複素数の絶対値の定義といろいろな性質
複素数 の絶対値 を で定める。
複素数の絶対値について整理しました。
複素数の絶対値とは
複素数平面と絶対値
絶対値の非負性
絶対値と三角不等式
絶対値の積と商
共役複素数と絶対値
複素数の絶対値とは
複素数 の絶対値 の定義は です。
という複素数の絶対値は
特に, の場合は となります。つまり慣れ親しんでいる実数の絶対値の定義と一致します。
という複素数の絶対値は
複素数の絶対値は定義より必ず実数です。
複素数平面と絶対値
複素数の絶対値は
複素数平面における原点からの距離を表すとも言えます。
(三平方の定理より と の距離は であるためです)
- 実数の絶対値は「数直線における原点からの距離」
- 複素数の絶対値は「複素数平面における原点からの距離」
絶対値の非負性
ここから複素数の絶対値の性質をたくさん紹介します。
以下, は複素数とし, とします( は実数)。
であり,
- 前半の証明: より成立
- 後半の証明: より成立
絶対値と三角不等式
ここからは「四則演算+絶対値」に関する性質です。
- ,
まず,和と差については上記の三角不等式が成立します。 いろいろな三角不等式(絶対値,複素数,ベクトル)で証明しています。地味に2もよく使います。
絶対値の積と商
- (ただし )
-
上側は単純計算で証明できます: より, を証明すればよいが,これは簡単に確認できる。(実は有名な恒等式→ラグランジュの恒等式とその仲間) 特に, が実数の場合が頻出です。(例えば )
-
下側も分母の実数化を用いて証明できます: より,
を証明すればよいが,上側と同様の恒等式に帰着される。 特に, の場合が重要です(逆数の絶対値の公式)。
また,上側で としても 下側が導けます。
共役複素数と絶対値
の共役複素数 を と書きます。
-
上側は から導けます。
-
下側は から分かります。非常に重要な性質です。→共役複素数の覚えておくべき性質
の形で使うことも多いです,
基礎的な話題でしたが,ブラーマグプタ-フィボナッチ恒等式が登場したのはなかなか嬉しいですね。