レイリー分布の期待値、分散、正規分布との関係

確率密度関数が f(r)=rσ2er22σ2f(r)=\dfrac{r}{\sigma^2}e^{-\frac{r^2}{2\sigma^2}}r0r\geq 0)であるような連続型確率分布をレイリー分布と言う。

σ\sigma は正のパラメータです。

レイリー分布の期待値

レイリー分布の期待値は σπ2\sigma\sqrt{\dfrac{\pi}{2}}

ガウス積分の公式の2通りの証明で導いたように,

0eax2dx=12πa\displaystyle\int_0^{\infty}e^{-ax^2}dx=\dfrac{1}{2}\sqrt{\dfrac{\pi}{a}} が成立します。これを使います。

証明

部分積分を使うと,期待値は,

1σ20rrer22σ2dr=1σ2[r(σ2)er22σ2]0+1σ20σ2er22σ2dr=0+12π2σ2=σπ2\dfrac{1}{\sigma^2}\displaystyle\int_0^{\infty}r\cdot re^{-\frac{r^2}{2\sigma^2}}dr\\ =\dfrac{1}{\sigma^2}\left[r\cdot(-\sigma^2)e^{-\frac{r^2}{2\sigma^2}}\right]_0^{\infty}+\dfrac{1}{\sigma^2}\displaystyle\int_0^{\infty}\sigma^2e^{-\frac{r^2}{2\sigma^2}}dr\\ =0+\dfrac{1}{2}\sqrt{\pi\cdot 2\sigma^2}\\ =\sigma\sqrt{\dfrac{\pi}{2}}

レイリー分布の分散

レイリー分布の分散は (2π2)σ20.4σ2\left(2-\dfrac{\pi}{2}\right)\sigma^2 \fallingdotseq 0.4\sigma^2

証明

期待値の導出とほぼ同じ。部分積分を使うと,

E[R2]=1σ20r2rer22σ2dr=0+02rer22σ2dr=[2σ2er22σ2]0=2σ2E[R^2]=\dfrac{1}{\sigma^2}\displaystyle\int_0^{\infty}r^2\cdot re^{-\frac{r^2}{2\sigma^2}}dr\\ =0+\displaystyle\int_0^{\infty} 2r\cdot e^{-\frac{r^2}{2\sigma^2}}dr\\ =\left[-2\sigma^2e^{-\frac{r^2}{2\sigma^2}}\right]_0^{\infty}\\ =2\sigma^2

よって,分散は

E[R2]E[R]2=2σ2π2σ2E[R^2]-E[R]^2=2\sigma^2-\dfrac{\pi}{2}\sigma^2

正規分布との関係

XXYY が独立に平均 00,分散 σ2\sigma^2 の正規分布に従うとき,X2+Y2\sqrt{X^2+Y^2} はパラメータ σ\sigma のレイリー分布に従う。

平均 00 の正規分布に従う乱数 XXYY を発生させて (X,Y)(X,Y) を座標平面にプロットすると,原点からの距離はレイリー分布に従うというわけです。

極座標変換を使います。→ヤコビ行列,ヤコビアンの定義と極座標の例

導出

X=xX=xY=yY=y となる確率は,正規分布の密度関数をかけ合わせたような形になる:

P(X=x,Y=y)=12πσ2exp(x2+y22σ2)P(X=x,Y=y)=\dfrac{1}{2\pi\sigma^2}\exp\left(-\dfrac{x^2+y^2}{2\sigma^2}\right)

ここで,(X,Y)(X,Y) から極座標 (R,Θ)(R,\Theta) に変数変換する。ヤコビアンは rr なので,

P(R=r,Θ=θ)=r2πσ2exp(r22σ2)P(R=r,\Theta=\theta)=\dfrac{r}{2\pi\sigma^2}\exp\left(-\dfrac{r^2}{2\sigma^2}\right)

これは θ\theta によらないので θ\theta で積分すると 2π2\pi がかかるだけ:

P(R=r)=rσ2exp(r22σ2)P(R=r)=\dfrac{r}{\sigma^2}\exp\left(-\dfrac{r^2}{2\sigma^2}\right)

レイリー分布の確率密度関数となりました。

ちなみに中央値は σlog4\sigma\sqrt{\log 4} になります。

Tag:いろいろな確率分布の平均,分散,特性関数などまとめ