ワイブル分布
確率密度関数が である確率分布をワイブル分布と言う。
- は分布の形を決めるパラメータです。ワイブル係数と言います。
- は指数関数 のことです。
意味
意味
概要
ワイブル分布は「製品などが故障する確率(寿命)」を表す分布として使われることが多いです。例えば, の場合のワイブル分布は図のようになります。
時刻 付近で故障しやすい状況(寿命が くらいになる確率が高い状況)です。
バスタブ曲線
多くの製品の故障は
- 初期故障(時間とともに故障率が減る)
- 偶発故障(時間がたっても故障率は変わらない)
- 摩耗故障(時間とともに故障率が増える)
の3つに分割できます。故障率の時間変化をグラフで書いてみると,バスタブっぽいのでバスタブ曲線と言います。 実は,上記1~3はそれぞれ別のワイブル分布で表現できる場合が多いです。なぜなら,
- 「故障率が時間のべき関数 で表せるような製品がいつ故障するのか」はワイブル係数が であるワイブル分布で表現できます(詳細は後述)。
- 1~3はそれぞれ「故障率が時間のべき関数で表せる」で近似できる場合が多いです。例えば,1は など,2は定数 ,3は2次関数 などで近似できそうです。
グラフ
グラフ
ワイブル係数 を変化させると分布の形状が変わります。 特に,
-
のとき指数分布になります。確率密度関数は です。→指数分布の意味と具体例
-
のときレイリー分布になります。確率密度関数は です。→レイリー分布の期待値、分散、正規分布との関係
-
のとき図のような赤い分布になります。
一般形
一般形
-
ワイブル分布の基本形は, でした。パラメータは です。
-
基本形に対して, 軸方向に 倍に拡大した もワイブル分布です。パラメータは の2つです。
-
さらに, 軸正の向きに だけ平行移動した もワイブル分布です。パラメータは の3つです。
を形状パラメータ(ワイブル係数), を尺度パラメータ(特性寿命), を位置パラメータと言います。
いろいろな量
いろいろな量
よく使われるパラメータが2つのワイブル分布 を考えます。
累積分布関数
累積分布関数は,以下の式で求められます。 は時刻 までに故障する確率を表します。不信頼度と言うこともあります。
信頼度(故障しない確率)
から累積分布関数を引いた値: は時刻 までに故障しない確率を表します。信頼度と言うことがあります。
故障率
は時刻 での故障率を表します。つまり「時刻 までに故障しないもとで, から の間に故障するという条件付き確率」が になります。
つまり,ワイブル分布は故障率が のべき関数であるような分布と言えます。 の前後で振る舞いが以下のように変わります:
- の場合は故障率が一定
- の場合は故障率が時間とともに小さくなる
- の場合は故障率が時間とともに大きくなる
期待値
期待値は,以下の式で求められます。 故障するまでにかかる時間の平均(平均故障時間,Mean Time To Failure)を表します。 はガンマ関数です。→ガンマ関数(階乗の一般化)の定義と性質
ワイブル分布は極値統計でも出てくる分布です。