC は任意の実数)

ちなみにこの関数方程式は対数の和の公式 logxy=logx+logy\log xy=\log x+\log y を表しています。

f(xy)=f(x)f(y)f(xy)=f(x)f(y)(定義域は正,値域は正)

上記の2つを組み合わせます

g(x)=logf(ax)g(x)=\log f(a^x) とおけば,

g(x+y)=logf(ax+y)=logf(ax)f(ay)=logf(ax)+logf(ay)=g(x)+g(y)g(x+y)=\log f(a^{x+y})=\log f(a^x)f(a^y)\\=\log f(a^x)+\log f(a^y)=g(x)+g(y)

となるので,コーシーの関数方程式から g(x)=bxg(x)=bx

つまり,f(x)=eblogax=xlogaeb=xCf(x)=e^{b{\log_a x}}=x^{\log_a{e^b}}=x^C

CC は任意の実数)

ここで,最後の対数の計算には対数の有名な公式を使いました。

ちなみにこの関数方程式は指数法則 (xy)C=xCyC(xy)^C=x^Cy^C を表しています。

いずれも基本的な形なのでコーシーに帰着させることができると覚えておくとよいでしょう。

関数方程式の解き方のコツまとめ

とりあえずこのページで扱ったコツ

  • 解を予想して代入して確かめる(十分性)のも重要。
  • 連続性は仮定されているか導くことができる場合が多い。
  • まずは適当に代入して f(0)f(0) を求める。
  • 整数→有理数の流れで考える。

関数方程式は勉強したもんがち

Tag:いろいろな方程式の解き方まとめ

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