複素数の絶対値の定義といろんな性質
複素数 に対して,その絶対値を で定める。
複素数の絶対値についての性質とその証明を整理しました。
複素数の絶対値
非負性
四則演算
共役複素数と絶対値
複素数の絶対値
・三平方の定理より と の距離は です。よって,複素数の絶対値は 複素数平面における原点からの距離を表すことが分かります。
- 特に のときは慣れ親しんでいる実数の絶対値の定義と一致します。
- 複素数の絶対値は実数です。 は複素数の等式, は実数の等式であることに注意して下さい。
非負性
ここから複素数の絶対値の性質を淡々と紹介します。
以下, は複素数とし, とします( は実数)。
0. であり,
・前半は, であること,
後半は, であることから導かれます。
四則演算
1.
2. ,
3.
4. (ただし )
-
1と2は三角不等式です。いろいろな三角不等式(絶対値,複素数,ベクトル)で証明しています。地味に2もよく使います。
-
3は単純計算で証明できます: より, を証明すればよいが,これは簡単に確認できる。(実は有名な恒等式→ラグランジュの恒等式とその仲間) 特に, が実数の場合が頻出です。(例えば )
-
4も分母の実数化を用いて証明できます: より,
を証明すればよいが,3と同様の恒等式に帰着される。 特に, の場合が重要です(逆数の絶対値の公式)。
また,3で としても 4が導けます。
共役複素数と絶対値
の共役複素数 を と書きます。
5.
6.
・5は から導かれます。
・6は から分かります。非常に重要な性質です。→共役複素数の覚えておくべき性質
の形で使うことも多いです,
基礎的な話題でしたが,ブラーマグプタ-フィボナッチ恒等式が登場したのはなかなか嬉しいですね。