18∘
の三角比については,値そのものよりも,導き方を覚えるのがおすすめです。18∘ の倍数の三角比の値は簡単に求められると覚えましょう。
まず,sin18∘ の値を3通りの方法で計算します。
2倍角と3倍角の公式を活用する方法
導出1. 三角関数の公式を用いる
18∘=θ
とおく。
sin54∘=cos36∘
より,sin3θ=cos2θ
両辺を三倍角の公式,倍角の公式を用いて
sinθ
に統一すると,
−4sin3θ+3sinθ=1−2sin2θ
この三次方程式を解くと,sinθ=1,4−1±5
0<sinθ<1
より,sin18∘=45−1
図形的性質を用いる方法
導出2. 三角形の相似を利用する
図のように,頂角が
36∘
である二等辺三角形
ABC
を考える。
AB=AC=x,BC=1
とする。
∠ABC
の二等分線と辺
AC
との交点を
D
とおくと,AD=BD
より,CD=x−1
また,∠BCD=∠BDC=72∘
となり,三角形
ABC
と三角形
BCD
が相似であることが分かる。
よって,AB:BC=BC:CD
なので
x:1=1:x−1
x>0
の解を求めて,x=21+5
よって,sin18∘=AB21BC=1+51=45−1
実は,上記の三角形
ABC
は正五角形の3つの頂点となっています。x
は1辺の長さが1の正五角形の対角線の長さを表しており,有名な黄金比が登場します。相似ではなく トレミーの定理を使って求めることもできます。
代数的な方法
1 の5乗根の1つは
cos72∘+isin72∘
となります。
これを計算することで cos72∘=45−1 がわかります。
詳しい計算は 1のn乗根の性質と複素数平面 の記事末にも書いてあります。
導出3. 複素数平面を使う
z5=1 を解けばよい。移行して因数分解すると,
(z−1)(z4+z3+z2+z+1)=0
第二因数について,相反方程式なので z2 で割って変形すると,
z2+z21+z+z1+1=0
z+z1=t とおくと,
t2−2+t+1=0
つまり,t=2−1±5
一方,z+z1=t を z について解くと
z2−tz+1=0
から z=2t±t2−4
以上より,z=22−1±5±46∓25−4
z=4−1±5±410±25i
ただし,± が3つあるが,1つめと3つめは同じ符号を選ぶ。4つの解を得られる。結局,
sin18∘=cos72∘=4−1+5
がわかる。