1. 高校数学の美しい物語
  2. 倍角の公式とその証明

倍角の公式とその証明

更新日時 2021/03/07
倍角の公式
  • sin2θ=2sinθcosθ\sin 2\theta=2\sin\theta\cos\theta

  • cos2θ=cos2θsin2θ=2cos2θ1=12sin2θ\cos 2\theta=\cos^2\theta-\sin^2\theta\\ =2\cos^2\theta-1\\ =1-2\sin^2\theta

  • tan2θ=2tanθ1tan2θ\tan 2\theta=\dfrac{2\tan\theta}{1-\tan^2\theta}

倍角の公式(2倍角の公式)の意味,証明,および図形的な考察について紹介します。

目次
  • 倍角の公式とは

  • 倍角の公式の証明

  • 倍角の公式の応用例

  • cosの倍角公式は3つある

  • 図形を用いた倍角の公式の導出

倍角の公式とは

倍角の公式とは,

sin2θ=2sinθcosθ\sin 2\theta=2\sin\theta\cos\theta

のように, 2θ2\theta の三角関数を θ\theta の三角関数で表す公式です。

例えば,

sin60=2sin30cos30\sin 60^{\circ}=2\sin 30^{\circ}\cos 30^{\circ}

などが成立するというのは面白いです。

倍角の公式の証明

倍角の公式は加法定理から導出できます。慣れれば本当に一瞬です。

sinの倍角公式の証明

sinの加法定理:

sin(α+β)=sinαcosβ+cosαsinβ\sin(\alpha+\beta)=\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta

において α=β=θ\alpha=\beta=\theta とおくと,

sin2θ=sinθcosθ+cosθsinθ=2sinθcosθ\sin 2\theta\\=\sin\theta\cos\theta+\cos\theta\sin\theta\\=2\sin\theta\cos\theta

つまり,sinの倍角の公式 sin2θ=2sinθcosθ\sin 2\theta=2\sin\theta\cos\theta を得る。

cosの倍角公式の証明

cosの加法定理: cos(α+β)=cosαcosβsinαsinβ\cos(\alpha+\beta)=\cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta

において α=β=θ\alpha=\beta=\theta とおくと,

cos2θ=cosθcosθsinθsinθ=cos2θsin2θ\cos 2\theta\\ =\cos\theta\cos\theta-\sin\theta\sin\theta\\ =\cos^2\theta-\sin^2\theta

つまり,cosの倍角の公式 cos2θ=cos2θsin2θ\cos 2\theta=\cos^2\theta-\sin^2\theta を得る。

さらにこの式において,sin2θ+cos2θ=1\sin^2\theta+\cos^2\theta=1 を使って sin2θ\sin^2\theta を消すと二つ目の式:

cos2θ=2cos2θ1\cos 2\theta=2\cos^2\theta-1

が得られ,同様に cos2θ\cos^2\theta を消すと三つ目の式:

cos2θ=12sin2θ\cos 2\theta=1-2\sin^2\theta

を得る。

tanの倍角公式の証明

tanの加法定理: tan(α+β)=tanα+tanβ1tanαtanβ\tan(\alpha+\beta)=\dfrac{\tan\alpha+\tan\beta}{1-\tan\alpha\tan\beta}

において α=β=θ\alpha=\beta=\theta とおくと,

tan2θ=tanθ+tanθ1tanθtanθ=2tanθ1tan2θ\tan 2\theta=\dfrac{\tan\theta+\tan\theta}{1-\tan\theta\tan\theta}=\dfrac{2\tan\theta}{1-\tan^2\theta}

つまり,tanの倍角の公式 tan2θ=2tanθ1tan2θ\tan 2\theta=\dfrac{2\tan\theta}{1-\tan^2\theta} を得る。

このように,倍角の公式は加法定理から一瞬で導出できるので覚えなくても構いません。ただし,頻繁に使う公式ですので,覚えない場合でも素早く導出できるようになっておきましょう。

倍角の公式の応用例

倍角の公式の応用はたくさんあります。応用例の1つとして三角方程式を紹介します。

例題

sin2θ=sinθ\sin 2\theta=\sin\theta を満たす θ\theta0θ<π0\leq\theta<\pi の範囲で求めよ。

2θ2\thetaθ\theta の三角関数が混在した三角方程式を解きたい場合,倍角の公式を使って θ\theta の三角関数に統一することが有効です。

この場合,sin\sin の倍角公式を使うと,方程式は 2sinθcosθ=sinθ2\sin\theta\cos\theta=\sin\theta となります。よって,sinθ=0\sin\theta=0 または cosθ=12\cos\theta=\dfrac{1}{2} となればよく θ=0,π3\theta=0,\dfrac{\pi}{3} が答えです。

他にも,複雑な三角関数の積分を行う際に,倍角の公式を使って変形することがあります。

cosの倍角公式は3つある

cos\cos の倍角公式は三つあります:

  • cos2θ=cos2θsin2θ\cos 2\theta=\cos^2\theta-\sin^2\theta
  • cos2θ=2cos2θ1\cos 2\theta=2\cos^2\theta-1
  • cos2θ=12sin2θ\cos 2\theta=1-2\sin^2\theta

3つとも全て重要です。 cosθ\cos\theta に統一したいときは二つ目の式を使い,sinθ\sin\theta に統一したいときは三つ目の式を使います。

図形を用いた倍角の公式の導出

あまり美しくありませんが,図形的な考察によってコサインの倍角公式(cos2θ=2cos2θ1\cos 2\theta=2\cos^2\theta-1)を 0<θ<π40 < \theta < \dfrac{\pi}{4} の場合について証明します。

証明

倍角公式の証明

図において cos2θ=ca\cos 2\theta=\dfrac{c}{a}cosθ=cb\cos \theta=\dfrac{c}{b} より証明すべき式は ca=2c2b21\dfrac{c}{a}=\dfrac{2c^2}{b^2}-1

つまり b2c=2ac2ab2b^2c=2ac^2-ab^2

ここで,三角形 AEDAEDABDABD は合同なので,ED=BD=b2c2ED=BD=\sqrt{b^2-c^2}

これと,三角形 CEDCEDCBACBA は相似なので,ac:b2c2=a2c2:ca-c:\sqrt{b^2-c^2}=\sqrt{a^2-c^2}:c

よって,(ac)c=a2c2b2c2(a-c)c=\sqrt{a^2-c^2}\sqrt{b^2-c^2}

両辺二乗して整理していく:

(ac)2c2=(a2c2)(b2c2)(a-c)^2c^2=(a^2-c^2)(b^2-c^2)

(ac)c2=(a+c)(b2c2)(a-c)c^2=(a+c)(b^2-c^2)

ac2=ab2ac2+b2cac^2=ab^2-ac^2+b^2c

b2c=2ac2ab2b^2c=2ac^2-ab^2

となり目標の式を得る。

なお,sinの倍角公式(0<θ<π20 < \theta < \dfrac{\pi}{2} )は頂角が 2θ2\theta の二等辺三角形の面積を二通りの方法で表すことで導出できます!(読者の方に教えてもらいました)

倍角の公式を変な語呂で覚える必要はありません。

Tag:数学2の教科書に載っている公式の解説一覧

  1. 高校数学の美しい物語
  2. 倍角の公式とその証明