アルキメデスの螺旋

アルキメデスの螺旋(らせん)

極方程式 r=aθr=a\theta で表される曲線をアルキメデスの螺旋と呼ぶ。

螺旋は「らせん」と読みます。

アルキメデスの螺旋(アルキメデスの渦巻線)についての知識を整理しました。

グラフ

以下,a>0,θ0a>0,\theta\geqq 0 の範囲で考えます。 アルキメデスの螺旋 アルキメデスの螺旋のグラフは図のようになります。一回転するごとに rr2πa2\pi a 増えます。つまり「赤い点の間隔が一定の螺旋」になります。

関連する螺旋

「赤い点の間隔の比率が一定の螺旋」r=aebθr=ae^{b\theta} は対数螺旋と呼ばれます。→対数螺旋(等角螺旋)の長さと面積

対数螺旋

代表的な螺旋として2つセットで覚えておくとよいです。

長さ

アルキメデスの螺旋 r=aθr=a\theta において θ1\theta_1 から θ2\theta_2 までの長さは

L=a{F(θ2)F(θ1)}L=a\{F(\theta_2)-F(\theta_1)\}

ただし

F(θ)=12{θθ2+1+log(θ+θ2+1)}F(\theta)=\dfrac{1}{2}\{\theta\sqrt{\theta^2+1}+\log(\theta+\sqrt{\theta^2+1})\}

導出

曲線の長さを計算する積分公式(弧長積分)の極座標版の公式より,

L=θ1θ2(r2+drdθ)2dθ=aθ1θ2θ2+1dθ=a{F(θ2)F(θ1)}L=\displaystyle\int_{\theta_1}^{\theta_2}\sqrt{\left(r^2+\dfrac{dr}{d\theta}\right)^2}d\theta\\ =a\displaystyle\int_{\theta_1}^{\theta_2}\sqrt{\theta^2+1}d\theta\\ =a\{F(\theta_2)-F(\theta_1)\}

ただし,F(θ)F(\theta)θ2+1\sqrt{\theta^2+1} の原始関数である。

具体的に計算するのは大変だが,ルートx^2+a^2の積分計算の2通りの方法より,

F(θ)=12{θθ2+1+log(θ+θ2+1)}F(\theta)=\dfrac{1}{2}\{\theta\sqrt{\theta^2+1}+\log(\theta+\sqrt{\theta^2+1})\}

なお,2002年度の京大で a=1,θ1=0,θ2=π2a=1,\theta_1=0,\theta_2=\dfrac{\pi}{2} の場合が出題されています。ただし積分計算がしんどいので少し誘導がついていました。

面積

アルキメデスの螺旋 r=aθr=a\theta において θ1\theta_1 から θ2\theta_2 まで動径が掃く面積は S=a2(θ23θ13)6S=\dfrac{a^2(\theta_2^3-\theta_1^3)}{6}

導出

極方程式の面積公式を使うと,

S=θ1θ212r2dθ=12θ1θ2a2θ2dθ=a2(θ23θ13)6S=\displaystyle\int_{\theta_1}^{\theta_2}\dfrac{1}{2}r^2d\theta\\ =\dfrac{1}{2}\displaystyle\int_{\theta_1}^{\theta_2}a^2\theta^2d\theta\\ =\dfrac{a^2(\theta_2^3-\theta_1^3)}{6}

媒介変数表示

x=aθcosθ,y=aθsinθx=a\theta\cos\theta,y=a\theta\sin\theta

は,アルキメデスの螺旋の媒介変数表示である。

導出

極座標表示と xyxy 座標表示の間の関係式: x=rcosθ,y=rsinθx=r\cos\theta,y=r\sin\theta より,x=aθcosθ,y=aθsinθx=a\theta\cos\theta,y=a\theta\sin\theta という媒介変数表示が得られる。

直交座標表示

tan(x2+y2a)=yx\tan\left(\dfrac{\sqrt{x^2+y^2}}{a}\right)=\dfrac{y}{x}

は,アルキメデスの螺旋の xyxy 直交座標表示である。

導出

x=rcosθ,y=rsinθx=r\cos\theta,y=r\sin\theta

より,x2+y2=r2x^2+y^2=r^2

r=x2+y2r=\sqrt{x^2+y^2}

また tanθ=yx\tan\theta=\dfrac{y}{x}

以上を tanra=tan(θ)\tan \dfrac{r}{a}=\tan (\theta) に代入すると

tan(x2+y2a)=yx\tan\left(\dfrac{\sqrt{x^2+y^2}}{a}\right)=\dfrac{y}{x}

対数螺旋をフリーハンドで描くのは難しいですがアルキメデスの螺旋なら描きやすいです。

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