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行列が正則であることの同値な条件と証明

更新日時 2021/03/07

n×nn\times n の正方行列 AA に対して以下の条件は同値である:

  1. AB=BA=IAB=BA=I(単位行列)となる行列 BB が存在する

  2. detA0\det A\neq 0

  3. rankA=n\mathrm{rank}\:A=n

  4. KerA={0undefined}\mathrm{Ker}\:A=\{\overrightarrow{0}\}

  5. 全ての AA の固有値が 00 でない

目次
  • 正則行列

  • 5つの条件が同値であることの証明

正則行列

上の5つのいずれか(したがって全て)の条件を満たす行列 AA を正則行列と言います。1を正則行列の定義としている文献が多い気がします。

与えられた行列が正則かどうかを判定する際には,条件3を確認する(ランクを計算する)のがよいでしょう。

以下では1から5の同値性を証明していきます。2ならば1の証明については概要のみ示します。

5つの条件が同値であることの証明

まずは1と2の同値性を証明します。

1ならば2の証明

積の行列式は行列式の積と等しいので AB=IAB=I となるとき,

detAdetB=detI=1\det A\det B=\det I=1

よって detA0\det A\neq 0

2ならば1の証明

detA0\det A\neq 0 のとき,B=A~detAB=\dfrac{\tilde A}{\det A}

(ただし A~\tilde AAA の余因子行列,つまり ijij 成分が「AA から jj 行目と ii 列目を除いた行列の行列式に (1)i+j(-1)^{i+j} をかけたもの」である行列)

とおくと,AB=BA=IAB=BA=I となることが確認できる(→補足)。

補足:ラプラス展開を使うことで確認できます。詳しくは線形代数の教科書を参照してください。

次に2と3の同値性です。前提知識:ランク標準形

証明

行列式が 00 でない行列 S,TS,T をうまく取ってくると

SAT=(IOOO)SAT=\begin{pmatrix}I&O\\O&O\end{pmatrix}

という形にできる(ランク標準形)。 II の部分の行数(列数)がランクである。→行列のランクの意味(8通りの同値な定義)

また,積の行列式は行列式の積と等しいので

detSdetAdetT=det(IOOO)\det S\det A\det T=\det \begin{pmatrix}I&O\\O&O\end{pmatrix}

となる。よって,detA0\det A\neq 0 であることと AA のランクが nn であること(右辺の行列が単位行列になる)は同値。

次に3と4の同値性です。前提知識:次元定理

証明

3    43 \iff 4の証明です。 次元定理より,rankA=ndim(KerA)\mathrm{rank}\:A=n-\mathrm{dim}(\mathrm{Ker} A)

よって,rankA=n\mathrm{rank}\: A=n であることと KerA\mathrm{Ker}\:A の次元が 00 であることは同値。

最後に2と5の同値性を証明することで5を仲間に入れます。

証明

2    52 \iff 5の証明です。

AA の固有値を λ1,,λn\lambda_1,\cdots,\lambda_n とすると,

detA=λ1λn\det A=\lambda_1\cdots \lambda_n である(→補足)。

(行列式は固有値の積)

よって detA0\det A\neq 0 と,全ての AA の固有値が 00 でないことは同値。

補足:固有値は nn 次方程式 det(AλI)=0\det (A-\lambda I)=0 の解です。→固有値,固有ベクトルの定義と具体的な計算方法

det(AλI)\det (A-\lambda I)nn 次の項が (1)nλn(-1)^n\lambda^n,定数項が detA\det A であることと解と係数の関係から分かります。

数学における「正則」という言葉にはいろいろな意味があります。(正則行列,正則関数,正則グラフなど)

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