ワイブル分布

ワイブル分布(基本形)

確率密度関数が f(t)=mtm1exp(tm)(t0)f(t)=mt^{m-1}\exp(-t^m)\:(t\geqq 0) である確率分布をワイブル分布と言う。

  • mm は分布の形を決めるパラメータです。ワイブル係数と言います。
  • exp(x)\exp(x) は指数関数 exe^x のことです。

意味

概要

ワイブル分布は「製品などが故障する確率(寿命)」を表す分布として使われることが多いです。例えば,m=2m=2 の場合のワイブル分布は図のようになります。 ワイブル分布の例

時刻 t=t0t=t_0 付近で故障しやすい状況(寿命が t=t0t=t_0 くらいになる確率が高い状況)です。

バスタブ曲線

多くの製品の故障は

  1. 初期故障(時間とともに故障率が減る)
  2. 偶発故障(時間がたっても故障率は変わらない)
  3. 摩耗故障(時間とともに故障率が増える)

の3つに分割できます。故障率の時間変化をグラフで書いてみると,バスタブっぽいのでバスタブ曲線と言います。 バスタブ曲線 実は,上記1~3はそれぞれ別のワイブル分布で表現できる場合が多いです。なぜなら,

  • 故障率が時間のべき関数 tm1t^{m-1} で表せるような製品がいつ故障するのか」はワイブル係数が mm であるワイブル分布で表現できます(詳細は後述)。
  • 1~3はそれぞれ「故障率が時間のべき関数で表せる」で近似できる場合が多いです。例えば,1は y=1ty=\dfrac{1}{\sqrt{t}} など,2は定数 y=cy=c,3は2次関数 y=t2y=t^2 などで近似できそうです。

グラフ

ワイブル係数 mm を変化させると分布の形状が変わります。 ワイブル分布のグラフ 特に,

一般形

  • ワイブル分布の基本形は, f(t)=mtm1exp(tm)f(t)=mt^{m-1}\exp(-t^m) でした。パラメータは mm です。

  • 基本形に対して,tt 軸方向に τ\tau 倍に拡大した f(t)=mτ(tτ)m1exp{(tτ)m}f(t)=\dfrac{m}{\tau}\left(\dfrac{t}{\tau}\right)^{m-1}\exp\left\{-\left(\dfrac{t}{\tau}\right)^m\right\} もワイブル分布です。パラメータは m,τm,\tau の2つです。

  • さらに,tt 軸正の向きに t0t_0 だけ平行移動した f(t)=mτ(tt0τ)m1exp{(tt0τ)m}f(t)=\dfrac{m}{\tau}\left(\dfrac{t-t_0}{\tau}\right)^{m-1}\exp\left\{-\left(\dfrac{t-t_0}{\tau}\right)^m\right\} もワイブル分布です。パラメータは m,τ,t0m,\tau,t_0 の3つです。

mm を形状パラメータ(ワイブル係数),τ\tau を尺度パラメータ(特性寿命),t0t_0 を位置パラメータと言います。

いろいろな量

よく使われるパラメータが2つのワイブル分布 f(t)=mτ(tτ)m1exp{(tτ)m}f(t)=\dfrac{m}{\tau}\left(\dfrac{t}{\tau}\right)^{m-1}\exp\left\{-\left(\dfrac{t}{\tau}\right)^m\right\} を考えます。

累積分布関数

累積分布関数は,以下の式で求められます。 F(t)=0tf(t)dt=1exp{(tτ)m}F(t)=\displaystyle\int_0^tf(t)dt=1-\exp\left\{-\left(\dfrac{t}{\tau}\right)^m\right\} F(t)F(t) は時刻 tt までに故障する確率を表します。不信頼度と言うこともあります。

信頼度(故障しない確率)

11 から累積分布関数を引いた値: R(t)=1F(t)=exp{(tτ)m}R(t)=1-F(t)=\exp\left\{-\left(\dfrac{t}{\tau}\right)^m\right\}時刻 tt までに故障しない確率を表します。信頼度と言うことがあります。

故障率

f(t)R(t)=mτ(tτ)m1\dfrac{f(t)}{R(t)}=\dfrac{m}{\tau}\left(\dfrac{t}{\tau}\right)^{m-1} は時刻 tt での故障率を表します。つまり「時刻 tt までに故障しないもとで,tt から t+Δtt+\Delta t の間に故障するという条件付き確率」が f(t)R(t)Δt\dfrac{f(t)}{R(t)}\Delta t になります。

つまり,ワイブル分布は故障率が tt のべき関数であるような分布と言えます。m=1m=1 の前後で振る舞いが以下のように変わります:

  • m=1m=1 の場合は故障率が一定
  • m<1m<1 の場合は故障率が時間とともに小さくなる
  • m>1m>1 の場合は故障率が時間とともに大きくなる

期待値

期待値は,以下の式で求められます。 E=0f(t)dt=τΓ(1+1m)E=\displaystyle\int_0^{\infty}f(t)dt=\tau\Gamma\left(1+\dfrac{1}{m}\right) 故障するまでにかかる時間の平均(平均故障時間,Mean Time To Failure)を表します。Γ\Gamma はガンマ関数です。→ガンマ関数(階乗の一般化)の定義と性質

ワイブル分布は極値統計でも出てくる分布です。