sin18°、cos18°、tan18°【覚えておくと便利な三角比】

1818^{\circ} の三角比は,値そのもの(または導出方法)を覚えておくとよいです。

1818^{\circ} の三角比は sin18=514cos18=10+254tan18=15+25\begin{aligned} \sin 18^{\circ} &= \dfrac{\sqrt{5}-1}{4}\\ \cos 18^{\circ} &= \dfrac{\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{4}\\ \tan 18^{\circ} &= \dfrac{1}{\sqrt{5+2\sqrt{5}}} \end{aligned} である。

15度の三角比はこちらからどうぞ
sin15°、cos15°、tan15°【覚えておくと便利な三角比】

sin18°\sin 18°

1818^{\circ} の三角比については,値そのものよりも,導き方を覚えるのがおすすめです。1818^{\circ} の倍数の三角比の値は簡単に求められると覚えましょう。

まず,sin18\sin 18^{\circ} の値を3通りの方法で計算します。

2倍角と3倍角の公式を活用する方法

導出1. 三角関数の公式を用いる

18=θ18^{\circ}=\theta とおく。

sin54=cos36\sin54^{\circ}=\cos36^{\circ} より,sin3θ=cos2θ\sin3\theta=\cos2\theta

両辺を三倍角の公式,倍角の公式を用いて sinθ\sin\theta に統一すると,

4sin3θ+3sinθ=12sin2θ -4\sin^3\theta+3\sin\theta=1-2\sin^2\theta

この三次方程式を解くと,sinθ=1,1±54\sin\theta=1,\dfrac{-1\pm \sqrt{5}}{4}

0<sinθ<10 < \sin\theta < 1 より,sin18=514\sin18^{\circ}=\dfrac{\sqrt{5}-1}{4}

図形的性質を用いる方法

導出2. 三角形の相似を利用する

18sin

図のように,頂角が 3636^{\circ} である二等辺三角形 ABC\mathrm{ABC} を考える。 AB=AC=x\mathrm{AB}=\mathrm{AC}=xBC=1\mathrm{BC}=1 とする。

ABC\angle \mathrm{ABC} の二等分線と辺 AC\mathrm{AC} との交点を D\mathrm{D} とおくと,AD=BD\mathrm{AD}=\mathrm{BD} より,CD=x1\mathrm{CD}=x-1

また,BCD=BDC=72\angle \mathrm{BCD}= \angle \mathrm{BDC} = 72^{\circ} となり,三角形 ABC\mathrm{ABC} と三角形 BCD\mathrm{BCD} が相似であることが分かる。

よって,AB:BC=BC:CD\mathrm{AB}:\mathrm{BC}=\mathrm{BC}:\mathrm{CD} なので

x:1=1:x1x:1=1:x-1

x>0x>0 の解を求めて,x=1+52x=\dfrac{1+\sqrt{5}}{2}

よって,sin18=12BCAB=11+5=514\sin18^{\circ}=\dfrac{\frac{1}{2} \mathrm{BC}}{\mathrm{AB}}=\dfrac{1}{1+\sqrt{5}}=\dfrac{\sqrt{5}-1}{4}

実は,上記の三角形 ABC\mathrm{ABC} は正五角形の3つの頂点となっています。xx は1辺の長さが1の正五角形の対角線の長さを表しており,有名な黄金比が登場します。相似ではなく トレミーの定理を使って求めることもできます。

代数的な方法

11 の5乗根の1つは cos72+isin72 \cos 72^{\circ} + i \sin 72^{\circ} となります。

これを計算することで cos72=514\cos 72^{\circ}=\dfrac{\sqrt{5}-1}{4} がわかります。

詳しい計算は 1のn乗根の性質と複素数平面 の記事末にも書いてあります。

導出3. 複素数平面を使う

z5=1z^5=1 を解けばよい。移行して因数分解すると, (z1)(z4+z3+z2+z+1)=0(z-1)(z^4+z^3+z^2+z+1)=0 第二因数について,相反方程式なので z2z^2 で割って変形すると, z2+1z2+z+1z+1=0z^2+\dfrac{1}{z^2}+z+\dfrac{1}{z}+1=0 z+1z=tz+\dfrac{1}{z}=t とおくと, t22+t+1=0t^2-2+t+1=0 つまり,t=1±52t=\dfrac{-1\pm\sqrt{5}}{2}

一方,z+1z=tz+\dfrac{1}{z}=tzz について解くと z2tz+1=0z^2-tz+1=0 から z=t±t242z=\dfrac{t\pm\sqrt{t^2-4}}{2}

以上より,z=1±52±625442z=\dfrac{\frac{-1\pm\sqrt{5}}{2}\pm\sqrt{\frac{6\mp2\sqrt{5}}{4}-4}}{2} z=1±54±10±254iz=\dfrac{-1\pm\sqrt{5}}{4}\pm\dfrac{\sqrt{10\pm 2\sqrt{5}}}{4}i ただし,±\pm が3つあるが,1つめと3つめは同じ符号を選ぶ。4つの解を得られる。結局, sin18=cos72=1+54\sin 18^{\circ}=\cos 72^{\circ}=\dfrac{-1+\sqrt{5}}{4} がわかる。

cos18°\cos 18°

sin\sin がわかれば cos\cos もわかります。sin\sin と同じような方法でも計算できますが, sin218+cos218=1 \sin^2 18^{\circ} + \cos^2 18^{\circ} = 1 から計算することもできます。計算結果は,

cos18=10+254 \cos 18^{\circ} = \dfrac{\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{4} と2重根号が出てきます。

tan18°\tan 18°

これまでの結果を用いれば tan18=sin18cos18=1+54410+25=1+5(5+25)(625)=1+55+25(51)=15+25\begin{aligned} \tan 18^{\circ} &= \dfrac{\sin 18^{\circ}}{\cos 18^{\circ}}\\ &= \dfrac{-1+\sqrt{5}}{4} \cdot \dfrac{4}{\sqrt{10+2\sqrt{5}}} \\ &= \dfrac{-1+\sqrt{5}}{\sqrt{(5+2\sqrt{5})(6-2\sqrt{5})}}\\ &= \dfrac{-1+\sqrt{5}}{\sqrt{5+2\sqrt{5}} (\sqrt{5}-1)}\\ &= \dfrac{1}{\sqrt{5+2\sqrt{5}}} \end{aligned} と分かります。

sin18\sin 18^{\circ} の導出2と同様な方法を使うともっと簡単に計算できます。

導出

さきほどの導出2において,BC\mathrm{BC} の中点を H\mathrm{H} とすると tan18=BHAH \tan 18^{\circ} = \dfrac{\mathrm{BH}}{\mathrm{AH}} である。

BH=12\mathrm{BH} = \dfrac{1}{2} で, AH=AB2BH2=x214=6+25414=5+254=5+252\begin{aligned} \mathrm{AH} &= \sqrt{\mathrm{AB}^2 - \mathrm{BH}^2}\\ &= \sqrt{x^2 - \dfrac{1}{4}}\\ &= \sqrt{\dfrac{6+2\sqrt{5}}{4} - \dfrac{1}{4}}\\ &= \sqrt{\dfrac{5+2\sqrt{5}}{4}}\\ &= \dfrac{\sqrt{5+2\sqrt{5}}}{2} \end{aligned} となるため tan18=15+25 \tan 18^{\circ} = \dfrac{1}{\sqrt{5+2\sqrt{5}}} と計算される。

7272^{\circ} の三角比

1818^{\circ} の三角比より sin72=10+254cos72=514tan72=5+25\begin{aligned} \sin 72^{\circ} &= \dfrac{\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{4}\\ \cos 72^{\circ} &= \dfrac{\sqrt{5}-1}{4}\\ \tan 72^{\circ} &= \sqrt{5+2\sqrt{5}} \end{aligned} となります。

7272^{\circ} のほうが tan\tan の値が簡単ですね。

最短で得点力を上げる典型問題集【PDF】 のT57では,sin18\sin 18^{\circ} を求める計算においてミスを減らすコツも紹介しています。