領域を図示するテクニック【絶対値つき不等式】

更新日時 2022/03/02

「絶対値を含む不等式」で表された領域の図示について解説します。

有名問題2問を使って,基本的な考え方3つのテクニックを紹介します。

目次
  • 例題と基本方針

  • テクニック1:2つの不等式に分解

  • テクニック2:対称性に着目

  • テクニック3:領域の形を覚えておく

例題と基本方針

基本方針

絶対値を含む不等式で表された領域は,絶対値の中身の正負で場合分けすることで,確実に図示できます。

例題1

x+y1|x+y|\leq 1 が表す領域を図示せよ。

解答

絶対値の中身である x+yx+y の正負で場合分けする。

  • x+y0x+y\geq 0 の場合,つまり yxy\geq -x の場合,
    与えられた不等式は x+y1x+y\leq 1,つまり y=x+1y=-x+1 の下側
  • x+y<0x+y<0 の場合,つまり y<xy<-x の場合,
    与えられた不等式は (x+y)1-(x+y)\leq 1,つまり y=x1y=-x-1 の上側

以上より,求める領域は図のグレー部分(境界含む)。 例題1の解答

例題2

x+y1|x|+|y|\leq 1 が表す領域を図示せよ。

解答

絶対値の中身である xxyy の正負で場合分けする。

  • x0x\geq 0 かつ y0y\geq 0 の場合
    x+y1x+y\leq 1,つまり y=x+1y=-x+1 の下側
  • x0x\geq 0 かつ y<0y< 0 の場合
    x+(y)1x+(-y)\leq 1,つまり y=x1y=x-1 の上側
  • x<0x< 0 かつ y0y\geq 0 の場合
    (x)+y1(-x)+y\leq 1,つまり y=x+1y=x+1 の下側
  • x<0x< 0 かつ y<0y< 0 の場合
    (x)+(y)1(-x)+(-y)\leq 1,つまり y=x1y=-x-1 の上側

以上より,求める領域は図のグレー部分(境界含む)。 例題2の解答

このように確実に解けますが,場合分けがめんどうです。そこで,場合分けをせずにすばやく解くテクニックを紹介します。

テクニック1:2つの不等式に分解

Xa    aXa|X|\leq a\iff -a\leq X\leq a

という変形を意識すると楽に解ける場合があります。

例題1の別解

x+y1|x+y|\leq 1
    1x+y1\iff -1\leq x+y\leq 1
    x1yx+1\iff -x-1\leq y\leq -x+1

より,求める領域は図のグレー部分(境界含む)。 例題1の解答

テクニック2:対称性に着目

対称性に着目するとうまくいくことが多いです。例えば,(x,y)(x,y) が不等式を満たす     (x,y)\iff(-x,y) が不等式を満たす」が言えれば,求める領域は yy 軸に関して対称です。

以上をふまえて,例題2の別解です。

例題2の別解

x+y1|x|+|y|\leq 1 という不等式が成立するか否かは,xxx\to -x としても yyy\to -y としても変わらない。よって,図示したい領域は xx 軸に関しても yy 軸に関しても対称である。よって,x0,y0x\geq 0,y\geq 0 の範囲で領域がわかれば十分。

この範囲では,x+y1x+y\leq 1,つまり y=x+1y=-x+1 の下側(図の①部分)。 例題2の別解

テクニック3:領域の形を覚えておく

1次式の絶対値

覚えておくとよいこと1

ax+by+cd|ax+by+c|\leq d が表す領域は「帯」

上の不等式は,ax+by+ca2+b2da2+b2\dfrac{|ax+by+c|}{\sqrt{a^2+b^2}}\leq \dfrac{d}{\sqrt{a^2+b^2}} と変形できます。点と直線の距離公式を使うと,この条件は直線 ax+by+c=0ax+by+c=0 からの距離が一定以下と言い換えられます。つまり,帯のような領域になります。

例題1の別解

x+y1|x+y|\leq 1 は,x+y212\dfrac{|x+y|}{\sqrt{2}}\leq\dfrac{1}{\sqrt{2}}

と変形できる。よって,直線 y=xy=-x からの距離が 12\dfrac{1}{\sqrt{2}} 以下の領域を図示すればよい。 例題2の別解

1次式の絶対値の和

覚えておくとよいこと2

a1x+b1y+c1+a2x+b2y+c2d|a_1x+b_1y+c_1|+|a_2x+b_2y+c_2|\leq d

が表す領域は平行四辺形。具体的には,以下の手順で領域を図示できる。

  1. 直線 aix+biy+ci=0a_ix+b_iy+c_i=0 を書く
  2. その直線上での限界点を求める
  3. 求めた点を線分で結ぶ

具体的な手順は例題を見ながら理解してください。

例題2の別解

x+y1|x|+|y|\leq 1 について,

  1. 直線 x=0x=0y=0y=0 を書く
  2. 直線上での限界点をそれぞれ求める
    x=0x=0 上では,条件は y1|y|\leq 1 なので限界点は (0,1)(0,-1)(0,1)(0,1)
    y=0y=0 上では,条件は x1|x|\leq 1 なので限界点は (1,0)(-1,0)(1,0)(1,0)
  3. 以上4つの頂点を線分で結ぶと領域が図示できる

例題2の別解

x+2y+3+2x+3y+12|x+2y+3|+|-2x+3y+1|\leq 2
など複雑なものも同じように図示できます。さらに,この手順1~3は直線の数(1次式の数)が増えてもすべての直線が1点で交わるなら使えます。

例題3

y+x+y+xy6|y|+|x+y|+|x-y|\leq 6 が表す領域を図示せよ。

例題3の別解
  1. 考える直線は,y=0y=0x+y=0x+y=0xy=0x-y=0 であり,これらはすべて原点を通る。
  2. 限界点をそれぞれ求める。
    y=0y=0 上では条件は 2x62|x|\leq 6 なので (±3,0)(\pm3,0)
    y=xy=x 上では条件は x+2x6|x|+|2x|\leq 6 なので (±2,±2)(\pm2,\pm2)(複号同順)
    y=xy=-x 上でも同様に (±2,2)(\pm2,\mp2)(複号同順)
  3. この6点を結ぶ六角形の内側(境界含む)が求める領域。

例題3の解答

手順1~3が正しいことは以下の事実からわかります:
直線をまたがない範囲では絶対値の中身の符号は一定なので,絶対値が外せて全体で1つの一次不等式になる。

高校時代の恩師のy先生に最近教えていただいたネタにインスパイアされた記事です!