媒介変数表示

更新日時 2021/05/28

媒介変数表示とは,「関連する変数同士の関係を他の変数を用いて表すこと」です。

変数同士を繋ぎ,関係を作っている変数を,媒介変数またはパラメータと呼びます。媒介変数としては θ,t\theta,t などがよく使われます。

媒介変数表示をパラメータ表示と呼ぶこともあります。

媒介変数表示の例

{x=pt2y=2pt \begin{cases} x=pt^{2} \\y=2pt \end{cases}

この例では,直接 xxyy の関係を表すのでなく,tt を用いて間接的に関係を表しています。

高校では,媒介変数表示は数学Bのベクトルと数学Ⅲの平面上の曲線で学習します。

目次
  • 曲線の媒介変数表示

  • ベクトル方程式を用いた直線の媒介変数表示

  • 媒介変数表示の例

  • 媒介変数表示の計算のやり方

曲線の媒介変数表示

媒介変数表示は一般的に以下のように表されます。

{x=f(t)y=g(t)\begin{cases} x=f(t)\\ y=g(t) \end{cases}

ただし,f(t),g(t)f(t),g(t)tt の関数です。

パラメータ tt が決まれば x,yx,y の双方が決まって,xyxy 座標平面上の一点が定まります。tt を動かして得られる軌跡が,曲線となります。

曲線の中には媒介変数表示を使わないと,うまく式で表現できないような曲線もあります。

ベクトル方程式を用いた直線の媒介変数表示

媒介変数表示の簡単な例として,直線について考えてみます。

一般的に yy 軸に平行でない直線は y=axy=ax という方程式で表すことができます。これは中学数学から使われる慣れ親しんだ式でしょう。

一方,ベクトルを用いて直線を表す方法を,ベクトルの単元で学びます。

具体的には,定点 AA の位置ベクトルを aundefined\overrightarrow{a} とし,0undefined\overrightarrow{0} でないベクトルを dundefined\overrightarrow{d} とすると,dundefined\overrightarrow{d} に平行で定点 AA を通る任意の点 PP の位置ベクトル pundefined\overrightarrow{p} は,媒介変数 tt を用いて以下のように表すことができます。

pundefined=aundefined+tdundefined\overrightarrow{p}=\overrightarrow{a}+ t\overrightarrow{d}

これはベクトル方程式と呼ばれることがあります。

この方程式に対して, aundefined=(a1,a2),dundefined=(d1,d2),pundefined=(x,y)\overrightarrow{a}=(a_1,a_2),\overrightarrow{d}=(d_1,d_2),\overrightarrow{p}=(x,y) と成分表示すると,上記のベクトル方程式は以下の式になります。

{x=a1+td1y=a2+td2\begin{cases} x=a_1+td_1 \\y=a_2+td_2 \end{cases}

こうしてみると,ベクトル方程式が媒介変数表示であることがわかりやすいです。ベクトル方程式は媒介変数表示の一種というわけです。

媒介変数表示の例

以下では,tt は媒介変数です。

放物線

y=4px2{x=pt2y=2pty=4px^{2} \rightarrow \begin{cases} x=pt^{2} \\y=2pt \end{cases}

x2+y2=r2{x=rcosθy=rsinθ{x=r(1t2)1+t2y=2rt1+t2x^{2}+y^{2}=r^{2} \\\rightarrow \begin{cases} x=r\cos\theta \\y=r\sin\theta \end{cases} \\\rightarrow \begin{cases} x=\dfrac{r(1-t^{2})}{1+t^{2}} \\y=\dfrac{2rt}{1+t^{2}} \end{cases}

楕円

x2a2+y2b2=1{x=acosθy=bsinθ\dfrac{x^{2}}{a^{2}}+\dfrac{y^{2}}{b^{2}}=1 \rightarrow \begin{cases} x=a\cos\theta \\y=b\sin\theta \end{cases}

双曲線

x2a2y2b2=1{x=acosθy=btanθ\dfrac{x^{2}}{a^{2}}-\dfrac{y^{2}}{b^{2}}=1 \rightarrow \begin{cases} x=\dfrac{a}{\cos\theta} \\y=b\tan\theta \end{cases}

このような,高校数学で学習する有名な曲線も媒介変数を用いて表すことができます。

その他,数Ⅲで学習するサイクロイド・カージオイドなどの曲線は,以下を参考にしてください。

媒介変数表示された有名な曲線7つ

媒介変数表示の計算のやり方

媒介変数を消去して概形を把握する

媒介変数を消去することで,直接 xxyy の関係を捉えることができます。消去できる問題は消去して考えましょう。

{x=ty=t2\begin{cases} x=\sqrt{t} \\y=\sqrt{t-2} \end{cases}

はどのような曲線を表すか。

解答

{x=t(1)y=t2(2)\begin{cases} x=\sqrt{t}\quad \cdots(1) \\y=\sqrt{t-2}\quad \cdots(2) \end{cases}

(1),(2)(1),(2) の両辺を2乗すると x2=t,y2=t2x^{2}=t,y^{2}=t-2より

tt を消去して,x2y2=2x^2-y^2=2

また (1),(2)(1),(2) より x=t0,y=t20x=\sqrt{t}\geq0,y=\sqrt{t-2}\geq0

よって t2t\geq2 より x2,y0x\geq\sqrt{2},y\geq0

したがって,与式が表す曲線は,双曲線 x2y2=2(x2,y0)x^{2}-y^{2}=2 \:(x\geq\sqrt{2},y\geq0) となる。

媒介変数が消去できない場合のグラフの描き方

媒介変数を消去できない場合は,媒介変数表示のまま考えることもできます。

媒介変数を消去せずそのまま微分をして,グラフを描くまでの流れを紹介します。

θ\theta を媒介変数として以下のように媒介変数表示される曲線を CC とする: {x=θsinθy=1cosθ\begin{cases} x=\theta-\sin\theta \\y=1-\cos\theta \end{cases} ( 0θ2π0\leq\theta\leq2\pi )

曲線 CC の概形を描け。

この曲線には名前がついており,サイクロイドと呼ばれます(→サイクロイド曲線のグラフと面積・体積・長さ→サイクロイドについて覚えておくべきこと)。

dxdθ,dydθ\dfrac{dx}{d\theta},\dfrac{dy}{d\theta} の符号を調べる増減表を用いて,概形を描きます。

解答

x=θsinθx=\theta-\sin\theta より

dxdθ=1cosθ\dfrac{dx}{d\theta}=1-\cos\theta

y=1cosθy=1-\cos\theta より

dydθ=sinθ\dfrac{dy}{d\theta}=\sin\theta

これより,増減表は以下のようになる。

θ0π2πdxdθ0+++0x0π2πdydθ0+00y000 \begin{array}{c|ccccc} \theta & 0&\cdots & \pi & \cdots & 2\pi \\ \hline \dfrac{dx}{d\theta} & 0 & + & + & + & 0 \\ \hline x & 0 & \nearrow & \pi & \nearrow & 2\pi \\ \hline \dfrac{dy}{d\theta} & 0 & + & 0 & - & 0 \\ \hline y & 0 & \nearrow & 0 & \searrow & 0 \end{array} 増減表よりグラフの概形は,以下のようになる。 サイクロイドのグラフ

媒介変数表示と積分

媒介変数表示された曲線に関する積分では,xxyy ではなく媒介変数で積分する場合が多いです。

媒介変数表示と積分

S=abydx=αβydxdtdt=αβg(t)f(t)dt\begin{aligned} S&=\int_a^b ydx\\ &=\int_\alpha^\beta y\dfrac{dx}{dt}dt\\ &=\int_\alpha^\beta g(t)f'(t)dt \end{aligned}

積分する文字が変化した際に,積分範囲が変わることに注意しましょう。

{x=2cosθy=2sinθ(0θπ)\begin{cases} x=2\cos\theta\\ y=2\sin\theta \end{cases} (0\leq\theta\leq\pi) で表される曲線と xx 軸で囲まれる部分の面積を求めよ。

これは半円を媒介変数表示したものです。

解答

0θπ0\leq\theta\leq\pi のとき,2x2-2\leq x\leq2 かつ dxdt=2sinθ\dfrac{dx}{dt}=-2\sin\theta より, S=22ydx=π02sinθ(2sinθ)dθ=0π4sin2θdθ=0π2(1cos2θ)dθ=[2θsin2θ]0π=2π\begin{aligned} S&=\int_{-2}^2ydx\\ &=\int_\pi^{0}2\sin\theta\cdot(-2\sin\theta)d\theta\\ &=\int_0^\pi4\sin^{2}\theta d\theta\\ &=\int_0^\pi2(1-\cos2\theta)d\theta\\ &=\left[2\theta-\sin2\theta\right]^{\pi}_{0}\\ &=2\pi \end{aligned}

媒介変数表示について,必ずこの記事の内容くらいは最低限頭に入れておきましょう。